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星座が導くままに、進め、少女たち。  作者: 大川魚
黄道十二宮を探せ
21/39

第十八番 一人娘は蛇遣い座の化身なのか

この物語のことをいろいろ思い出しながら読み進めていくことを作者はお勧めします!

ユメノのお母さんのことやフェニックスが語った蛇遣い座の末裔の話とか……

後は直接語られてはいないけどオルゴール館でのお爺さんのお話とかを……ね。

 「これから話す物語はすべてお母さんから聞いたものだけで形成されるから、疑問点も出てくるだろうけど、フェニックスさん。聞いてくれますか?」

 ユメノはフェニックスの顔色を確認する。

 「もちろん。聞かせて」

 フェニックスは頷き聞く態勢に入った。



 昔々、とても優しいお父さんとお母さんのもとに生まれた娘はもうじきお姉さんになるはずだった。その現実は一つの事件で幕を閉じた。事件、つまり一家虐殺事件である。しかし、この事件は謎が多く残ったらしく、なんでも一家の娘だけが生き残ったそうだ。その娘は身寄りがなく、また、犯人が再びこの地に帰ってくることを危惧したことからも村ぐるみで育てることになった。

 数年後、娘は九歳になった。九歳になるまで何事もなく、両親もいない中、それなりに幸せな生活を送っていた。しかし、犯人が捕まったという情報は一切入ってこなかった。いつまでたっても恐怖は消えない。そんな中だ、謎の集団に狙われ始めた。原因は分からない。というか、そこについて私は知らないので割愛します。何十年も狙われ続けて、その中で一人の男に娘は心惹かれていく。その男が後に私のお父さんになるのだけど、このころは娘を狙う集団の一味だった。娘の気を惹き精神的に支配することが作戦だったらしい。しかし、男は娘のことを本当に好きになっていき、集団を裏切り娘と結婚し、娘を守ることを生涯誓ったそうだ。やがて娘の腹に子供が、つまり私が宿り、喜びに溢れるのもつかの間、男は自分の子供の顔を見ることなく死んでしまった。娘と自分の子供を守るために自らの命と引き換えに集団と対峙し、集団をほぼ壊滅状態にさせた。



 「実際にお母さんも私も、私が十六歳になるまで何事もなく普通に暮らせたからやっぱりお父さんの捨て身の行動がそうさせたのかな」

 何も言わず、静かに話を聞いているフェニックスが微かに口角を上げたがユメノには気づかないものであった。

 「そうか、辛かったんだね。ユメノちゃん。よく頑張った。うん。俺はユメノちゃんのことを認めるよ。君はよく頑張った」

 大きく優しい手が心地よく感じられた。ただ頭をぽんぽんされているだけなのに、今までの苦労を程よく溶かしていく。ユメノは不思議な感覚に包まれていた。

 「結局、お母さんが何で狙われていたのか、私のことで何を秘密にしていたのか知ることは出来なかったけれど……」

 目の赤みも薄れてきた。鼻声も既になくなり、すっかりいつものユメノの姿がそこにある。一方、フェニックスの方は話すべきか話さないべきか迷いに迷った挙句、少し笑みをこぼしながら話し出す。語りだす。

 「そうか。うん。ユメノちゃん。君だったんだね。まさか、こんなところで夢の続きが見られるとは思わなかったよ」

 優しそうな笑みに対して台詞に少し、狂気を感じる気がするがユメノには気のせいだと思い込むことしかできなかった。

 「フェニックスさん?」

 「いや、気にしないでいい。ところでユメノちゃんのお母さんが狙われた理由、俺は一つだけ想像できることがあるんだけど聞くか?」

 フェニックスさんが気にしなくていいと言うのだから気にしないことに決めた。それに、その後の言葉が気になるからだ。

 「是非!想像でも構いません。聞かせてください」

 身を乗り出して聞く。今から話されることに信憑性はない、ただの想像上の話だけどもしかしたらという可能性もあるからだ。

 一羽のカラスが不気味に鳴き声をあげた。



 「まず、ユメノちゃんに思い出してほしいんだけど……ほら、蛇遣い座の末裔の話」

 そんなに昔の記憶ではない。ここ最近、フェニックスから聞いた蛇遣い座の話。蛇遣い座としての役割に耐えられなくなったのか、謎を多く残して焼身自殺を選んだ末裔の話。

 「あくまで調べたに過ぎないからね。脚色されている可能性もある話。真実は俺には分からなかった。いや、今でも真実は分からない」

 立ち上がるフェニックスの姿から視線を外せなくなるほどユメノは魅了されている。

 「さて、話を戻そうか。うん。俺はねユメノちゃんのお母さんが実は蛇遣い座の化身だったんじゃないかなと思う。執拗に狙われていたのも蛇遣い座の力目当てだったんじゃないかな。そして、ユメノちゃんに対して秘密にしていたのは末裔は既にユメノちゃんであること……とか」

 一応話の筋はとおる。お母さんが狙われていた理由もお母さんが私に対して秘密にしていたことも。蛇遣い座の末裔の焼身自殺の話とお母さんの死にざまが一致していることも。

 だけど、まだ十分じゃない。ピンとくる何かがまだ足りない。

 「確か、お父さんが集団を壊滅状態にした時って、ユメノちゃんはお母さんのお腹の中にいたんだよね?うん。それならその集団もユメノちゃんの存在に気づいていなかったんじゃないかな。だから、蛇遣い座の末裔が自身の役割に耐えきれず焼身自殺を図った、なんてデマが流れたんだと俺は考えるよ」

 多分フェニックスさんの言っていることは正しい。可能性なんて話じゃない。だけど、どうして?どうして蛇遣い座の化身であるだけで、お母さんは狙われたの?

 ユメノの頭の中では疑問が渦巻いていた。何故?どうして?

 「蛇遣い座の化身には……何か大きな力があるんですか?」

 質問せざるを得なかった。しっくりとくる答えが欲しかった。

 「そうか、あの時は話していなかったんだね。『蛇遣い座』は『黄道十二宮』の力を凌ぐ力を持っているんだ。使ってもなくならない力。その力は本人の意思により善にも悪にもなりうる。きっとその集団は悪いことをしようと考えていたんだね」

 しっくりときた。思いのほかに納得のいく話。『黄道十二宮』の力を凌ぐ、使っても尽きることのない力を持った『蛇遣い座』の力。

 「そうか……。だからあの日、村が炎に包まれていく中で、お母さん以外の人が全員無事だったんだ……。お母さんの力で……」

 あらかじめ避難経路を作っていたとしても全員無事で村を脱出することは不可能に近い。しかし、実際には村人は皆、無傷であったのだ。

さて、フェニックスは善いやつなのか悪いやつなのか。気になってきますね。

果たして、ユメノが蛇遣い座の末裔なのか……。

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