表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界無能者の観測記録  作者: ホムポム
第3章
23/123

必然的出会い

ボードの前で足を止め、依頼をみる

「3件……か」取り敢えず一通り目を通す




キノコ採取  菌糸類に詳しい方歓迎


柵づくり  体力ある方歓迎


荷造り 体力ある方歓迎





報酬額がが書かれていない 

見落としかと思い 裏面を見るが白紙



「……まぁいいか 別に」

受付で聞けばいいし、無報酬という訳ではないだろう


キノコは詳しく無いから無理だな


柵作りの紙を 手に取り受付へ渡す

受付嬢さんは少し驚きながら


「は 初めての方ですよね?し 少々お待ち下さい」

と言い 奥へと引っ込んでしまった



少し不安になりヴァネッサを見る

彼女はまるで 授業参観の

保護者のような目で優しく手を振ってくれた



「クソっ ミカの時はススッと

終わったのになんで?」


俺がそんな事を思っていると奥から男性が来て

頭を下げつつ


「申し訳ありません。貴方は身体中傷だらけです

依頼主様が困惑されるかも、しれませんので

今回はご遠慮なさってもらえますか?」



「……え?」

俺は慌てて鏡を……鏡は無かったので

顔をペタペタ触る


凄い腫れてる。というか腕も倍近く膨れあがっている。なまじ痛みが無い分、気付かなかった



「本当ですね ご迷惑お掛けしました」

俺も頭を下げて 依頼書を戻しに行く

そのまま すごすごと、ヴァネッサの隣に腰掛ける



「どうだった?」

ヴァネッサは半笑いで こちらを見つめる



わかってて 行かせたんじゃないのか?


そんな事を思い

「バネッサの 想像通りだよ」

俺はお手上げのポーズをし



「ハハッ そうか ひょっとしたら

初心者ぐらいなら通るかもしれんと

踏んだが甘くなかったか」


何が嬉しいのか

ヴァネッサは俺の背中を叩いてくる



「でも 仕事出来ないよ」


「構わんよ。君はこの街で

君の過去を知っている人を、探すのが目的だろう?

暫くは金のことは気にせず、大人しくしていろ」



そうだった これだけ大きな街だ

俺を知っている人が 居てもおかしくない



俺が辺りを見廻すと


「そろそろいいか……クヌギ

私はこれから出掛ける 私の家に戻ってもいいし


街を散策してもいいが

あまり危険な 場所には行くなよ?」



そう言って立ち上がり袋から硬貨を取り出す

「小遣いだ 計画的に使えよ」


「あ ありがとう 」


知らない顔に50。と刻まれた硬貨

価値がわからないので 

大したリアクションも取れず、俺はそれを懐にしまう



「それじゃあ行ってくる」

ヴァネッサが斡旋所を後にし 俺は1人取り残された




改めて辺りを見廻す



ボードの前で喧嘩している者


テーブルで酒を片手に武勇伝を語る者

それを聴く者


1人 本を読んでもいる者


俺をチラチラ 見てくる者と様々だ




ん?


ヴァネッサが居る時は気付かなかったが

確かに視線を感じる。視線の主は

色白で眼鏡をかけた、俺より年上の男性

優男という印象



ひょっとて 俺を知っている人かもしれない

そう思い俺は席を立ち その男性に声をかける



「あの スイマセン」


「あ……ゴメンナサイ

見てしまって ご ゴメンナサイ」


声をかけただけで 謝られた



俺は事情を説明する


「いや謝らないで下さい。俺ちょっと記憶喪失みたいで

ひょっとしたら俺を知っている人かな?

と思い声をかけたんですが……」


「そ……そうなんだ ぼ 僕はてっきり……」

男は顔を伏せ


「き 君のことは は 初めてみるよ」


「そうですか……声をかけてしまって

何かスイマセン」


仕方ない。こうやって地道に 聞き回るしかないか

俺は男に背を向けようとした



「め 迷惑なんかじゃなかったよ

こ 声をかけてくれて 嬉しかったんだ」


「そ……そうですか……じゃ俺はこれで」

俺はそそくさと その場を後にしようとしたが


「い イーディス.ヘロー」

「?」

「イーディス.ヘロー ぼ 僕の名前さ」

 


名を名乗られたら

名乗らなければ 失礼というもの


俺はその男の横に座り

「俺はクヌギ.イシノギって言います」



「な 何か変わった名前だね 

い いや 貶めてる訳ではないんだ

き 気に触ったら ゴメンよ」



おかしいのか?俺の名前は

まぁそんなことで

気に触る事なんて有りはしないが



「全然気にしてないですよ

ところで何故 さっき俺を見ていたんです?」


「あ あれは君が大丈夫かな? と思ってね」

イーディスはモジモジしながら答え




「ああ……この怪我ですか?これは  」

「違う!」イーディスは言葉を被せ

「君 壊れてるだろう?」





      悪寒が走る




俺の…知らない欠点を……指摘してきた

(俺しか 知らないことを 当ててみせた)




先程までのイーディスではない


口調こそ変わらないが

何か覗いてはいけない物を

覗いてしまった。そんな気分だ

人の皮を被った、得体の知れない何か



「お……俺記憶喪失だから そのせいですかね……多分」



「き 君も大変なんだね

ぼ 僕がここに居る時は 頼ってくれていいよ


ぼ 僕達 もう と と 友達だろう?」

彼は震えながら 俺に手を差し出す



握手をしようと いうことだろう


悪寒はもうない

先程の彼は 俺の勘違いか

被害妄想だと思い イーディスの手を取る



「ヨロシクお願いします イーディスさん」

「よ ヨロシク イシノギ君」


彼の手は およそ人の体温とは

思えないほど 冷たかった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ