フリンク編2
「フリンク様!」
「ミーシャ、ミーシャなのか?」「はい」
俺はミーシャを二度も失った。自殺して後を追おうとも思った。しかし、俺は王だ。いくら、ミーシャの為とはいえ、勝手に自殺して、民や側近に迷惑をかけてはいけないと思い、寿命まで王として過ごした。
「ここは?」
「ここは天国です」
そうか、俺は死んだんだな。
「フリンク様、ずっと私はこの世界から貴方を見守ってきました」
「そうか」
「そして今、やっと会えた。ミーシャはとても嬉しいです」
「でも、ミーシャ。俺は」
俺はミーシャを守れなかった。それも二度もだ。
「ミーシャ、こんな情けない男でごめんね」
「何を言うんですか? フリンク様、貴方は最初出会った頃から今まで私の王子様でしたよ!」
「俺はお前を守れなかった」
「フリンク様はミーシャを守りましたよ。ちゃんと。だから悲しい顔をしないでください」
「だが、俺は」
「それよりもフリンク様」
「ん?」
「ミーシャも大人です」「それが?」
「私と結婚してください」
「は? ……ハハハハハハッ!」
ミーシャの唐突な告白に思わず笑ってしまった。
「これから先、フリンク様はミーシャとこの世界で永遠に生きてください!」
「はあ」
「飽きたとか言ったら許しませんからね!」
「ハハハ、分かったよ」
ミーシャとこういう会話を話していくうちに、罪悪感も自然に吹き飛んだ。
そうか、俺はもう天国に来たのか。そうか……そうか。
「フリンク様?」
「あ、ごめん思い出し泣きだ」
やっと俺は報われたんだな。
「それはそうとフリンク様」
「何だ?」
「貴方に会わせたい人がいます」
ミーシャはそういうと俺の手を握り、歩いた。歩いて数分後、目の前には教会が現れた。
「ミーシャ」
「あらミーシャお帰り」
教会の中から、女性が顔を出す。
「フリンク様。彼女がフリンク様に紹介したい相手です。
「フリンク。初めまして。私はアリサ・レイニード」
「レイ……ニード!!」
そうか、こいつがあのレイニードかっ!!
「きぃさまああああ!!!」
「フリンク様、落ち着いて」
「まあ、その反応も無理はないわね」
俺は剣を引き抜き、その女性を斬ろうとした。
「こうなることは覚悟の上だから」
そういうと、女性は涙を流していた。その涙を見た瞬間、自然と殺意は治まった。
「フリンク様、彼女は悪気があってあんなことをしたわけではなかったのです」
「……しかし!」
「ミーシャに免じて許してあげてもらえませんか?」
「……くっ!」
俺は仕方なく剣を抜く手を引いた。
「許してもらおうとは思っていない。だから、斬りたいなら斬ればいい」
その彼女の言葉に責任を感じた。
「俺はお前が憎い」
「……」
「だけど、ミーシャに免じて許してやる」
「ありがとう」
こうしてアリサ・レイニードと呼ばれる女性と俺は和解した。
「とりあえず蟠りは終わったとして」
ミーシャが軽い鼻歌を歌いながら、
「フリンク様、私とこの楽園を見て回りませんか? 素晴らしいものがたくさんあるのです!」
「ああ」
「ではアリサ様、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
俺はミーシャに連れられて教会を出た。俺は今、幸せだ。この楽園でミーシャと永遠と結ばれる。そう思うと、過去の苦しみは吹き飛んだ。
―フリンク編2―
完




