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第二十二話「新たな世界に命を」

今日で、連載半年!! あぁ、結構長く書いていたんだなぁって改めて実感しています……。

『一週間前に突如として出現した謎の空は、今ではすっかり一面の青空。一週間前のことがなかったかのように心地いい日の光が差し込んでいます。ですが、あのような摩訶不思議なことが起こったことで、世界中ではまた起こるのではないかと不安な声も上がっており、政府は』

「まだニュースをやっているんだね。まあ、当たり前だとは思うけど……」


 次元の覇者シュバイトとニィ達の戦いの余波で起こった不思議な空。それは、今ではニュースで言っていたように心地よい日の光が差し込む青空が広がっている。

 だが、未だに世界中ではその時の出来事が頭から離れないようだ。


 しかも、まだ終わっていない。

 シュバイトが訪れたのは、次元が歪んでしまったせいだ。シュバイトもある意味、誘われた者に過ぎない。未だに、次元の管理者と俺、ニィ達を筆頭に、次元の修復や別世界から誘われた者達の回収をしている。

 そろそろ、それも一段落し、誘われる先を一箇所に集められるようになっているはずだが。


「それにしても、刃太郎。あなた、本当に神様になっちゃったの?」


 今でも変わらない朝の風景。

 ホットミルクを飲もうとした俺に、舞香さんが問いかけてくる。それもそのはずだ。俺が神様になったと言った時は、当然のように皆驚いていた。

 まあ、見た目は変わっていないからな。


「なったなった。本当に神様になったんだ」

「か、軽いわね……」

「色々と経験してきたからな。でも、本当は驚いているんだ。自分が神様になったことには」


 ただ、神様になったからって何かが大きく変わったってことは今のところは無い。あー、でもそうだな。次元ホールを使えるようになったっていうのは大きな変化かもな。

 これで、移動もらくらくになった。

 それに、人間だった頃よりも気配に敏感になったっていうか。


「でも、ニィ達が言っていたけど、髪の毛は白くなったって言っていたよ?」

「それは多分、アイオラスを抜いた時になるんだと思うぞ」

「そのアイオラスはどこに?」

「あいつは……ちょっとした大仕事をしているところだ」

「大仕事?」


 そう、神となった俺は今ではこの地球のため、いや別世界も含めて、自分にできることを精一杯やっているところだ。

 その第一歩が、もうすぐで。


「ふぃ……疲れたのですぅ」

「まったくよ。もう、何もしたくないわ……」


 どうやら、終わったようだ。

 俺はすぐにホットミルクをニィ達に差出し、お疲れ様と声をかける。


「後は、俺が頑張る。お前達は休んでいてくれ」

「一休みをしたら、私達も手伝いに行くのですよ。後輩に任せっきりは先輩として、恥なのです!」

「えー、あたしはもう」

「やるのです」

「……へい」


 相変わらず、ニィには弱いみたいだな。


「これが終わったら、好きなだけ付き合ってやるから。頑張ろうぜ、先輩」

「ふん。言ったわね? だったら、あたしが満足するまでとことん付き合ってもらうから。覚悟しなさいよ、後輩」


 了解です。

 そして、俺は有奈と舞香さんのほうへと振り返る。


「二人とも、俺、これからやることがあるから。しばらく帰って来れないかもしれないんだ」

「しばらくって、どれくらい?」

「……わからない。だけど、心配させないために早めに終わらせるつもりだ」

「お、お兄ちゃん。私に手伝えることってないのかな?」


 優しいな有奈はやっぱり。

 だけど。俺は、有奈の頭に手を置き、軽く撫でる。この撫で心地もしばらくは味わえないな。今のうちにしっかりと堪能しておかないと。


「気持ちだけ受け取っておく。でも、ここからは神じゃないときつい仕事なんだ。それに、お前達には後で見て欲しい」

「見て欲しい?」


 そう、俺達は今創っているんだ。

 新しい世界を。






・・・★・・・






「よう、来たな新神」

『遅ぇぞ! 相棒! 俺の準備はとっくにできているぜ!』


 有奈達に挨拶をして、俺が訪れたのは木の根のようなものが空間のほとんどに生えている不思議な場所。その奥には祭壇のようなものがあり、アイオラスが突き刺さっている。

 その傍には、オージオと次元の管理者が。


「準備はよろしいですね?」

「ああ。もちろんだ。ここからは、俺の大仕事。必ずやり遂げてみせる」


 念話ではなく、普通に自分の口から言葉を発している次元の管理者。相変わらずアイマスクをつけているが、最初に出会った頃よりは若干柔らかくなっている気がする。


「正直きついぜ? 俺も、経験があるが。新神のお前にできるか?」

「やってやるよ。これが成功しなければ、皆が困るからな」


 俺がこれから行うのは、新たな世界へ命を与える作業。

 そして、結界を張ること。

 俺が世界の中核で何日、いや何週間、いやそれ以上かもしれない。オージオの場合は一週間はずっと命を与えていたようだからな。

 ともかく、世界に命を与え結界を張れば新しい世界の誕生だ。とはいえ、他の世界とは違い結構小さいものだから早めに終わるかもな。

 先輩達も手伝ってくれるみたいだし。


「頑張ってくださいね、主神」

「俺が主神? いや、ここはニィかリフィルにしたほうが」

「いや、お前が適任だ。ニィーテスタ達には、お前のサポートをするように俺から言っておいてある」


 根回しが早いな……てことは、あの時からわかっていたのか。

 言ってくれればよかったのに。

 主神になるということは、俺がこの世界の頂点になるってことだ。神になって、すぐ主神か。なんていうスピード出世だ。

 これが、サラリーマンだったら大喜びだろうな。


「にしても、お前も大きくなったもんだな」

「なんだよ、いきなり。お前の俺の父さんか?」

「父さんか……なってやろうか? そして、弟がニィーテスタで姉がリフィル、兄がグリッドって言ったところか!」

「お前が父さんとか、願い下げだ」

「おいおい、ひでぇな」


 と言いつつ、笑っているオージオ。俺も笑っているがな。


『おーい! 楽しい楽しい会話もいいが、そろそろ始めようぜ! 俺だって、ずっとここに突き刺さってるなんて嫌なんだからな!』


 おっと、そうだったな。早くやらないと、この世界も完成しない。アイオラスに急かされ、俺は階段を上っていき、柄をぎゅっと握り締めその場に座る。

 なんだかこうしていると、王様になった気分だな。

 本当は主神なんだけど。


「それじゃ、始めるぞ」

『おうよ!! 俺達の力で世界に命を与えてやろうぜ!!』

「俺は一度ヴィスターラに帰るが、時々様子を見に来てやるよ」

「私も一度立ち去りますが、お菓子を食べながら見守っています」


 こいつは……表情を変えないからマジで言っているのか冗談で言っているのかわからないな。


「……神魔力、開放」


 目を瞑り、俺は己の体にある全ての力を解放する。

 それはアイオラスを通り、呼応した。

 俺の体は、神秘的な輝きを放ち、全ての力は世界へと広がっていく。


『相棒』

「なんだよ」


 始まってからすぐアイオラスが俺に語りかけてくる。すでに、オージオと次元の管理者の姿はなくこの場にいるのは俺達だけだ。


『俺はよ。お前と出会えて本当によかったって思ってるぜ』

「よく言う。会った時は、俺のことを馬鹿にしていたくせに」


 忘れもしない初めての異世界召喚。そして、アイオラスとの出会い。あの時のあいつが今では俺のことを相棒と普通に呼んでいる。


『はっはっはっは! そんな時もあったな! でもまあ……今の言葉はマジだ。相棒はどうなんだ?』

「俺か? それはもちろん」


 よかったって思ってる。多くのピンチをお前がいたからこそ、解決できた。ヴィスターラでも、この地球でも。

 お前は、俺の最高の相棒だよ……。

さあ、いよいよクライマックス! 残り、二、三話ほどで完結予定です!

そして、新作も執筆中! あ、今連載している他の作品の続きも書かないと……。

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