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クリス編2
「あああああああ……ああああああああ!!」
苦しい。
「俺は……俺はああああああ」
俺はただ国や仲間を守りたかっただけだ。
だけど、あの女性の顔が……あの女性の顔が俺の脳内から離れない。
俺は正しいことはしたはずなんだ。
ニコラス・マリン。間違っているのはお前のほうだ。
だけど、だけど、あの女性が…………。
「ああああああああああああああああああ」
――、
「クリス」
ニコラス・マリンを殺した男
その後、彼は自殺した。
「アリサさん」
「何かしら? ミレイナ」
「クリスさんの容体はどうでしょうか?」
「それが……」
アリサさんが重い口を開いた。
「完全に罪悪感に支配されてるわ。正常な状態に戻るには結構な時間がかかりそう」
「そう……ですか」
私はクリスを許してる。
だけどクリスはそれを知らない。
クリスは自分で自分のことを許せていない。
罪悪感に囚われている。
「クリス。もういいのに」
私は小粒の涙を流した。




