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異世界無能者の観測記録  作者: ホムポム
第3章
25/123

神の崇拝と軽視

依頼人から話しを聞き、目的地へ向かう

畑を荒らす害獣がいたので退治してほしい と




《害獣の巣らしき場所を発見したので

退治しに向かった 農夫3人が戻って来ない

目撃者曰く体長1メートルほどの

モグラの様な見た目 数は不明 という情報》



「モンスター……私見たこと無いんだけど

この辺りは沢山いたりするの?」

ミカの質問に中級者の2人は驚く



「君……今までどんな場所に住んでたの?」

男はあざ笑うように先頭を歩く



む………ちょっとカチンときた


ミカが顔を背けると 女性がフォローするように

「ミカちゃん。私もね、モンスターって

見たこと無いんですよ」



「そうなの?危険はあるけど

実入りが良いから 人気があるって聞いてたけど」


聞いた相手はヴァネッサちゃんだ

私の村以外の知識は半分くらい

ヴァネッサちゃん情報なのだ



「うん。私、つい先日中級者に

やっとなれたんですよ


それで中級者が2人もいるなら

モンスター退治に行こうって言われて


でも、やっぱりまだ不安だったから

ミカちゃんにお願いしてしまったんです」




ンフフ……やっぱり私ぐらいになると

頼れるオーラが出ちゃうのかな


「よーし任せといて! え〜と?」

名前……名前を 聞いてなかった



ミカは女性を指しながら 口をパクパクさせている



それにすぐ気づいた彼女は

「あっ……申し遅れました

私はミシェル.アンカーソンと申します」



「ミシェルちゃんね 了解!

私に頼ってくれて 良いからね!」

ミカは小さな胸をドンと叩く



「お喋りはもういいだろ!着いたぞ」

男は何故かイライラしながら 足を止めた




  洞窟だ  

中は、当然暗く光が届かない

当然洞窟の地図など無く

何処まで続いているかも わからない


野盗や世捨て人が

中に居てもおかしくなさそうな穴に

男は躊躇なく足を踏み入れようとし




「ちょちょ、ちょっと待って〜!

準備とかしないの?灯りとか火とか……」


私はモンスター退治なんかした事ないけど

こんな洞窟に、何の準備もなく

入るのは自殺行為ということはわかる


 

「俺は夜目がきくから中は視える

準備したければ、勝手にしてくれ」

男はこちらを見ずに洞窟前で佇む



男は最初出会った時とは

明らかに何か違っていた

ミカにはそれが何故かわからない



「……んじゃ、ちょっと準備するから

待っててね〜っと、ミシェルちゃんは何か準備する?」


彼女はどうなのだろうか

中級者という人達はそこまで

全員無鉄砲なのかと思い、彼女にも尋ねてみる



「わ 私は……ええっと」

彼女は男とミカを 何度が見て


「私も準備します!

でも何をしたらいいか分からないから

ミカちゃんに聞いてもいいかですか?」




ミシェルは準備をすると言ってしまった




些細なきっかけ

単純な一言




「えっと……火を起こせるかな?」

流石にこんな事で火神様を起こすわけにいかない



「松明でよければ持ってきてます

2本だけですが……30分ほど保つと思います」

ミシェルは両手に短い 松明を持ってみせた



「オッケ〜!それを1本だけ火をつけて

帰りに1本で、探索終了だね

あとミシェルちゃん!」



ミカの突然の 強い口調に

「は ハイ!なんでしょうか?」

怯えながら返事をしてしまう



「あの……もうちょっと、砕けた口調で……

なんか恥ずかしい」


敬語を使われるのは 慣れない

私が神様達ぐらいにしか 敬語を使わないので

なんか 凄い上にみられているような……



「ど 努力しま……するね」

2人は笑いあう



さて、私も準備しよう

バッグを探る……バッグがない

慌てて身体中を探すが、当然無い



あ  ヴァネッサちゃん家に置いてきてる


仕方ないか。うん。仕方ない


ミシェルに近づき彼女の手を取り


「生命を司る大神様よ

生命を育む大神様よ

我の祈りが届いたのなら

この願いが汝に通じたのなら……」




通じる訳がない 




「……ミシェルちゃん」

ミカは半目で彼女を見つめる

「は……はい」

「笑わないでね……」


「…………」



ヴァネッサちゃんは昔から

私の神術は詠唱が 他の神官と違っていると言っていた

『私が知っている限りだと

もっと小難しい言葉を、並べ立ててるな』



まぁ今更 変えられる訳でもない



息を大きく吐き

「生命の大神様。さっきは変な言葉で喋って

ごめんなさい。聴こえてなかったら嬉しいです


ミシェルちゃんを守ってあげて下さい

お願いします!」

空に向かい語りかける




私は言葉を作るのではなく 紡ぐ

私だけの神様への言葉



ミシェルの弓と矢に ツタの葉が巻きつく

巻付ききれなかった ツタの葉だけが枯れていく



「大神様ありがとうございました

夜にまた お話ししましょー!」


良かった……怒らせちゃったかも とか思ったけど

ちゃんと祈りが通じてくれて




ミシェルはその光景に 身体を震わせて


「ミカちゃん!世界の根幹を創造した三神の1つと

会話できるなんて凄いよ!


神様!私なんかに貴重なお力を

ありがとうございました!」




見様見真似でミカと同じく 空に語りかける

ミシェルはとても嬉しそうに

ミカの手をブンブンと振る




「ハッ!あんなおかしな祈り見たことないよ

手品か何かの間違いなんかじゃないのか!?

終わったのなら進むぞ!」


待ちくたびれたのか

男は言ってはならない事を口走る

そのまま返事も待たずに、洞窟へと1人突入する




「……………」

「……………」

絶句する2人


「ミシェルちゃん……」


「ご ゴメンねミカちゃん

いつもはもっと優しい人なんだよ

何で今日はあんなに……」


彼女には理由がわからない

理由がわかっていれば………あるいは



「多分……無理……かも

しっかり神様に聴かれちゃってるもん」


神を愚弄することに

どれ程の代償を強いられるのか

彼は知らなかったのだ


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