表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/78

アマリアの日常編2


「チェックメイト」

「ああ、また負けた」


 私は今アリサとチェスをしている

 十回戦中三勝七敗

 私の負け続きだ

 タイラほどではないが強い


「アマリア、ここはこう攻めるべきだったわね」


 アリサが私にチェスの極意を伝授する


「ここで守ったのが悪かったのか」

「ええ」

「もう一回だ」

「私、そろそろ戻らなきゃ」

「あと一回だけでいいから」

「はあ……分かったわよ」


 私とアリサはもう一回チェスを始める


「そう言えばアリサはもう死人なんだよな」

「ええ」

「タイラには会ったか?」

「いや、彼には会ってないわ」

「そうか……」

「でも彼の魂は生きている」

「それならいいんだ」


 タイラの魂は生きている

 その事実だけが分かれば充分だ


 私はアリサにいろいろ聞いた

 霊界はどんな場所か

 そこで何をしているのか 

 そこにはどんな人物がいるのか


 彼女はそれに答えてくれた

 それを聞けば聞くほど霊界が素晴らしい場所だと言うことが分かる


「アリサ、私が霊界へ行くとしたらどの位置か?」

「中級霊ね」

「なぜ?」

「あなたは民を幸せにし幸福へ導いてきた」

「うむ」

「しかし、あなたは父親を殺した」

「…………」


 ウイリアム・スタットフェルト

 私の父の名だ

 私の父は私と母に暴力を振るっていた

 私は軽い方だったが母に対しての暴力は酷かった

 それは見るに耐えないほどだった

 父の過剰な暴力のせいで母は死んだ

 父はそれを隠蔽した

 私はそれが許せなかった 

 だから私は父を殺した

 父の部屋の机の引き出しから銃を取り出し

 寝込みの父の頭を撃ち抜いた……


「あなたはその償いをしないといけない」

「それもそうだな」


 自分の罪は重々承知している

 逃げられるとも思ってはいない

 私は受け入れるつもりだ

 自分の罪を

 父殺しという大きな罪を


「あなたは父を殺した」

「…………」

「でもそれを補って余りあるほどに民に尽くしてきた」

「…………」

「あなたが素晴らしい人間であることには変わりないわ」

「アリサ……」

「ちょっ! アマリア!?」


 私は思わずアリサに抱きついた

 そして大量の涙を流した

 そんな私の頭をアリサはよしよしと撫で

 優しい言葉をかけてくれた


「チェックメイト」

「やるわね、アマリア」


 最後の最後で私は勝利をおさめた

 嬉しい


「それじゃあ私はそろそろ行くわね」

「また会えるよな?」

「ええ、あなたの世界が上層世界へ近づけば近づくほど霊との交わりは強くなる」

「…………」

「そしたらまた会えるわよ」

「分かった、私はこの世界を上層世界へと導こう」

「期待しているわよ、アマリア……」


 そう言って彼女は姿を消した

 彼女も霊界で頑張っているのだ

 私も頑張らないとな


「リュウ」

「なんでしょう? アマリア様」

「見回りのほうは順調か?」


 私はこの世界で王としての役割を果たすのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ