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第十八話「欲望の仮面人間」

十一月です。今年も後二ヶ月……そして、この作品ももうちょっとで連載して半年になろうとしています。毎日投稿できるか不安でしたが、よく頑張ったよ自分。

「あ、やっほー。刃太郎」

「お前……なにしてるんだ?」


 有奈と共にショッピングモールに辿り着いたところ、入り口の前にでっかい犬が座っていた。藤原と共にUMA探しへと行った時に見つけたあのお犬様だ。


「フェリルくんは、コトミちゃんやコヨミちゃんのお供ってことかな?」

「そうだよぉ。僕はプレイヤーとしてカウントされていなかったけど、移動とかそういう方面で頑張ろうーって」


 有奈は、優しくフェリルを撫でながらそうなんだぁ、偉いねとフェリルを褒めている。本当、嬉しそうに尻尾を振るなこいつは。

 フェリルは、神獣だからニィ達と一緒で普通に動ける。

 だが、カテゴリー的には神々と一緒で、プレイヤーとしては参加できないってことか。だから、端末にも表示されなかったのか。

 そもそも、こいつじゃ剣も銃も持てないしな。いや、ギリギリ剣だったら咥えれば大丈夫か。


「そんじゃ、俺達も中に入るから……っと、その前に」


 端末を確認する限り、いや出入り口のガラスからでも見える。この中には相当の数が、出現しているということを。

 しかし、中だけではなく外にも出現してしまう。


「なんだか、倒していく毎に多くなってない?」

「それは言えてる。それに」


 今まで倒してきた仮面とは違った奴が混ざっている。

 一回り体が大きく、赤いマントを羽織っていた。

 ついに新敵登場ってことか。


「フェリル。有奈のサポート、頼んだぞ」

「任せてー」

「お兄ちゃんのサポートは私がやるからね!」

「おう!! じゃあ、思う存分暴れてやるか!!」


 有奈は、フェリルにまたがり、俺は己の足で敵陣へと突っ込んでいく。俺に襲い掛かってくる敵を、有奈が銃で牽制しつつ、バランスを崩したところで俺が剣で切り裂く。

 最初と比べてこいつらの体力が増えているような気がする。

 これは気のせいではいないだろう。

 ゲームというのは、進めば進むほど敵のレベルが高くなり自然とステータスも上がっていく。ということで、端末の新機能をさっそく使うとするか。


 ポイントを三十ポイント溜めた瞬間に拡張した機能。

 それは、相手のレベル、体力、名前を見ることができるというものだ。コマンドを押すと、自分の視界に自然とそれを映るのだ。

 まるで、ゲームの体力ゲージみたいに。数値まで正確に。


「やっぱり、奥に居る奴は強いな」


 奥に居るマントを羽織ったでかぶつだけ、他の仮面よりも体力が二千ほど高い。他の仮面達が、平均千三百ぐらいだとすると、でかぶつは三千ちょっとはある。

 それにしても。


「欲望の仮面人間って……」

「すごいネーミングだねー」

「で、でもわかりやすいっていうか。間違ってはいないね」


 そして、でかぶつは欲望の仮面人間(大)ね。

 とどのつまり、ただの欲望の仮面人間の大きい奴ってことだろ。だったら、問題は無い。一気に殲滅して、次はショッピングモールだ!






・・・☆・・・






 刃太郎と有奈の二人と分かれたリリー、華燐の二人はまだ敵が出現していない物静かな公園へと訪れていた。

 見渡す限り、敵影はなし。

 だが、油断はできない。端末を見る限り、十五体もの敵が出現するようだ。その中には、大きい敵が混ざっている。


「ロッサはどこだろ?」

「端末を見る限り、この先の噴水のあるところで立ち止まっているね」

「早く集合して、一緒に敵を倒さないと!」


 バルトロッサは、決して刃太郎や神々とは共闘はしない。

 だが、それ以外の者達。

 つまり、ここで知り合った者達とはなんだかんだで共闘をしてくれる。


「あっ! いた!!」

「のん気のココアなんて飲んでる……」


 バルトロッサを発見すると、温かいココアをおいしそうに飲んでいた。リリー達の接近に気づいていたようで、来たかと出迎える。


「刃太郎とは分かれたようだな」

「うん。そのほうが効率がいいし。ショッピングモール側にもかなりの敵が現れるみたいだから」

「なに? どうしてそんなことがわかる」

「えっとね、実は」


 端末の機能をまったく知らないバルトロッサに華燐は、丁寧に教えていく。なるほど……と端末をしばらく操作していると、気になる機能を発見した。

 それを見て、バルトロッサはほうっと笑う。


「サーチの能力か。敵のレベルや体力ゲージがわかるようだな」

「え? そんな機能あったの? あたしのには……ないけど」


 自分の端末を探しても、そんな機能はない。

 どうやら華燐もだ。


「どうやら、必要ポイントを稼がないと開放されないようだな。このサーチ能力は、三十ポイントで開放らしい」

「あちゃー、あたしまだ十四ポイントだ」

「私は二十二だから、後八ポイントか」

「うむ。というわけで」


 端末のサーチ機能を早速起動させ、バルトロッサは剣と銃を構える。

 すると、すぐ青白い光の粒子が溢れ出し、仮面達が出現した。


「言っておくが、貴様らにポイントを与えてやることなどないぞ。ポイントが欲しくば」

「自分で倒して、稼げってことでしょ。大丈夫! あたし達だって、やれるから!!」

「それじゃ、お先に!」


 さっそく、華燐は銃で一番近い仮面へと攻撃を仕掛ける。だが、一撃ではやられなかった。今までは、一撃で倒せていた。

 まさか、体力が増えている? と首をかしげているとバルトロッサがなるほどと頷く。


「我らのステータスは上がっていないようだが、敵のステータスは上がっているようだな。くっくっく! 面白い、面白いではないか! とりあえず、我は奥にいる細いのをやる!! だが、取り巻きも我が貰う!!」

「欲張り過ぎー!」


 魔族は欲張りだからなぁ!! と叫びながら果敢に突撃していくバルトロッサ。リリーと華燐も負けじと仮面達を撃退していく。


「幼女! 幼女!!」

「貧乳! 貧乳!!」

「うるさい!!」

「ぐあー!」

「ありがとうございましたー!!」


 相変わらず、欲望の忠実な仮面達。 

 散り際とは思えないほどの歓喜に満ちた声。だが、バルトロッサはそんなもの気になどせず、次々に仮面達を倒していく。

 そして、奥のほうで飄々としている細い仮面へと辿り着いた。


「貴様を倒せば、いったいどれだけのポイントを獲得できるのだろうな!!」


 跳び上がり、銃口を向ける。

 迷い無き三連発の弾丸が、真っ直ぐ細い仮面へと飛んでいった。


「見えた……」

「なに?」


 まさか、放たれた弾丸が見えているというのか? 他の仮面達とは違いかなり小さな声だったが、確かに見えたと聞こえた。

 ゆらゆらと揺れ、散発の弾丸を回避し、手に持っていた杖を構える。

 奇妙な杖だ。

 どうして、先端に扇状のものがついている? まさか、あれは槍なのか? そんな疑問を抱きつつも、楽しそうに笑いバルトロッサは走り出す。


「何をしようと、我はそれを打ち砕き、貴様を倒すのみ!!」

「あたし達も忘れないで!!」

「もうあの細い仮面だけ! 一気に行こう、二人とも!」


 すでに、他の仮面達はどこにもいない。

 後残っているのは、未知の細い仮面。

 三人平行して、突撃していき剣を構えた。


「そい……」


 これまた聞こえ難いほどの小さな掛け声と共に、細い仮面……欲望の仮面人間(隠)は杖を振り下ろした。

 刹那。


「ぬお!?」

「ひゃう!?」

「こ、これって……!?」


 ただ軽く振り下ろしただけだというのに、強風が三人を襲う。

 そのせいで、三人のスカートが捲れてしまう。

 リリーと華燐はすぐ押さえつけたため、見られてはいない……はずだと本人達は思っている。しかし、バルトロッサは全然隠そうとせず、それどころかなぜか前屈みになっている細い仮面。

 隙だらけだったので、攻撃を加えたのだ。


「何をしたかったのだ、こいつは」

「あ、うあ……白……純白……感無量……がくっ」


 バルトロッサにとっては何を言っているのかわからない言葉を残し、細い仮面は消滅した。

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