アリサの日常編5
「あなたは生まれ変わらないといけないわ」
「それよりレイト、レイトはどこなの?」
「レイトはあなたと同じ暗闇の中」
「レイトに……レイトに会いたいよお」
「レイトに会い」
「うわあああああああああん」
ミーナは泣き出してしまった
この世界にいて分かったことだが
街中で殺戮を行っていた少年少女
彼らの名前はレイトとミーナと言う
私はミーナが泣き止むのを待った
何日待ったことだろう
やっとミーナは泣き止んでくれた
「レイト……レイト……」
この二人の生い立ちには同情せざるおえない
クローンとして生み出され
戦争の道具として使われるためだけに育てられた
彼らは被害者だ
しかし、だからといって殺戮が許されるわけがない
「あなたは生まれ変わらないといけないわ」
「何で?」
「あなたは殺戮を行った」
「私たちは何も悪くない、悪いのは私たちの死闘を嘲り笑いながら見ていた人々よ!」
私は何度もミーナを説得したが
彼女は自分は悪くないの一点張りだった
レイトにも同じように説得したがダメだった
彼らは歪んでいるが本当の愛で結ばれてると言ってもいい
そこで私はある提案をした
「そうね、あなたは悪くないわ」
「ええ、そうでしょう」
「レイトに会いたくない?」
「会いたいわ」
「生まれ変わったら彼に会えるわ」
「ほ、本当!?」
「ええ、本当よ」
もちろんそれは嘘だ
嘘も方便
彼らを説得するためには仕方がなかった
それに嘘じゃないかもしれない
というのも二人の愛が本物なら
必ず巡り会えると思うからだ
「ただいま、ラタルタ」
「お帰りアリサ君、また二人に生まれ変わる決意をさせてくれたそうだね」
「ええ、彼らを説得するのは大変だったけどね」
「君の活躍には目を引くものがあるよ」
「お褒めの言葉、ありがとうラタルタ」
「君には近々ある役目を任せようと思うのだが」
唐突にラタルタが切り出してきた
「役目……?」
「まだまだ先の話だがね」
「そう」
私は教会を出てヘルフェスのいる地上世界を見渡した
彼のいる世界は極めて階層が低い世界だった
まあ元上級悪魔であった彼の生まれ変わる場所としては相応しいのかもしれない
早いものでヘルフェスはもう三歳になる
彼を正しい道へ導くのも私の役目の一つだ
「ヘルフェス、必ず私があなたを幸せにしてみせるわ」
私はそう固く決意した




