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第二十二話「遊びじゃない!」

『さっそくですが、第三の試練はこちらでーす!!!』


 第二の試練を終え、五分間の休憩を挟み早々と第三の試練がスタートした。記憶力、捜索力と来て次の試練は……。


『真剣! 勝負!! 遊びじゃないぞ!! 神経衰弱勝負ー!!!』


 まるでカジノ。

 スロットマシンや、ルーレットなどがそこら中に置いてあり、すごく騒がしい。そんなカジノの中心にテーブルが置いてあり、バーテンダーのような格好をしたリフィルだった。


「いらっしゃいプレイヤーの皆さん。今から、あなた達には代表二人を選んでもらって神経衰弱をしてもらうわ」


 トランプの束を、軽快にシャッフルしながらサシャーナさんの代わりにリフィルが説明を始める。


「神経衰弱って……今までの試練と違ってなんだか簡単そうだね」

『はい! 簡単宣言頂きました!!』

「ひゃっ!?」


 リリーの簡単宣言に反応して、サシャーナさんが再びマイクを片手に叫びだす。サシャーナさん、近くで叫ぶと耳に来るので声音を下げてください、お願いしますから。


『ただの神経衰弱と思うなかれ!! これは試練!! 普通の神経衰弱は、五十二枚のトランプをバラバラに広げ、捲った数字が合ったら手に入れられるというルールですが。今回の神経衰弱は特別ルール!!』

「このカードの束を混ぜるわ」


 と、リフィルが最初にシャッフルしていたトランプの束に別の束を混ぜる。おそらく、厚さ的に五枚ほどのカードを入れただろう。

 それを更に普通のシャッフルから、ショットガンシャッフルなど色んなシャッフルを見せつけ、テーブルに広げていく。


「さ、さっき混ぜたカードの束はなんだったんですか?」


 有奈が不安そうに問いかけると、ニィが現れ笑顔で説明をしてくれた。


「先ほどのカードは、試練カードなのです。簡単に言えば、そこの書かれた内容を捲ったプレイヤーにやってもらうというものなのです」


 そう来たか。ということは、混ぜたカードの数だけ試練が俺達を襲うってことか。その試練を考えた奴によってはとんでもない試練が来る可能性が高い。


『しかも! その試練を放棄したりしたら、せっかく取ったカード一組が無くなってしまいます!』

「その時は、あたしがその一組をまた混ぜなくちゃならないから、絶対試練をやり遂げなさいよ? 試練カードもちゃんとあんた達のポイントになるんだから。ちなみに、試練カードは一枚で二枚とカウントするわ」


 つまり、普通のトランプの数で負けていても試練カードの枚数によっては逆転できるってことか。


「ちなみに、試練のレベルは一緒に捲った数字によって変わるのです。例えば、牛乳の一気飲み、という試練が出た時に一を捲った場合は、おちょこ一杯分に対し、十三を捲った場合は一リットルのジョッキで一気飲みしてもらうのです」


 ドン! とテーブルの上に置かれたのは、一リットルのジョッキ。


「でかいっ!? そ、そんなの無理だよ!!」

「いえいえ。意外とやってみるとできるものなのです」


 そう言って、一リットルのジョッキに牛乳を入れて、マジで一気飲みをして見せた。あんな細い体でよくもまあやるもんだな。

 あれって、よくビールとかがやっているやつだよな。いくら一気飲みで有名な牛乳でも一リットルを一気飲みは、かなりきついぞ……。


「絶対十三は、試練と一緒に捲りたくありませんね……」


 試練のレベルをなんとしても低くしなければ。早めに大きい数字を手に入れるか、低い数字と一緒に捲れることを祈るしかない。

 もし、とんでもない試練に加えて最高の数字を捲ってしまった時は、無理せず放棄しよう。一組しかなくならない、そう考えるべきだ。


「それじゃ、説明も終わったところで各チームプレイヤーを選んでくれるかしら」


 プレイヤーは二人。

 ただの神経衰弱ならば、誰でもいけるだろうが。試練カードという危険なものが混ざっているから、まず一人は。


「私が行くよ、お兄ちゃん」

「大丈夫、なのか? 有奈」

「大丈夫だよ。それに、私達だって地球チームなんだから。お兄ちゃんばかり、無理しなくてもいいんだよ。ね?」

「ですね。ここは」

「私が行こうかな」


 リリーが前に出ようとしたが、華燐が先に前に出てしまう。


「か、華燐!」

「焦る気持ちはわかるけど、もうちょっと落ち着きなさい」

「やっぱり、わかっちゃうんだね……」


 それはな。付き合いが浅い俺にだってわかってしまう。第二の試練で、ナナミに負けたことを気にしているのなんてな。

 それを挽回するために、ここでって思っているんだろうけど。

 休憩の時も、力が入りすぎていた。

 だからこそ、有奈と華燐が先に宣言したのだろう。


「何年一緒にいると思ってるの? リリーはちょっと思ってることが顔に出すぎなんだよ。刃太郎さんの傍で私達の活躍をしっかり見ていなさい」

「頑張ってくるよ! リリーちゃん! お兄ちゃんもしっかり見ていてね!」

「ああ。頑張って来い! 二人とも!!」

「あたし達の分まで!!」


 俺達の声援も受け取り、二人はテーブルの前に立つ。どうやら、ヴィスターラチームはすでにプレイヤーを決めていたようだ。

 ……マジか。これは予想外の組み合わせだな。


「ようやく決まったようだな。待ちくたびれたぞ!」

「まだ私達も、決まって数十秒しか経ってませんよ」


 リリアとロッサか。

 何かとぶつかり合っていた二人だったが、いったいどんな考えがあってこの二人を出してきたんだ? これもナナミの作戦なんだろうか?

 それとも、ただ単純にロッサが自分がやると言って出て行ったのをリリアが止めに行き、そのまま二人に決めてしまったのか。

 アデルの苦笑いを見る限り、なんだかそんな感じがしてきてならない。


『プレイヤーさん達が揃いました! というわけで、第三の試練、真剣! 勝負!! 遊びじゃないよ! 神経衰弱!! 開始でーす!! ふいぃ……』


 そして、サシャーナさんは実況席に座り込み、傍に置かれていた水をストローで飲み、喉を潤す。やはり、ここまで実況をしていると喉も相当やられているんだろう。


「先攻後攻は、コイントスで決めるわよ」


 そう言って、リフィルはコイントス。手の甲で受け止め、もう片方の手で隠す。


「どっち?」

「表だ!」

「じゃあ、裏」


 ロッサが我先にと表を宣言。華燐は、残りの裏を。それを聞き、リフィルはゆっくりと手を退ける。結果は、表だった。

 つまり、ヴィスターラの先攻となる。


「うむ。我々からだな。では、さっそく」

「いいですか? いきなり試練カードとかやめてくださいよ?」

「わかっておる。だが、我個人としては、試練というものをやってみたい気持ちがあるがな!」


 一枚ずつではなく、二枚同時に捲ってみせるロッサ。

 すると。


「いきなり揃えてきたか」

「す、すごいですね」


 しかも、スペードの十を二枚。大きな数字を当ててくれるのは、試練カードの難易度を下げるのでプレイヤーとしては嬉しいところなんだろうが。

 開始早々揃えられるのは、こっちとしては苦しい展開だ。


「いきなりとは、我はついているな。では、続いていくとしよう」

「いいですよ。今だけ、あなたを応援してあげます!」


 だがしかし。そううまくはいかないようで、二回目はハートのキングとスペードの二だった。ロッサは、静かに捲ったカードを元に戻し腕組みをして佇む。


「次は、貴様らの番だ」

「う、うん」

『あっ! 言い忘れていました!!』

「え?」


 有奈がさっそくカードを捲ろうと一枚のカードに手をかけた瞬間だった。休憩中だったサシャーナさんが、喋りだす。


『カードは、プレイヤーが一周するごとにシャッフルされます! リフィル様、よろしくお願いしますね!!』

「はいはい……めんど」


 まあそうしないと、カードの位置がわかっていて簡単に終わってしまうからな。とはいえ、プレイヤーが一周する前に、捲ってしまえば問題は無い。

 これは、捲るのが後攻なこっちが有利だな。


『では、続きを!』

「……まずは、これ」


 呼吸を整え、捲ったのはハートの五だ。もしこれがロッサが捲ったもので数字と同じであれば一組揃って取れたものを。

 緊張感が包み込む空間で、有奈は次のカードを捲る。

 刹那。

 有奈と華燐の表情が固まる。ま、まさかと思うが……さっそく引いてしまったのか?


「お? さっそく試練カードを引いてしまったみたいね。えっと内容は……ほう。これは、いきなりすごうのを引いてしまったわね」

『リフィルー。試練内容を発表してほしいのですー』

「了解。それじゃ、発表するわよ。試練内容は、プレイヤー同士の……キスよ。しかも、唇にね」

「なにぃ!?」


 思わず、俺は声を張り上げてしまう。サシャーナさんは、カメラを構え、ニィは笑顔で、ナナミは口元を隠し、アデルはどう反応していいかという表情でいる。

 そして、肝心のプレイヤーである二人は、互いに見詰め合ったまま頬を赤くしていた。


「た、確かにこれは試練です……!」


 相手であるリリアは、ごくりと喉を鳴らした。


「そうか? 口付け程度が試練とは簡単ではないか」


 対して、ロッサは表情ひとつ変えず呟く。

 なんてことだ。まさか、いきなりそんな試練が来るとは。しかも、一緒に捲ったの五。結構大きな数字だが、この場合どうなるんだ?


「ちなみに、この試練の場合一緒に捲った数字の。つまり五秒間ずっとキスをし続けて貰うことになってるわ」

「ご、五秒間ずっと……」

「き、キスを……」

「どうする? ちなみに、一組も持っていない時に試練を放棄したら、次の人がスキップされることになってるわよ?」


 それはかなり痛い。こっちが後攻であるから、この試練は有利なんだ。もし、最後である華燐がスキップなんてされたら……だがしかし、有奈と華燐がキスをするなんて。

 ど、どうするんだ? 二人は!


「……ど、どうする? 有奈」


 さすがの華燐でも、恥ずかしいようでいつもの冷静さがなくなってきている。有奈、ここは無茶しなくてもいいんだ。

 確かに、試練をやり遂げれば二枚分となる試練カードはゲットできる。しかし、地球チームの勝利のためとはいえ、女の子同士でのキスなんて。

 そんなことを思っていると、有奈は無言のまま華燐へほうへと方向転換。

 え? まさか、有奈!?


「か、華燐ちゃん」

「……わかったよ、有奈。ち、チームの勝利のためになんだよね」

「ふ、二人とも!」


 してしまった……リリーが止めようと手を伸ばすが、それよりも早く。

 有奈が華燐の唇を……奪ってしまったのだ。

久しぶりにテンション高めで書いたら、こんなのなってしまった。

途中まで、普通だったんですけどね……。

さ、さすがにこれだけじゃガールズラブのタグはいらないはず!

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