序
貴方がいなくなって十七回目の今日に。
人は死ぬと川を渡る。
人の一生は誰かとの繋がりの中で出来ている。
複雑に絡み合う“縁”と呼ばれるそれは、時に人を助け、また時に人を縛る。
対して死者という存在は、いわば流れのままに歩み続ける放浪者。全ての縁を捨て、まっさらな状態で次の生へと向かう旅人だ。
彼らを引き留めるものはむしろその道程の邪魔でしかなく、彼らは“縁”に縛られ続けている限り、決して前に進むことは出来ない。
だから人は、その一生の終わりを迎えると一様に川を渡るのだ。
川は全ての縁を切るための場所。向こう岸に着けば、家族も、友人も、恋人であったとしても、そこにある繋がりの全てが消えてしまう。
その別れをどれだけ拒んでも、避けて通ることの出来る者は一人たりとも存在しない。
それこそが、人という存在に与えられた運命であるから。
※この作品にある死後の設定は作者のオリジナルです。実際にそういった伝承があるというわけではありません。
今日は前書きにもあるように私にとっては大切な人を失った日です。
そんな日だからこそ、私の大切なものを大切な彼に見て欲しいと思い投稿しました。
読んでいただき、ありがとうございます。そして、次話もよろしくお願いします。