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第五話「話し合おう」

ついに一万ポイント達成!

これも皆様のおかげです! 次の目標は……なににしましょうか。やっぱり二万ポイント? ですかね。


ともかく! これからもよろしくお願い致します!!

「な、なーんだそうだったんですか。よ、よかったぁ……」

「あははは。いやぁ、子供って好奇心旺盛だからな。俺をテレビで見た! ってしつこくて。だから、思わずフランクフルトを食べてびっくりさせたんだけど」

「それでも、離れなかったから走ったんですね」


 我ながら、ナイスだと思った。

 誤解を生んだその日の夕方。

 どうやら、華燐が俺に用事があるということでだったら、ついでにさっきの誤解も解こう! と考え、なんとか誤解が解けた……。


 あいつの姿が子供だったのと、俺がテレビに出ていたのとを合わせてなんとかなった。リリーはもちろんのこと有奈もほっとしていた。

 でも、俺の視線に気づくとそっぽを向く。

 ふっ、可愛いなぁ。


「でも、あの子。銀髪ってことは外国人ですよね?」

「うーん、まあそうかな? すごく日本語がぺらぺらだったけど」

「あたしみたいにハーフなんじゃないですかね?」


 本当は、ただの転生者なんだけどね。

 ロッサについては、有奈も少しは知っているはずだが……まあ、本当にほんの少しだから誤解してしまったんだろう。

 もう、有奈には全部話したほうがいいかな? 舞香さんにも。でも……うーん。


「まあ、ともあれ。ごめんな、変な誤解させて」

「い、いえ!! あたし達も、変な誤解をしてすみませんでした!」

「よかったね、有奈」

「べ、別に……」

「もう、素直じゃないな」


 そこも可愛い。

 っと、俺の誤解も解けたところで華燐が真剣な表情に切り替わる。話というのは、やっぱり霊関係だろうな。


「刃太郎さん。単刀直入に聞きます」

「なんだ?」

「……刃太郎さんは、霊能力が、ありますか?」


 さて、どう答えるべきか。はっきり言って俺にあるのは霊能力ではなく、魔法だ。もしくは勇者としての特殊能力的なものとか。

 華燐は、俺に霊能力があるからあの屋敷の霊を祓うことができたんだと思っているんだろう。


「そんなものはないよ。ただ、霊は見えたりするかな」

「本当に、ですか?」

「本当だよ。ただ……」

「ただ?」


 チラッと、有奈のほうへと視線を向ける。それに気づいた有奈は、意図がわかったらしく一度視線を逸らした後、首を縦に振る。

 この二人、なら大丈夫かな? 

 それに、華燐も俺に普通じゃない何かを感じているようだし。


「……二人とも。これから話すことは他言無用で頼む」

「な、なんですか?」

「すごく重要な、話なんですね?」

「ああ」


 まだ舞香さんが帰ってきていないリビング。いるのは、俺と有奈、リリーと華燐の四人。俺がこれから話すのは俺が異世界に行っていたということ。

 本来であるのなら、気安く喋ってはならないことだ。そもそも、異世界と言っても信じてくれる人はほとんどいないだろう。まあ、二次元方面の人達は信じるかもしれないけど。

 もし、信じなくとも魔法を見せれば信じてくれそうだが。そうなると、今まで以上に俺が有名になるというか、ある意味危険な存在だと思われる可能性がある。

 なにせ、常人離れした身体能力に加えて現代兵器をも凌駕する魔法。世界を脅かす存在になりうるかもしれない、と思う者も少なくはないはず。

 だからこそ、この話は俺が信用できる人達にしか話さない。それが……目の前の二人だ。


「わかりました! あたしは、刃太郎さんを信じますし。言われた命令はしっかり守ります!!」

「いや、命令じゃないんだけど」

「私もリリーと同じ。それに、大丈夫です。……私も普通じゃないので」


 わかった、と頷き俺は語りだす。

 俺が異世界に召喚されたことを。そして、屋敷で霊を祓ったのは霊能力じゃなくて魔力で消滅させたんだと。

 一通り、掻い摘んで話を終えると二人は。


「す、すごいです! 世界を救った勇者だなんて!! やっぱり、あの時あたしを常人離れした身体能力で助けてくれたのは……本物だったからってことですね!!」


 リリーは子供のように目を輝かせ、興奮。


「そんなことが……まあでも、うん。世界のどこかには別世界への門があるって聞いたことがあるし」


 華燐は、冷静に考えながら何度も頷いていた。

 この二人の反応を見て、俺はほっとしている。そこで、俺は思った。別にロッサのことも隠す必要はないんじゃないかと。

 今では、丸くなってラスボス感なくなっているし。

 ……ま、後でいいだろ、あいつのことは。


「それじゃ、魔法とかも使えるんですよね?」

「まあ、な」

「み、見せてもらっても?」


 どうやら二人は魔法に興味津々のようだ。別に減るもんじゃないが、いや減るか俺の魔力が。まあ、ちょっと炎を出すだけなら。

 そう、舞香さんに見せたものを俺は二人の目の前で披露した。


「おお……」

「これが魔法……」

「本当はもっと強力なものがあるんだけど。それは色々とまずいから、ちょっと無理なんだ。ごめんな?」

「い、いえ! これだけでも十分です!」

「でも、これぐらいなら華燐ちゃんもできるよね?」


 と、有奈が言い出す。

 こ、これぐらいならって……そうか。そう来たか。そういう意味か。二人が感動しているものをその程度と貶し、友達でもできるんですけど? みたいな小馬鹿にした感じなんだろう。


「まあ、基礎の術にあるから一応は」


 そう言って、華燐は掌から四つほどの火の玉を出現させる。これが、霊能力なのか。実際見ると、魔法みたいだな。

 その場でくるくると回した後、火の玉は消えた。


「それにしても、ここは現実的だと思っていたんだが。こういうフィクションみたいなことが実際にあるんだな」

「こういう風な術は、表舞台では使っていません。あくまで、これは上位の悪霊用なので」


 やっぱり、そういう強敵はいるんだな。

 表ではちょっとすごい風に霊を祓い。裏では、現実離れした術で上位の悪霊を祓う。表でも、裏でも正義の味方って感じでかっこいいな、そう考えると。


「とは言っても、鳳堂家でまともに悪霊を祓っているのは私ぐらいなんですけど」

「それでもすごいって! 常人では倒すことが無理な悪霊を倒せるんだから!」

「でも、今では刃太郎さんっていう私よりもすごい人がいるからなぁ」


 才能溢れる霊能力者にそう言ってもらえると、素直に嬉しいものだ。


「すごいと言えば、リリーちゃんもすごいよね」

「え? あ、あたし? あたしは……そこまですごくないって。普通だからさ。それにすごいのは親だし」

「へぇ。リリーの親ってなにをしているんだ?」


 そのことについてはずっと気になっていた。結局、あの後調べる暇がなくてリリーのことについては知らない。だいたいがあの魔帝のせいなんだが……。

 他にも、アルバイトや有奈のことを考えていたから。

 本人の口から直接聞けるのは、より正確な情報になるだろう。


「あたしの親は……漫画家、です」

「漫画家?」


 待て。確か、リリーの苗字は凪森。そして、親は漫画家。凪森で漫画家って言ったら……ま、まさか!


「結構有名なほうなんですけど。知ってますか? 凪森光一郎って」

「……マジかよ。知ってるも何も超有名漫画家じゃないか!」


 凪森光一郎。

 少年漫画を書いている漫画家で、最初の連載は十八歳からだ。そこで、才能を認められ有名な週刊誌でもう二十年も連載を続けている。

 もちろん今連載している漫画はアニメ化もしてあり、国民的なアニメとして認められているほど。

 ちなみに、ファンタジーものを最初に連載していたが。今連載しているのはコメディー漫画だ。

 まあ若干下品なギャグも多いけど、それでも面白い作品だ。


「てことは、お母さんもなにか有名な」

「あ、いえ。お母さんは……ふ、普通です。お父さんが、外国に行った時に一目惚れしてそのまま猛アタックしてようやくオッケーを貰えたって」


 そうだったのか。しかし、まさかあの凪森光一郎だったとは。なんで気づかなかったんだ俺。昔から楽しく読んでいた漫画家だったのに……。

 今でも、部屋にその漫画が何冊もあるんだ。


「それにして、有名どころの親を持つ二人と仲良くなれるなんて。すごいな、有奈」

「別に……。二人とは、偶然知り合っただけだし」

「そうなのか?」

「そうなんですよ。元々、あたしと華燐は小学校からの付き合いだったからって理由なんですけど。有奈は、高校一年生の春に知り合ったんです」


 てことは、まだ付き合いは数ヶ月程度ってことなのか。それなのに、昔からの付き合いみたいに仲がいいとは。


「あの時の有奈は、おかしかったよね」

「あ、そうそう。刃太郎さん、聞いてくださいよ。あたし達が最初に会った有奈なんですけど」

「い、言わないでー!!」

「えー? なんで? お兄さんに聞かせてあげようよ。あの時、有奈なんですけど」

「わー!! わー!!!」


 かなり恥ずかしいエピソードなんだろうなぁ。この慌てようは。しかし、悪い子への道を歩もうとしていたことだ。

 俺はそれをあえて聞いたうえで有奈を更生させたい。

 ので。


「是非! 聞かせてくれ!!」

「ほれー。有奈ちゃんはあたしが抑えておくからー」

「むぐぐ!?」


 有奈は、リリーのその豊満な胸に顔を押し付けられ口を封じられていた。すまない有奈。だが、俺はどうしても気になってしょうがないんだ。


「では、私が。実はですね? 壁に拾ったスプレーで落書きをしようとしていたんですけど」


 おー、なんか悪っぽいことだな。


「でもですね? すごく悩みこんでいてなかなか書けなかったんです。それで、やっと書いたと思ったら……ぷふっ。地面にちょこっとだけだったんですよ」


 俺は、萌えた。

 真剣に悩んだ末、しゃがんで地面に落書きをしている姿に。


「ぷはっ!? も、もう! あの時のことは誰にも言わないでって言ったのに!!」

「まあまあ。いやぁ、あの時はすごく笑ったなー。でも、その瞬間からこの子とは仲良くなれそーって」

「有奈と仲良くなれたことで、こうして刃太郎さんとも会えたしね」

「あ、今度は刃太郎さんのこともっと教えてくださいよ! あたし、もっと知りたいです!!」

「俺のことか……そうだなぁ」


 それからというもの、舞香さんが帰ってくるまで俺は、自分のことを出来る限り教えた。とはいえ、全部じゃない。

 勇者をやっていたとはいえ、ちょっと人には言えないようなこともやっていたっていうか。やっちゃったっていうか……それに、気分が悪くなるような出来事もあったからな。

 あくまで、明るい方面の話ばかりを三人には聞かせた。

 今日の話し合いで、三人との関係も結構よくなったかもしれない。俺が知らない有奈のエピソードもたくさん知れたからな。

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