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第二十三話「彼は何者?」

もうちょっとで、五十万文字。

スタイリッシュ警備員過去最長の文字数になりました。一番長いので四十九万三千ぐらいだったと思いますので。

いやぁ、そう考えると結構書いているんですね……目指すは百万文字、ですかね。

 キャロルは、追いかけていた。

 追跡対象は、自分が見た中で強大な力を持っている悪魔。しかし、その悪魔は観察すればするほど悪魔には見えない。

 確かに、上から目線、見た目に似合わず難しい言葉や言葉遣いをしている

 しかし、やっていることはおいしい食べ物を観察しては、買っている普通の少女。他の女子と違うのは、カロリーなどお構いなしに買っているところだ。

 キャロルも悪魔と戦ううえで、太りすぎはいけないいつでも俊敏に動き戦える状態を維持するためカロリー計算や日々の訓練を怠ったことはない。

 見ているだけで、太りそうな食べ物ばかり。


「ん? 友達、かしら」


 そろそろ買い物も終わり商店街から出て行こうとしたところで、二人の少女に出くわした。一人は黒い髪の毛でもう一人は白い髪の毛。

 顔が似ている。

 双子だろうか? 怪しまれないように、近場で買った紅茶を飲みながらその場に止まった。


「小娘ども、今帰りか? 随分と遅いではないか。もう夕方だぞ。寄り道でもしていたのか?」

「えへへ。私達だって、寄り道ぐらいするよ。遊び盛りだからね!!」

「ついでに近くを通ったから、刃太郎の様子でも見に行こうかなって」


 刃太郎。まただ。彼女達もあの男と知り合いなのか? 


(確かに、計り知れない力のようなものを感じるけど……あんな小さな女の子達が?)


 今追跡をしているロッサもそうだが、日本はどうなっているんだ? 自分の母国でもあれほどの力を持った者。しかも、小さな女の子はいない。

 更に、暴走することなく制御しているように見える。

 キャロルも生まれた当時は、自分の生まれもっての力に振り回されていたが、今では完璧に操っている。


(まあ、完全制御に三年も費やしちゃったけど……)


 キャロルが自身の力を完全制御したのは、十二歳の時。

 それからは、父を見習って夜の世界で退魔士として活動を始め、強大な吸血鬼を初めとした魔なる者達を倒してきた。


「そういうことなら、急ぐことだな。時間を考えれば、そろそろ奴はバイトが終わる時間帯だ。入れ違いになるやもしれぬぞ」

「大丈夫! ちゃんと今からいくぞー! って連絡入れておいたから」

「抜かりはないよ。それに、サシャーナが僕達よりも先に行って足止めをしてくれているはずだから」

「コトミ様、コヨミ様。ご所望のタイヤキでございます」

「ありがとう駿!」

「とはいえ、夕食もあるからこれ一個で我慢だけどね」


 次に現れたのは、燕尾服の男。

 年齢的に自分より年上だろうか。まさか、あの二人はこの辺りでは名が知られているお金持ち? そこで、近くを通り掛った缶コーヒーを飲みながら歩いていた青年に声をかけた。


「すみまんせ。少しお時間よろしいでしょうか?」

「え? は、はい! なんでしょうか!?」


 なにやら恥ずかしがっているようだが、上がり症というやつだろうか。が、キャロルはお構いなしに彼女達のことを聞いてみる。


「突然の話しかけて申し訳ありません。お聞きしたいのですが、あの黒髪と白髪の二人は、この辺りでは有名な二人なのでしょうか?」

「黒髪と白髪? ……あ、ああ。あの二人でだったら、有名ですよ。なにせ、天宮卓哉の娘ですから」

「天宮……」


 その名は聞いたことがある。

 自分も伊達の世界中の言葉を勉強していたわけじゃない。その時に、各国のことも一通り調べた。天宮家は日本が誇る大企業で、日本だけではなく海外にも幅を広げ実力を示している名家。

 だが、自分の情報では天宮卓哉には一人しか娘がいなかったはず。

 まさかここ数ヶ月でもう一人を? いや、それだと成長が早すぎる。ならば、拾い子? それにしては、顔が似ている。


「ではな! 刃太郎に会ったら、次の勝負を楽しみにしていると伝えるのだぞ!!」

「はーい! ばいばーい!!」

「またね、ロッサ」

「道中お気をつけてお帰りください」


 と、考えている間に追跡対象が離れていく。天宮のほうも気になるが、さすがに今は一番怪しいロッサのほうを追いかけるのが先決だ。


「教えていただきありがとうございました。それでは、私はこれで失礼致します」

「あ、あの」


 去り際に声をかけられるが、今は止まっている暇はない。男を無視する形で、キャロルは再びロッサの追跡を始めた。

 しかし、住宅街に入ったところで突然姿を見失う。

 角を曲がったところまでは追跡できていた。それが、突然消えたのだ。気配も、一瞬のうちに……まるで瞬間移動をしたかのように。


「なんだったの、あの銀髪の子は……」


 結局、キャロルはもやもやした気持ちのまま帰ることになった。






・・・★・・・






「―――とまあ、なかなか面白い小娘であったぞ。我のことを久しぶりに悪魔として、見てくる奴だったからな。ばれないように追跡をしていたようだが、我には丸わかりであったぞ!! ふっはっはっはっは!!!」

「あのさ。それはわかったから、当店で食べ物を食べないでくださいお客様」

「はぐっ!?」


 もう少しでアルバイトが終わる時間十五分前のことだった。

 何かが来る気配を感じたと思いきや、目の前にロッサが次元ホールを使って姿を現した。幸い、客は誰もいなかったからよかったが。

 マナーが悪いので、額にデコピン制裁を与えてやった。


「何をする!?」

「マナーの悪い客への制裁」

「客に手をあげるとは、教育のなっていない店員だな」

「俺もそれなりの対応は取っているつもりだ。ここは、本屋だ。飲食店じゃないんだよ。食べるなら、自宅に帰ってから食べろ」

「お邪魔しまーす!!」


 そんな時だった。

 コトミちゃん、コヨミ、駿さんの三人が来店する。こんな時間帯にくるなんて珍しいな。いや、そもそもこの店に来ること自体珍しい。

 大体は、ここで臨時で働く獣っ娘達やサシャーナさんが代わりに買っていくからな。欲しい本を。


「あれ? ロッサどうしてここに? 追跡していた人を振り切ってきたの?」


 コヨミも気づいていたようだ。

 キャロルの追跡能力が低いのか。それとも彼女達の索敵能力が凄まじいのか。


「十分楽しんだからな。それで、刃太郎に聞かせてやろうと来てやったのだ!」

「俺じゃなくて、光汰にでも聞かせてやれって」

「この後、しっかり聞かせてやるつもりだ」


 あいつにとって、一番じゃないのはかなり悔しい思いをするだろうって気を利かせてやって言ってやったんだがけどなぁ。


「刃太郎様。サシャーナさんはどちらに? 先に来ているはずなのですが」

「あぁ、サシャーナさんなら」

「私のターンです! ドロー!!」


 説明しようとした刹那。

 休憩所方面から、サシャーナさんの大きな声が響き渡る。


「もしかして、カードゲームしてるの?」

「まあうん。絶賛、店長と対戦中なんだよ」


 やっているのは、トランプなんだけど。彼女達いわくただのトランプじゃ地味だ。だから、ちょっと激しいものにしようってことで。

 カードを取る時もドロー! と叫んだり。自分のターンになったら私のターン! とか叫んだり。

 言わば、宣言をカードゲーム風にしただけの普通のババ抜き。

 でもまあ、本人達は楽しそうにやっているからいいんじゃないかと。


「店長ー。そろそろ俺、終わりの時間なのでそっちも終わらせてくださいよー。サシャーナさんも、迎えが来ていますよー」

「わかっているわ!! この決闘が終わってからすぐ仕事に戻るわ!!」

「刃太郎様!! 決闘者同士の戦いは、そう簡単には終わらないんですよ! 揃いました! ダイヤのツーペアを召喚!!」


 本当、エキサイティングしてるなぁ二人とも。

 このままじゃ、一勝負終わってももう一度やりそうな勢いだ。すると、コトミちゃんとコヨミが俺の横を通っていく。


「よし! サシャーナの応援に行こう!」

「そうだね。それじゃ、失礼します店員さん」


 そんな二人に、俺は頭を掻きながらこう告げる。


「できればエキサイティングしている人を引き摺ってでも連れ帰ってくれれば、店員さんは一番嬉しいかな」

「ふむ。では、我は混ざってくるか。なかなか、楽しそうだからな」

「混ざるな。お前はさっさと帰れ」


 結局、俺が帰る時間になっても、エキサイティングしていたので。無理やりトランプを取り上げて終了させたのであった。

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