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第十七話「なんでそんな名前に?」

 さて、第二問目だが……この魚、なんかすごい名前だったような気がする。


『ここで補足です! 実は、そのフリップを皆さんが座っている台のディスプレイに重ねると三百六十度回転して見る事とのことです!』


 サシャーナさんの言うとおり、フリップをディスプレイに重ねると絵が立体的に表示された。それに触れると簡単に動かす事ができる。

 二問目の絵は、髭が生えた魚。回転させて……なるほど。

 大丈夫だ、これならわかる。

 こいつの名前はっと。


「さて」


 自分は名前を書き終えたので、残った時間で自分のチームをまず見る。どうやら、有奈は若干、迷ったようだがなんとか書けたようだな。

 華燐も問題なし。リリーは……もう終わっている。

 もしかして、俺よりも早く書き終えたのか?


『どうやら、地球チームは順調に全員が書けたようですね。ですが、ヴィスターラチームは、二人ほど悩んでいるようです』


 ヴィスターラチームのほうは、リリアとロッサが若干頭を悩ませている。

 ナナミとアデルはすでに書き終えているようだが。

 これは二問目はいけたか? だが、油断はできない。もしかすると、三問目から俺達もああなるかもしれないからな。

 それから、三十秒ほど経ち、二人は名前を書き終えたようだ。


『両チーム書き終えたようです。解説のニィーテスタさん。二問目はどのようになると思いますか?』

『問題もそれぞれ違うので、ここからは本当に個人の記憶力が重要になってくるのです』

『その通りですね。まだ始まったばかりとはいえ、一問十ポイントは貴重です。もしここで大差がつくと今後の試練に影響を及ぼすことも?!』

『あるかもなのですー。なので、皆ファイトー! なのです』


 そう言われてもなぁ。

 気合を入れて覚えては見たが、結局全部を完璧に覚える事ができなかった。特に長い名前は、印象に残ったけどやっぱり曖昧だ。


『では、最初に地球チームの答えです。ほうほう、これはなかなか。まずは、出題された絵を大画面でドン!!』


 大画面に出てきたのは、髭が長い魚。

 白い体に、第二背びれの辺りに黒い模様がある。

 ちなみに、正面から見た時に俺はあっと名前が出てきた。


『一見、髭が生えた魚という風ですが。これを更に正面からドン!』

「おお。まるでおっさんみたいな顔だな」

「刃太郎先輩達のほうはこの魚だったんですね」 


 ロッサはわかっていないようだが、アデルはわかっているようだ。確かに、正面から見ればまるで人間のおっさん、いやおじさんのような顔だった。

 なのでこの魚の名前は。


『この正面から見た時の印象からこの魚は……オジサン! と名づけられました。いやぁ、地球の皆さんはとてもユニークな名前をつけるのがうまいですねぇ。そんなわけで、地球チームの皆さん。フリップを提示してください!!』


 俺達は一斉にフリップを提示。

 俺は当然オジサンと書いてある。

 大画面で、確認するが俺以外の三人も全員オジサンと書いてあった。俺は、内心でガッツポーズを取る。これで合計八十ポイントだ。

 俺は隣の有奈と、華燐はリリーとハイタッチを交わす。


『これで、地球チームリード! さあ、これでヴィスターラチームは一人でも間違えればやばい! そんなヴィスターラチームの絵をさっそくドン!!』


 大画面に映し出されたのは、ゴリゴリスだった。

 あぁ、これなら大丈夫だな。

 いや待て。これに、リリアとロッサは頭を悩ませていたのか? まさか、ロッサはともかくとしてリリアはちゃんと答えられるよな?

 だって、何度か自分の目で見ているもんな。


『さぁて、これはなかなかまた特徴的な生物が映し出されましたね』

『この生物は、ヴィスターラ出身ならば、絶対間違われない生物なのです』


 そのニィの言葉に、リリアは明らかに動揺している。

 まだ始まったばかりだというのに、冷や汗を流し体を縮こまらせていた。傍から見れば、体調を崩しいるのでは? と心配してしまうほどに真っ青だ。

 おそらく、リリアの内心ではここで間違ったらニィからの信用が消えてしまう。神々から見放されてしまうみたいな神々を信仰するシスターとしては、危機に晒されている状態だろう。

 ちなみに、ニィはそれを知っているのかどうかはわからないが。すっごく満面な笑顔を作っている。


『では、この筋肉モリモリなリスさんの名前ですが……これです!! ゴリゴリス!! そしてぇ!! ヴィスターラチームの答えは!?』


 一斉に提示されるフリップ。

 ナナミ、アデルは安定の正解。そして、問題のリリアだが……お、ちゃんとゴリゴリスって書いてあるな。

 だがしかし。


『あーっと! 痛恨のミス! ゴリラリスと書いてしまっているぅ!!』

「ふん。言い訳はしない。正直、わからなかった」

『これは清々しいのですね。さすが魔帝さんなのです。でも、ポイントは一人不正解なので』

『三十ポイント! つまり、現在地球チームが十ポイントの差でリード中となります!!』


 リリアは、ほっと胸を撫で下ろしロッサはでは次にゆくかと何事も無かったかのようにフリップを置いた。

 それから、俺達地球チームは二問連続で全員が正解。

 対して、ヴィスターラチームは三問目でリリアが不正解。更に十ポイントの差を広げ、最終問題へと差し掛かった。


「最終問題か」

「ここまでは快調だね。この調子で頑張ろう!」


 しかし、最終問題だ。

 最終問題となると一番難しいものを用意してくるに違いない。そして、ここで逆転される可能性だってある。

 だが、第一の試練をなんとしても勝利しなければならない。

 正直ヴィスターラチームは肉体派が多い。

 この記憶力の試練で一勝を掴み取っていないと今後動く系の試練が出た場合こちらが不利になる。

 なんとしてでも、間違えるわけにはいかない!


『さあ、記憶力の試練もいよいよ最終問題! 現在、地球チームがパーフェクトで百六十ポイント。ヴィスターラチームが二人不正解で百四十ポイント。このまま不正解者がなく突破すれば地球チームの勝利となります!』

「うーん。最初から躓くのはちょっとまずいよね」

「申し訳ありません。私がミスしたばかりに……」


 自分のミスを素直に悔いているリリアだが、その隣のロッサはまったく反省していない。


「なに、気にすることは無い。次の試練から連続で勝利すればいいだけのことだ」

「あなたも、少しは反省しなさい。一番最初にミスしたくせに」

「わからないものはわからない。仕方なかろう」

「ま、まあまあ。今は最終問題に集中しましょう、リリアさん」


 大変だな、アデル。

 ナナミは、しっかり者だが意外と負けず嫌いだからなぁ。内心、負けたくないという気持ちが渦巻いているに違いない。


『ではでは、これ以上長引くと喧嘩が勃発しそうなので進行させていただきます』


 最終問題のフリップが、俺達に配られていく。

 御夜さんも、なんだか安心したような表情をしている。これでバニーガールの格好から解放されるからだろうな。


(最終問題の絵は……なっ!?)


 やばい。 

 やばいやばい。これはやばいぞ。最終問題の絵を見た瞬間、俺は一気に心拍数が上がった。こんな絵、あったか? 

 あの五十枚もある絵の中に。

 やはり、最終問題。一筋縄ではいかなようだな。チラッと、有奈達を見るとやはり俺と同じように悩んでいるようだ。

 ……いや、リリーだけはなんだか余裕そうな表情をしている。

 まさかこの絵の名前を覚えているのか? だったら、確実に十ポイントはゲットできる。どうやら、相手チームも相当難しいものができたようだしな。


『どうやら、両チームとても難しい絵が出てきたようなのです。なんだかんだで、結構すぐに書き上げていた両チームがここでペンが止まってしまっているのが何よりの証拠なのです』

『ほうほう。では、皆さんのためにちょっと長めのシンキングターイムです!!』


 くっ! とりあえず、何か特徴が無いか調べるんだ。

 俺はフリップをディスプレイにセットし、絵を三百六十度隅々まで調べながら考える。これは、一見すると普通の二枚貝のように見える。

 だが、最終問題だ。

 単純にハマグリとか、アサリとか単純ではないだろう。

 ぐるっと回して見たか、全然特徴が見当たらない。

 なんだっけなぁ、結構すごい名前だったような気がするんだけどなぁ……。


 淡々とした音楽が流れる中、俺達は必死に考える。 

 記憶の奥底にあるものを探り出し、悩みに悩んだ結果。

 俺は、意を決し名前を書いていく。


「ふう……」

「こ、これで大丈夫かな?」


 どうやら、有奈もなんとか書き終えたようだ。しかし、全てに特徴的なところがあると思ったら最後の最後で何の変哲の無い貝の絵が出てくるとは。

 そんなこんなで、ヴィスターラチームも書き終えシンキングタイム終了。


『整いました! それでは、最終問題なので両チームの絵を同時に出しましょう! はいドン!!』


 さて、ヴィスターラのほうはどんな絵だったんだ? 

 大画面にの左側には、俺達の絵が。右側にはヴィスターラチームの絵が表示された。


「なに? ただの貝ではないか」

「確かに、一見すると普通の二枚貝に見えますけど……」

「えっと、なにあの毬藻?」

「花が、生えてるね」


 いや、まじで何なんだあの毬藻。

 はっきり言って、俺はあの毬藻にまったく見覚えが無い。地球にはあんなものないと思うし、やっぱりヴィスターラにあるものか? だが、花が一輪だけ咲いている毬藻みたいな……そんなものあっただろうか。

 あっちもあっちで俺達の絵に困惑しているようだし。


『両チーム困惑をしている模様! ですが、私は進行します! 今、両チームの答えを頂きました!! ではでは、まず最初に地球チームの答えを』


 頼む! 正解であってくれ! 緊張感が会場を包む中、サシャーナさんは答えが書いている紙を見詰め、息を吸い込み答えた。


『カネアハライア・カネハライです!! そして、地球チームの答えは!?』

「くっ……!」

「ま、間違っちゃった……」

『痛恨!! なんと、威田兄妹が間違ってしまったぁ!!』


 俺の答えは、カネハライガイという名前だった。くそ、まさかそんなに長くて、貝という文字すら入っていないとは。

 ちなみに、有奈はマルスダレガイと書いてあった。

 華燐とリリーはどうやら正解してくれたようだが、それでも百八十ポイント。これで逆転される可能性が高まってしまった。


『ちなみに、この貝の由来は、金原さんが見つけたからそれにちなんでつけたようです』


 そんな単純な理由なのにどうしてそんなに長くわけのわからない名前に……。


『それでは、ヴィスターラチームの答えは私が言うのです。この絵の名前は』


 毬藻のようなものに一輪だけ花が生えている。

 もしかすると、相当めんどくさい名前なのかもしれない。それとも、地球でまだ誰も発見していないものをニィ達が発見してきたとか?


『ハナサキゴケなのです』

「……え? マジでそんな名前?」

『はいなのです。ちなみに、これはヴィスターラの遠い秘境に生息しているもので。最近になって、一般的に知れ渡っているようなのです』


 なんだか俺達の絵よりも単純な名前過ぎて拍子抜けしてしまった。だが、そんな空気の中ヴィスターラチームの正解数は。


「じゅ、授業で習ったばかりのものでよかったぁ」

「くっ。深く考えすぎたか……」

「ま、また間違ってしまいました……」

「最近ならば仕方あるまい。当然、我にはわからない」


 ナナミだけが正解していた。

 つまり、合計点数は。


『これにて、第一の試練。記憶力勝負決着! そして、両チームの合計点数は……地球チーム百八十ポイント!! ヴィスターラチーム百五十ポイント! よって、第一の試練地球チームの勝利でーす!!』


 なんとか勝利を掴む事ができた。

 だけど、試練は始まったばかり。

 次の試練は、いったいどんな内容なのか。勝利の喜びを噛み締めつつ、俺は天井を見上げた。

この話のために、色々と調べましたが。

世界には、本当、どうしてそんな名前になったんだ? って思う生き物が一杯いましたねぇ。

人間もそうですが。

やっぱり名前って大事だなって。

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