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エト編

~あらすじ~

”何でも屋エト”の主人エト・ミへイム

彼は今日も依頼人の要望に応えたり

薬の研究をしていた


アリサは”ラタルタの予言”にエトの事が書かれている事を機に

彼に接触する

アリサは彼にここから離れるよう訴えるのだが……

~質問~


 ガチャ


 ドアが開いた


「いらっしゃい、なんの御用かな?」

「ここで雇ってもらえないかしら」


 またか

 前々からだが僕のところに雇って欲しいという人は

 何人か訪れていた


「僕が出す問題に答えられたらいいよ」

「ええ、いいわ」


 僕は二つのフラスコを手にする


「この赤色の液体とこの黄色の液体、混ぜると何色になるか?理由を添えて答えてほしい」


 僕はいつもどおりの質問を投げかける


「黒よ、理由はヘレクトリウムとアンセリウムが混ざると化学反応が起こって黒く濁るから」

「!?」


 正解だった

 大抵の人間は橙と答えるのだが

 この少女が言うことは違った

 理由も的確だ


「どうして君みたいな少女がこれを知っているんだい?それにこれは僕しか発見していない化学物質のはずだが……」

「私の知り合いの知り合いに優秀な科学者がいるのよ、その科学者も似たような物質を発見しているわ」


 なんと言う分かりやすい言い訳だろう


「それにしても、名前まで同じではないだろう、どうしてそれが分かるんだ」

「色を見れば分かるわ」


 ふうむ


「約束通り君を雇おう」

「ありがとう、精一杯働くわ、あと給料はいらないわ」

「いいのかい?」

「ええ、お金なら余るほどあるから」

「そういえば名前を聞いてなかったね、僕の名前はエト・ミへイム、君は?」

「アリサ・レイニードよ、これからよろしく頼むわ」


 こうして彼女は僕のところで働くことになった



~何でも屋~


 彼の質問、質問の内容、それに対する答え

 すべて”ラタルタの予言”通りだった

 おかげで私は何とか彼に雇ってもらった

 彼は本当は誰も雇うつもりはなかったでしょうね

 だからあんな誰もが間違える質問をした


 それより今回も私は”ラタルタの予言”に抗おうとしている

 予言の内容に彼のことが書かれていたからだ

 この予言には何としてでも抗いたい


「アリサ君、この液体を飲むとどうなるか知ってるかい?」

「いいえ、分からないわ」

「そうか、あれだけ博学な君が分からないとはね」


 あの質問に答えたせいか

 彼の私の印象は”博学な人間”みたいだ

 確かに私は頭が良い方だけど何でも知っているわけじゃない


 ガチャ


 ドアが開いた


「あのう、ここが”何でも屋エト”ですよね?」

「ええ、そうですが」

「私、目が悪いんですよ、それを治す薬はないですかね?」


 なんという無茶苦茶な質問だ


「ええ、ありますよ」


 何い!?


「本当ですか!?それでおいくらほどで?」

「300Gで結構ですよ」


 その上安い!


「これが目に効く薬ですね、飲んでください」


 エトが依頼人に白い液体を渡す

 依頼人が言う通りにその液体を飲む


「おお!見えるようになりました!!」

「そうですか、それは良かった」

「また来ます!では!!!」


 依頼人が出て行った


「本当にここって何でもできるのね」

「そりゃ”何でも屋”だからね、何でもできないと」

「不死身になれる薬なんてのもあるのかしら」

「今研究中だよ」


 冗談かと思ったが声が本気だった

 彼は私が見た中で一番すごい人物かもしれない


~不思議な少女~


 あの少女を雇ってからも僕の日常に変化はなかった

 ただあの少女何かと僕に対して”この街から他の街に移動したほうが

 いい、あと店名も変えて”と言ってくる

 もちろん僕はそれを断り続ける

 自分の故郷を離れるつもりはないし、別にお金に困っているわけじゃないしね


 しかし、この少女不思議だ

 お腹を空かせるわけでもないし寝る様子もない

 ちなみに僕もそういう薬は開発済みだから同じようなもんだけど

 知り合いの知り合いにそういう薬を飲ませてもらったのだろうか?

 まあいい、僕も彼女の素性はそこまで気にならないし


 ガチャ


 ドアが開いた


「あのー依頼があるんですが」


 今日もいつもどおりの一日が始まる


~焦り~


 あと少ししか残ってない

 私は焦っていた

 彼をこの場所に止めるわけには行かなかった


「エトさんそろそろこの店を移動させたほうがいいんじゃないかしら?」

「君、何度もその事に関して聞いてくるね、何か理由でもあるかい?」

「それは……」

「理由によっては僕も考えるかもしれないよ」

「……分かったわ、話しましょう」


 私は彼に理由を話した

 私は異世界から来たこと

 私には予知能力(”ラタルタの予言”に関しては伏せた)があること

 あなたが危ないこと

 など


「そうか、僕はそろそろ死ぬのか」

「だから死なないために!!」

「悪いけど、それでも僕はここを離れるつもりはないよ」

「なぜ!?」

「もうやりたい事はやり尽くしたし、悔いもないんだ」

「それでも!」

「どうして君が僕に関して固執するかわからないけど」

「……」

「僕はここを離れるつもりはないよ」


 彼は断固として私の促しを断った



~処刑の日~


「ただいま」

「おかえりなさい」


 僕は研究に必要な材料の買い出しや収集から帰ってきた


「今日は依頼は来たかい?」

「ええ、2件ほど」

「そうか」


 しかし、僕の命もあと少しかあ

 やり残したことがないと言えば嘘になる

 だけどどうしてもやりたいことじゃないからいいけどね


「それより僕はどんなふうに死ぬんだい?」

「それは……」


 僕は唐突に彼女に聞いてみた


「いづれ分かると思うわ」


 曖昧な返事だ

 まあいい、ちょっと聞いてみたかっただけだし


「さあてと、研究の続きでもするか」


 僕はしばらく休んだあと席を立った



 3日後

 僕はいつもどおり研究をし

 アリサは雑用をしていた


 どおおおおん!!


 ドアが蹴破られた音がした


「貴様がエト・ミへイムだな」

「ええ、そうですが?」

「異端者狩りの令状が出ている、大人しくしてもらおう」


 とうとう来たか

 確かに僕は異端者だ

 未知の薬をたくさん開発してるし

 魔法だって使える

 この数相手でも抵抗はできるだろう

 しかし


「ええ、わかり」

「ちょっと待って」

「何だ貴様は」

「私が彼にすべてやらせたの」


 アリサが僕を庇おうとする


「ふん!こんなガキに何ができると言うんだ」

「本当よ!これを見れば分かるわ」


 アリサが手を前に出す


「ん?何もおきんようだが??」

「あれ?本が出てくるはずなんだけど」

「嬢ちゃん、ふざけるのも程々にしてくれ」


 恐らく彼女は手から手品のように何かだそうとしたのだろう

 しかし、不具合が起きたと


「エト・ミへイム!行くぞ!!」


 僕は両手を縄で縛られ連行された


「アリサ、君と過ごす時間は楽しかったよ」


 僕は彼女に最後の言葉を残した


~抗えない予言~


「うそ……どうして……どうして……」


 私はあの時手から本を出そうとしていた

 でも出なかった

 もう一度やってみる

 私の手から本が出る


「なぜあの時出なかったの……?」


 私はまたもや”ラタルタの予言”に抗うことが出来なかった

 ラタルタは言っていた”いづれ君は予言に抗うことができるだろう”と

 私がまだ力不足だからなのだろうか?


「……」


 エト・ミへイムの最後の映像が私の頭の中に流れた

 彼は十字架に貼り付けにされて心臓に剣を刺されていた


 私は”ラタルタの予言”をもう一度確認した

 ”1人の青年が処刑される、名はエト・ミへイム

 少女はその行く末を見守る”

 ”少女はそれを止める”ではなかった

 私は抗いたかった

 彼の処刑を止めたかった

 でも出来なかった


「……うぅ……」


 悔しさのあまり涙が出た

 これも私にとって必要な経験だとでも言うのだろうか……


 ピカーン


 花のペンダントが光った


「次の世界へ向かうのね」


 私は今度こそは”ラタルタの予言”に抗おうと心の中で誓いつつ

 この世界から姿を消した


ーエト編ー

  完

アリサとアマリアのパラレルワールドォ!

第5話


「アリサたああああん!!ゲホッ!!!」


 後ろからアリサに抱きつこうとして肘打ちをくらうアマリア


「何してるの!?」

「はっ!」


 洗面所に忍び込んでアリサの下着の匂いを嗅ぐアマリア


「アマリア、おきゃくさ」

「あわわわ!!!」


 部屋一面にアリサの寝顔の写真を貼るアマリア


「これが平行世界のあなたよ」

「……」


 平行世界の私の頭を机の角におもいっきりぶつけてやりたい

 そう思うアマリアだった

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