記憶喪失
「大丈夫〜?お水飲めますか〜?」
赤い髪をした小柄な女性が
竹の水筒を手に持ったまま覗き込む
いつの間になのか青髪の、大柄な女性の柔らかくも
引き締まった腕で、優しく支えられていた
「意識はあるみたいだな
ゆっくりでいいから飲みな」
その言葉を聞き
赤髪の女性が水筒を差し伸べてくれる
それを手にとり口に含む
すると全身に水分が行き渡るのを感じ
夢中で水を飲む
「気にせず全部飲んじゃっていいからね〜って
もう飲んじゃってるね」
赤髪の女性はホッとして腰をその場におろした
「落ちついたか?
いくつか質問したいのだが、まだ無理か」
青髪の女性は心配そうに、俺を見つめている
「……大丈夫……ありがとう助かったよ」
かすれた声を出しながらそう言うと
「そうか良かった……」
と笑みを浮かべ少しだけ息を吸うと
「まず名前は?何故ここにいる?、なぜ倒れていた?
一人で森に入ったのか?
水や食料はいつから口にしていない?」
と まくしたててきた
「はい ヴァネッサちゃんストーップ
そんなんじゃ、誰だって混乱しちゃうよ
1個ずついきましょ〜」
赤髪の女性がドウドウと肩を
揉みながら落ち着かせ
「あぁ……悪いそうだな」
と肩の力を抜き
「まずは自己紹介からかな
私はヴァネッサ.ラウ。主に護衛や傭兵などをを
生業にさせてもらっている」
青髪の女性が 凛とした声で言い
「はい次は私ね。ミカ.レミナス
ヴァネッサちゃん風に言うと
主に神に仕えることを
生業にさせてもらっている」
と微妙に似ているマネをして
頭を小突かれていた
「というわけで最後は君だよ!どうぞ〜」
明るく俺に両手をヒラヒラさせながら
俺の言葉を待っている
数秒の間をおき
「ゴメン………わからない名前……
自分のことが何も思い出せない」
自分で発言したことに愕然とした