黒紙フェティシズム
捏ねくりまわした夢を
壁に投げつけて
出来た円の直径を測っている
何の為に測るのだろう
叶う夢は
そんな事しなくてもいい
余計な作業を
人間は増やしている
日々の中で
だが
その余計に含まれている物に
種は入っているのだ
大体の人間は
気がつかない為に
見ようとしない
出来ずに遠ざかるから
叶っていた夢ですら
叶わない
あなたが
今の生活に
何か引っかかっている物が
あるのだとしたら
それは無くても良かった物だ
あの時に作れば
あの時に変化した
自らが生み出した
小さな黒い紙一枚
もうそろそろ
ノートになるかもしれない
取り返せる物は
取り返せる意思があって
初めて
こちら側へと動き出す
同じ場所に居ても
考え動かなければ
何も無いが
考え動かなくても
数個
やって来る物はある
捕まえる事が久しぶりで
全て
捕まえられるだろうか
数少ないとは
きっとそういう事なのだ
人は
そもそも価値なんか無いが
人は
人に価値がある物だと
思い込む事は出来る
誰かの何かを
素晴らしいと
勘違いする事が出来る
人によっては
そのまま死に
人によっては
それに抗い争う
それは
たまに奇異な目で見られ
たまに英雄として
讃えられる
人類は
自己完結している
人と同じくらい思考する動物が
人の他に居ない
今の所は居ないのだ
だから
異種との思考的遭遇が無い為に
人の集まりの中
異質な物を見つけようとする
一般という物から溢れ落ち
普通という物から外され
当たり前という物が
分からない人を探し出し
人と良く似た
思考する動物と定義して
観察や実験をする
それを嫌がる人も居れば
率先して行う人も居る
誰にでも起こり得る
そんな形は
誰にでも起こり得る
一人歩きしながら
その時は分からないが
一時経て
それは分かる
小さな黒い紙一枚
この間
あの人が落として行ったけれど
僕とあの人は他人だから
拾うような事は無い
しない方が僕は面白い
小さな黒い紙は
一枚づつ
人類の夢の中に
挟んである
一人一人の夢にも
挟んである
人類が作り出した
小さな黒い紙一枚は
自らが作り出した
小さな黒い紙一枚と
混ざり合って
他人の黒い紙一枚を
押し付けられる事もある
それで
あなたの夢が叶わない事もある
理不尽だが
理不尽だからこそ
今の世界は自由だ
明日になれば価値が出る物を
自由に作れる
昨日までの形を変えられる
自らの分の黒い紙が
燃え上がる時に
誰もが笑うのだ