表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/78

閑話「ヘルフェスとタケル」


「次の世界か」


 見た感じ中世のヨーロッパみたいだ

 ラタルタの予言が開く

 俺もこの預言書の扱いは手馴れたもので

 頭の中で開くことが出来た


 ”あのカフェである人物を待て”か


 何のつもりか分からんが

 まあいいだろう

 俺の目の前にはいかにもお洒落な雰囲気のカフェがあった


 俺はその中に入り

 その人物を待った

 

 数十分ほど経った頃だろうか

 俺はとある人物に話しかけられた


「あのーあなたがヘルフェスさん?」

「ほお、お前がか」


 その人物は黒髪のどこにでもいそうな一般人みたいな出で立ちだった

 ただ体は鍛えてるのかところどころ筋肉が盛り上がっている


 その瞬間俺の頭の中でラタルタの予言が開いた


 ”その人物と共に独裁者を説得せよ”


 ほお

 今回の任務はそれか

 しかし、そんなの俺からしたら簡単だ

 なぜこいつと行動を共にする必要があるのか分からない


「俺、タケルっていいます、その、よろしく頼みます」

「まあ俺はお前がいなくても何とかなるが」


 俺に話しかけるということはこいつも事情は分かってんだよな

 俺は聞いてみることにした


「それでもちろんお前も事情は知っているんだよな」

「独裁者の説得……ですよね?」

「そうだ」


 やはり知っていた

 こいつは何者だろうか?

 とも思ったが別にそんなことはどうでもいい

 俺の目的はこのふざけた預言書を書いたラタルタを殺し

 アリサ様の下僕として仕えることなのだから


「それじゃあ早速行くぞ!」

「ちょっと待ってください! 俺たちだけで独裁者を説得するんですか?」

「そうだが?」

「どうやって」

「そりゃ直接王宮に乗り込んで独裁者をコテンパンにすればいい話だろう」

「な!? 無茶です!」

「お前にとっては無茶でも俺にとっては楽勝なの」


 こいつは臆病者だな

 正直この任務、俺一人で充分だ


 俺たちは王宮へと向かった


「俺の足を引っ張るような真似はやめてくれよ」

「はいはい、分かってますって」


 まあ俺にこいつを守る義理はない

 こいつがピンチになろうとなるまいと俺は任務を遂行するだけだ


 そうこうしている間に王宮の門が見えてきた

 目の前には二人の兵士が門番の如く立っていた


「それじゃあ行くぞ! タケル」


 俺はその声と同時に門番どもを吹き飛ばしてやった

 余裕だ

 しかし、中には大量の兵士達がいるだろう

 悪魔の姿になれれば便利だが……


「やはりここではアレにはなれないか」


 どうやらこの世界では悪魔にはなれないらしい

 正直この体で大量の兵士達を相手にするのは面倒だ

 もしかしてタケルという人物が共にいるのは

 それを助けるためなのか?

 だとしたらラタルタの予言はよく出来ていると言える


 俺たちは王宮の中に入っていった

 門の中にも勿論兵士達がいて俺たちを見るや否や剣を向けてきた


「侵入者だ!」


 その兵士の声と同時に兵士達が俺たちに襲いかかる


「フンッその数で俺を倒せるとでも思ったのか?」


 そんな言葉を吐き捨てたものの正直少し不安になった

 いかんいかん俺は上級悪魔にしてアリサ様の下僕のヘルフェス

 こんなところで怯むわけにはいかない


「グアッ!」


 タケルが兵士の剣を避け顔面にパンチを食らわした

 その兵士は吹っ飛び気絶する


「お前、なかなかやるな」


 俺はタケルを褒めた

 こいつ思ったよりやる

 やはりこいつが共にいるのは俺の援護のためなのだろうと察する


 俺たちは兵士達を薙ぎ倒しながら玉座へと進んでいった


「何奴!」


 玉座に座るこの王宮の独裁者であろう人物が俺たちに対して叫び声をあげる


「よお、お前がここのボスか?」


 俺は不敵の笑みでやつに話しかける

 しかし、正直ここまで来れたのは人間の姿の俺一人では無理だったかもしれない

 タケルという人物

 なかなか使えるやつだったよ


 俺は側近を倒し独裁者に近づいた


「な、何が望みだ?」

「お前の命」

「ヒィ!!」


 俺は鞘から剣を抜き独裁者に斬りかかろうとした

 しかし、やはり抑止力がかかってやがる

 殺すという説得方法は使えないか

 

「やめろヘルフェス! 俺たちの目的は説得で殺すことじゃ」

「チッ、やはりダメか」

「ん?」


 タケルは俺の行動を不思議がってた

 まあ無理もない

 突然独裁者に斬りかかろうとしたのに

 それを止めたのだからな

 

 ラタルタの予言が開いた


 ”独裁者に奴隷を開放するよう伝えよ”


 なるほどなるほど

 俺はラタルタの予言通り


「とりあえず奴隷達を開放しろ」


 と独裁者に伝えた

 独裁者は


「わ、分かった、そうする」


 と素直に頷いてくれた

 いいよお

 素直な子は俺は嫌いじゃない


 こうして俺たちはその役目を終えた

 この役目を無事終えることが出来たのも

 タケルという人物がいたおかげかもしれない

 ただ俺が本気を出せれば一人で行けた

 負け惜しみではない

 この世界の俺は力が制限されていて悪魔になれなかった

 その補助としてタケルが俺の前に現れた

 それだけのことだ


 俺たちは王宮を出た

 

「ん?」


 俺の右腕にしているアリサ様からもらった花の腕輪が光った


「うおっ!」


 タケルはそれを見て驚いた様子で声をあげた


「次の世界へ向かうのか」

「次の世界?」

「お前には関係ない」


 こいつともお別れか

 まあ別に特別な感情があるわけじゃない

 俺はいち早くラタルタを殺すために次の世界へ向かわねば


「短い間だったがじゃあなタケル」


 俺はタケルにそう言い残しこの世界を去った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ