異星人編
~あらすじ~
光水晶によって
チージャ、イレイス
2つの国の戦争が無事終結し平和な18年間の日々を
送っていたアリサとアマリア
しかしある日突然預言書のページが開いた
そこに書かれてるのはこの世界の試練だった
「この世界に異星人が襲撃しにくる……」
アリサはアマリアにこのことを話し
再び戦うことを決めたのだった
~アリサのアマリアの現在~
あの大きな戦争から18年
私は今年で33歳になる
不死身だったアリサもこの世界が平和になってから
力を失い年をとっていた
私とアリサは毎日平和に過ごしていた
一緒に買い物に行ったり
一緒にチェスなんかもした
アリサはタイラほどチェスは上手くなかったが
私とほぼ互角でなかなか張り合いがあった
それとアリサは花が好きみたいで
私の庭の屋敷で花を摘むか
もしくはどこかの花畑に花を摘みに出かけたりしていた
「う~ん、困ったものだな」
私は今朝、自分の部屋でネットサーフィンをしていた
私たちは街中で買い物をしていると良く目立っていた
恐らく私が王であることと
アリサがあまりにも美人だからであろう
「アマリア様、アリサさん、今日もお綺麗ですね」
街の人々が私たちに話しかける
私は自分の素性を隠すつもりは無かった
屋敷で暮らしているのは王宮にいるのが堅苦しかっただけだからだ
私と一緒にいることで
アリサの知名度も上がった
アリサはまだ幼さは残るものの美的な顔つきしており
ひときわ周りの目をひいた
ネット上ではアマリア派とアリサ派で派閥ができるほどである
別に私たちは仲が悪くはないんだが……
この世界は平和にはなっていたが
事件がいくらかは起きていた
まあそこまで大したことではなかったが
「アマリアおはよう、朝食ができたそうよ、一緒に食べましょう」
「ああ分かった!今行く」
私たちは1階のリビングに向かった
~王の仕事~
「アリサ、お前はいつもその本を持ち歩いているな、そんなに”ラタルタの予言”という本が大事か?今は平和だからその本はもう必要ないだろう」
「いいえ、念の為に持っておく必要があるわ」
「ふうん、まあいいが」
アリサの話によると何か予言が追加されるたびに
この”ラタルタの予言”という本は開くという
しかしこの世界が平和になってからというもの
この本は一切開かなかった
「アマリア様、お客様です」
メイドが私に話しかける
「分かった」
私が屋敷の玄関に向かっていると
そこにはリュウの姿があった
「アマリア様、おはようございます!あなたに面会したいという人物が何名かおりまして」
「ふうむ、まあいい、暇だしな」
恐らくまた要望か何かだろう
私は王であるから民の要望には答えないといけない
「アリサ、私は用事があるからお前に留守を任せる」
「ええ、分かったわ、行ってらっしゃい」
私は王宮へと向かった
~異星人~
私は朝食を済ませると部屋に戻った
アマリア様は一応王であるから
この屋敷を留守にすることは良くある
「う~ん、暇だし庭にある花でも摘みに行こうかな」
私は屋敷から出ようとしていた
ピカーン
突然の私の首にかかっている花のペンダントが光りだした
「うぐっ!」
またあの映像が頭の中に流れてくる
しかし、慣れているせいかあまり苦痛では無かった
ペラ
「ん?」
私が持っている”ラタルタの予言”という本が開いた
「まさか、この本がまた開くときが来るとはね」
私は早速”ラタルタの予言”に追加された予言の内容を
チェックした
「そんな……」
”ラタルタの予言”にはこう書かれていた
「”近々、他の世界がこの世界を侵略するであろう”」
私はこの本が開くかどうか気にしていた
しかしまた開くなんて……
「アマリアに知らせないと」
私はアマリアの帰りを待った
「ふう」
私は屋敷に戻ってきた
民の要望を聞こうと思っていたのだが
ほとんど感謝の言葉だった
私は屋敷に隠居していて
大体のことは家来たちに任せていたから
別に感謝される筋合いは無いのだが……
「ただいま」
「お帰りなさい……アマリア」
アリサの顔色が悪い
体調でも崩したのか?
「ちょっと話があるの、いいかしら?」
「ふうむ、なんだ?」
私はリビングに行き
アリサの話を聞いた
「なんだと!?」
私は驚いていた
あの戦争以来この世界には一切戦争が起こっていなかったのだ
また戦争が始まるとは
しかも異星人からだなんて
「分かった!そうだな、これは世界会議を開いて皆で話し合う必要がありそうだ」
「ええ、そうしたほうが良さそうね」
「アリサ、お前も私と一緒に参加したほうがいい」
「え、なぜ!?」
「異世界から襲撃が来ると言っても誰も信じてくれないだろう、お前がこの予言のことを話す必要がある」
「そ、そうね……分かったわ」
異世界からの侵略者
俄かには信じられない話だが
アリサの口から、いや”ラタルタの予言”がそう告げているというのであれば
本当なんだろう
「アマリア様、アリサ様、夕食の準備ができました」
メイドが私たちに話しかける
「ああ、分かった」
私とアリサは夕食を食べながら雑談をしつつ
明日の世界会議に向けて準備をしていた
~世界会議~
私は各国の代表を集めて話し合いをした
「俄かには信じられない話ですな、何か根拠はあるのですか?」
予想通りの質問が来る
「アリサ、例の話を」
「分かったわ」
アリサは皆に”ラタルタの予言”という本を見せつつ
”ラタルタの予言”について話した
チージャ国とイレイス国の戦争
あの黄金の機体の登場
それら全てが”ラタルタの予言”に記されていたことなど
「ふうむ、なるほど
その本を見せてもらってもいいですかな?」
各国の代表の1人が口を開いた
「ええ、いいけど」
アリサは皆に”ラタルタの予言”という本を見せた
「何も書かれていませんが」
皆が呆れたように言う
「この本は選ばれし者にしか読めないの、今のところこの本を読めたのは私と私のお兄様だけね」
「それじゃあ根拠に欠けるのではないか」
各国の代表者が口々に指摘する
「だが、今言った通りチージャ国とイレイス国が戦争をしたこと、あの黄金の機体が現れたことは事実だ」
私がすかさずフォローする
ペラ
「あっ本が開いた」
「おおっ!」
アリサが待ってましたとばかりに言う
皆も驚いた様子だ
「この本は次の予言が追加されるときは勝手に開くの」
アリサが説明する
「それで、その新しく追加された予言にはなんと書かれているのですか?」
皆が予言の内容を気にして言う
「”明日の午後12時にダガナ国のミレイル街を巨大な光が飲み込むだろう”」
アリサが予言の内容を口にする
「な!?私たちの国がですか??」
ダガナ国の代表が驚いた様子で言う
「ダガナ国のミレイル街の人々は直ちに避難したほうがいいわね」
「しかし、何の根拠も無いようじゃ」
「根拠ならあるだろう」
私が口を挟む
「この本が勝手に開くことがですか?」
「ああ」
「ううむ」
ダガナ国の代表は少し悩んでいた
しばらくすると口を開いた
「分かりました、一旦ミレイル街の人たちを避難させましょう」
どうやら納得してくれたみたいだ
「とりあえずこの本の予言が当たった場合、皆、本の予言の内容を信じてくれるな」
各国の代表は渋々承知したみたいだ
これで世界各国が集まった会議が終了した
「アリサ」
「何?」
「私たちの世界の戦力で異世界の侵略に耐えられるだろうか?」
「耐えられないようだったらラタルタは最初からこんな予言なんて書かないはずよ」
「それもそうだな」
「この予言を頼りにしていけばきっと上手くいくわ」
「そうか、ならば信じよう、”ラタルタの予言”とお前の言葉を……」
明日には”ラタルタの予言”通りダガナ国のミレイル街は光に包まれて滅ぶ
不謹慎だが私は内心ワクワクしていた
~滅ぶミレイル街~
翌朝の午後12時
本当にミレイル街が光に包まれて滅んだ
このことで全世界が震撼した
「まさか、本当に滅ぶとは」
各国の代表は驚いた様子で口々に言う
「これで分かっただろう、彼女の言う通り”ラタルタの予言”は本物だ」
皆納得した様子だった
「次の予言はあるのですか?」
代表の1人が言う
「ええ、もうあるわ」
アリサがその言葉を待っていたと言わんばかりに口を開く
「”明日の午後3時28分にバルサ国に敵が攻め込んでくる”」
アリサの言葉に皆固唾を飲んだ
「ではバルサ国に兵士を待機させておきましょう」
代表の1人が言う
「そうだな我がチージャ国もそれに協力しよう」
私もそれに賛同した
~マルス再び~
ダガナ国のミレイル街が滅ぶ
そのことは俺の国バルサ国でもニュースになっていた
そして今度は俺の国に敵が攻め込んでくるそうだ
「お久しぶりです、アマリア様」
「久しぶりだな、マルス」
俺とアマリア様は再び再会することになった
「今度はこの国に敵が攻め込んでくるんですよね」
「ああ、予言に書いた通りになるだろう」
「まさか予言を本当に当てる人物がいるとは」
俺は預言者などは一切信じなかった
だが今回のは違う
上の者たちが口々にあの予言は本物だというからだ
「それにしてもアマリア様昔と違って随分色っぽくなりましたね」
「お前も随分ダンディになってきたではないか」
久しぶりに再会した俺たちは他愛もない話をしていた
「私はアマリア様、いえ全世界の民のために命を惜しまず戦う所存であります」
「それは頼もしいな」
明日には異世界からの敵が攻め込んでくる
相手は未知数だ
正直太刀打ちできるか不安だがやるしかない
俺はバルサ国の誇り高き軍人なのだから
~天国~
「ここは?」
私は夢を見ていた
いや、違う
私はあの時覚醒していた
だから眠る必要なのないのだ
目の前には教会が見えた
「あ、アリサ!」
後ろから声がした
振り向くと
・
・
・
・
・
・
・
お兄様がいた
「お、お、おにいさまあああああああ!!」
私はお兄様の元に走った
お兄様に久しぶりに会えて私はとても嬉しかった
私たちはしばらくの間抱き合っていた
「こ、これは夢なの?」
「頬でもつねってみるか?」
「お願い」
お兄様が私の頬をつねる
「痛い」
まだ頬をつねる
「痛い!」
まだ頬をつねる
「痛い!!」
まだ頬をつねる
「もう!痛いから離してよ!お兄様の意地悪!!」
「ははは、すまないな」
お兄様がやっと私の頬から手を離す
「お兄様……」
「アリサ……」
私たちはお互いに沈黙していた
話たいことはたくさんある
私のほうから口を開いた
「お兄様、ここはどこなの?」
「ここは天国さ」
天国?私、いつの間にか死んじゃったのかしら
「いいや、アリサは死んでないよ」
「ん?私何も言ってないけど」
「ここでは思ったことは何でも明るみにでちゃうんだ、簡単に言うと相手の心が丸見えってところかな」
「へえ、そうなんだ」
「僕は天国から暇があればいつもアリサの様子を見ていたよ」
「そ、そう」
「とうとう君もここまで来れるようになったんだね」
「ん?どういうこと??」
「ラタルタ様が言ってたんだ、いづれ彼女はここに辿りつくだろうって」
「ラタルタ……」
「アリサ、ラタルタ様をあまり恨まないでやって欲しい、彼は悪気があって僕たちをこんな目に合わせたわけじゃないんだ」
「分かってる!分かってるけど!!」
「とりあえず、ラタルタ様に一度お会いしてみる?」
「そうね、ぜひ一度会ってみたいわ」
私はお兄様に連れられて
ラタルタがいる教会の中に入った
「おおミハエル君、お帰り、そこにいるのは……」
「はい、僕の妹のアリサです」
「初めましてエドワード・ラタルタ」
「初めまして、アリサ君」
ラタルタはとても温厚そうな顔をしていた
彼は善人だということがうかがいしれる
「君には悪いことをしたと思っているよ」
「……」
「君は今でも私を恨んでいるのかね?」
「分からない、分からないわ!お兄様と巡り合うことができた!でも……」
「まあ仕方がないだろう、私もそういう覚悟は出来ていた」
「……」
沈黙が続いた
しばらくするとラタルタが口を開いた
「アリサ、君がここに来たのには理由があるんだよ」
「理由?」
「君は私の予言の中で重要な”鍵”になっているのだ」
「”鍵”?」
「ああ、私が言うのもなんだが君の魂はまだまだ未熟だ」
「……」
「君の魂はこれからも進化していく必要がある」
「今までの予言も私の魂を進化させるためにあったというの?」
「ああ、君はいろんな悲しみを経験し、いろんな善行を積んでいかなければならない」
「そのために私を苦しめたの?」
「ああ、君にはとても辛い体験だったろう、あんな映像を見せられた上に兄の死を目の前にされたのだから」
「……」
「分かっている、納得がいってないんだろう」
「ええ、私はお兄様と幸せに暮らせればそれで良かった!お兄様と一緒にいられればそれで良かった!!」
「……」
「アリサ」
お兄様が口を開いた
「君にも僕にもラタルタ様にもそれぞれ使命があるんだ」
「……」
「こんなことを言うのもなんだけど君はもう大人だ、子供じゃない」
「……」
「だからどうか分かってほしい、兄の僕からのお願いだ」
「……分かったわ、お兄様がそこまで言うのなら」
「さっきも私は君が私の予言の中で重要な”鍵”になると言ったね」
ラタルタが再び口を開く
「ええ」
「つまり”鍵”である君の魂が進化すればどうなると思う?」
「……どうなるの?」
「君の活動範囲が広がり全次元の世界が幸福に満たされた平和な世界になるのだ!!」
「幸福に満たされた……平和な世界……」
「何か不満かね?」
「え、あ、いいえ、いいことだと思います!皆が幸福でいられることは」
「そうか、そう思ってくれると嬉しいよ!ああ、それと」
「それと?」
「今君が持っている本があるな」
「”ラタルタの予言”のこと?」
「ああ、その預言書の内容も変わってくる」
「どういうこと?」
「君は私が書いた預言書の内容に抗うことができるようになるんだ」
「そうなの!?」
「今まで君は私が書いた預言書に抗おうとしてきたね」
「ええ!」
「それが、出来るようになるんだ!素晴らしいだろう」
「ええ!!とても素晴らしいと思うわ!!!」
「ただし」
「ん?」
「予言通りに行かないということでもある」
「それって……つまり……」
「そう、君の行動次第ってことだ」
「それじゃあ予言の意味がないじゃない!!」
「そうではないんだ」
「どういうこと?」
「私の予言は当たる」
「ええ」
「だが君の行動次第で私の予言が変わるということだ」
「???今いち良く分からないわ」
「まあいづれ分かるだろう」
「そう」
「アリサ君、これからも君はたくさん辛い思いをするだろう」
「……」
「でも頑張って欲しい!私からの心からの願いだ」
「僕からもお願いするよ、アリサ」
二人が私に頭を下げる
「分かったわ」
これで私とラタルタとの会話は終わった
他にもラタルタに”肉を食べちゃダメなの?”という
他愛もない質問をしたが
悪くもないが良くもないという曖昧な答え方をされた
生前のラタルタと比べてみると頑固ではなさそうだった
今、お兄様とラタルタは迷える魂を救う戦いをしているらしい
こちらの世界でもいろいろ苦難があるそうだ
「アリサ、そろそろお別れだね」
「え?」
「そんな悲しい顔をするなよ、大丈夫!いづれまた会えるさ」
「……」
「さようなら」
私の意識が途切れた
「アリサ!」
「アリサ!!」
声がする
「アリサ!!!」
「はっ!!!」
ふと我に返る
目の前にはアマリアがいた
「どうした?ぼーっとしてたみたいだが」
「何でもない、大丈夫よ」
あれは夢だったのだろうか?
いや!違う
あの時私は本当に天国にいたんだ!!
私の魂が進化すれば楽園が実現する
そう思うと胸がワクワクした
~アリサの決意~
「アマリア」
アリサが突然私に声をかけてきた
「どうした?アリサ??」
「私も戦う」
「何を言ってるんだ、お前はもう充分戦っているじゃないか、預言書の内容を」
「そういう意味じゃない」
「どういう意味だ?」
「あの異星人と戦うの!」
「お前、機体の操縦とかできるのか?」
「私の手をとって」
「ん?どうしてだ??」
「いいから!」
私は渋々アリサの手をとった
「ここは?」
辺り一面が花畑になっていた
「ここは私の始まりの場所よ、それよりあれを見て!」
アリサの指差す方向を見る
「あの機体は!?」
そこには黄金に輝く機体があった
前に私の国チージャ国とイレイス国との
戦争に割り込んできた機体だ
「私、あれに乗って戦うわ」
「出来るのか?」
「分からない、でもやるしかないわ!」
とりあえず私たちはあの機体に乗り込む
「この機体、操縦する装置が全くないじゃないか!」
「この機体は人の意思で動くの、最も限られた人のだけど」
「お前に動かせるのか?」
「だからさっきも言ったじゃない!やるしかないって」
そう言ってアリサは目を瞑り意識を集中させる
「う、動いた!?」
「良かったあ」
「前の戦争のときもお前はこの機体に乗っていたのか?」
私は疑問をアリサにぶつける
「乗っていたわ、でも動かしていたのは私じゃない」
「誰なんだ?」
「リヴァート国の英雄よ!」
そう言ってアリサは空を見上げるのだった
~異星人の襲撃~
翌日の午後3時28分
予定通りバルサ国全体に敵が襲撃した
敵は目玉みたいな形をしていて
その目玉からビームを放っていた
「か、数が多すぎる!!」
バルサ国には他の国からも応援が来ていた
しかし、戦況はとても不利だった
「くっ!ここまでか」
俺たちは絶望していた
仲間がどんどんやられていく
1機
2機
3機と
敵がどんどん押し寄せてくる
「!?」
突然だった
視界が真っ白になった
しばらくすると敵の残骸だけが残っていた
「あ、あの機体は!!!」
仲間が驚いた様子で声を発した
仲間の向いた方向を見る
そこには黄金に輝く機体が天使のような翼を
バタバタと羽ばたかせていた
「どうやら今回の敵は光に弱かったみたいね」
あの機体から声がした
「助かりました、礼をいいます!」
その場にいる仲間達があの機体に平伏した様なポーズをとる
あの機体がいなかったら今頃バルサ国は滅んでいたことだろう
俺もあの機体に平伏した
~モテモテのアリサ~
私たちは艦内へと黄金の機体を搭乗させ
機体から降りた
「アマリア様!どこ行ってたんですか!?探しましたよ」
兵士の一人が私に言う
「すまん、少したそがれていた」
「それで、そこの女性は」
「ああ、彼女か、彼女の名はアリサ・レイニード、今日からこの機体のパイロットになる」
「アリサです、よろしくお願いします」
「はあ」
兵士はアリサに見とれている様子だった
夕食後
私がたそがれようとラウンジへと向かうと
「あ、アリサさん!け、結婚を前提にお付き合いしてください!!」
という声が聞こえた
「え、えと……その……」
アリサは困った様子だった
「彼女は私の嫁だ、同棲もしている」
私はアリサの肩に手を回す
「!?」
二人とも驚いた様子だった
「アマリア、どういう」
「いいから合わせろ」
私は小声でアリサに言う
「そ、そうなのよ、私たち付き合ってるの」
「そう……ですか……」
アリサに告白した人は唖然に取られた面持ちで立ち去っていった
「あ、ありがとう、助かったわ」
「いや、今のは本気だぞ」
「え!?」
「冗談だ」
「もう!意地悪!!」
普段凛々しい顔をしたアリサの怒った顔はギャップがあって可愛かった
~次の敵~
私が部屋で休んでいると”ラタルタの予言”が開いた
早速目を通す
”明後日にリヴァート国に敵が攻め込む”
今度はリヴァート国か
私はアマリアにこのことを伝えた
各国の機体がリヴァート国に結集する
その中でも優秀な機体はイレイス国とチージャ国の機体
さすがは大戦争を引き起こした国
恐ろしいわね
もっとも今私が乗ってる機体のほうが恐ろしいけど
「皆、地面を攻撃して!!」
「なぜです!?」
「いいから!!!」
私は敵の気配をキャッチしていた
皆が地面に向かって攻撃をする
そうすると地面から体長15mの機体を飲み込めそうな
サメのような生物が何体か湧き上がった
その生物は湧き上がると同時に動かなくなった
「アリサ、お前のおかげで犠牲を出さずに敵を倒す事ができた、感謝する!!」
「当然のことをしたまでよ」
私たちはお互いに協力しながら次々と異世界からやってくる敵を倒した
~異世界への試練~
私とアリサが他愛もない話をしているとき
アリサが持っている本が開いた
「……」
「何と書いてあるんだ?」
私はアリサに尋ねる
「3日後、少女は一人で三人の強敵を倒す」
「それってつまり……」
「今回の出撃は私だけじゃないとダメみたいね」
「それはダメだ!!」
私は強く否定した
アリサは私にとって大切な人だった
タイラのようにはなってほしくはない
「でも……これは私の魂の試練だから」
「それでもダメだ!!お前までいなくなったら私は!!!」
「大丈夫よ、私は簡単には死なない」
「そうか……でも約束してくれ!必ず生きて帰ると」
「もちろんよ、”ラタルタの予言”通りにいけば死ぬことなんてないわ」
3日後、なぜか兵士の皆が不調を訴えてきた
私も不調だった
これも”ラタルタの予言”の仕業なのだろうか……?
~三強~
私は黄金の機体に乗ってしばらくの間チージャ国で待機していた
”ラタルタの予言”には場所は指定されていなかったのでどこでもいいのだろう
しばらく待つ
すると突然殺気を感じた
「!?」
私は敵の弾を間一髪で避けた
強力な弾だった
一歩間違えばコックピットに当たって即死だっただろう
2機の機体がこちらに近づいてきた
片手には銃、片手には剣を持っていた
2体の機体は両サイドから私の機体に攻め込んでくる
といってもある程度距離を空けて攻撃を仕掛けて来た
私の機体は大きな光を放って敵の目くらましをすることが出来る
それを考慮した上での行動だろう
とりあえず私は敵の攻撃を避けながら狙撃された方向へと向かっていった
「見つけた!!」
私を狙撃している機体は私が近づいているのを見ると
すぐ様後ろに引いていった
しかし私の機体のほうが速かった
「これで1機!!」
私は狙撃してくる機体を剣で切り裂いた
「あと2機」
2機は狙撃された機体が撃破された瞬間
即座に剣に切り替えて私の機体に接近してきた
数百
数十
数mと
「今よ!!」
私は2機の機体が間近に来た瞬間
黄金に輝く機体から大きな光を発した
2機の機体の動きが止まる
私は即座にその2機の機体を切り裂いた
どうやらさっきの行動はパターンの中に当てはまっているだけで
私の機体のことは考慮にいれてなかったらしい
考えて損した……
「はぁ……はぁ……はぁ……これで終わりかしら?」
とても疲れた
あれだけの敵の攻撃を避けながら戦ったのだ
そりゃ疲れる
新手が来る様子が無かったので
私は帰還した
~異世界への旅立ち~
あれから数ヶ月経つが
未だに”ラタルタの予言”は開かなかった
「チェックメイト」
「くっ!お前にまで負けるとはな」
私はアマリアとチェスをしていた
最初は負け続きだったが次第に勝てるようになった
「それにしても、もう敵は攻めて来ないのか?」
「ええ、本が開かないわ」
「それならいいが……」
「もう疲れたから休んでいいかしら?」
「お願い!もう一回!もう一回勝負してくれ!!」
「はあ……」
私はアマリアとのチェスを再会する
ペラ
「あっ」
”ラタルタの予言”が開いた
「ん?本が開いたな、新たな敵か?」
「それが……」
「とりあえず内容を教えてくれ」
「分かった、話すわ」
私はしばらく溜めたあと
”ラタルタの予言”の内容を発した
「”おめでとう 君は異世界へと旅立つ”」
次の瞬間
「なんだ!?」
私が首にかけている花のペンダントが光を放った
次第に私の体が薄くなっていく
「そうね……そうね……そういうことなのね!ラタルタ!!」
「アリサ……?」
「どうやらお別れみたい」
「そんな!アリサ!!」
アマリアが咄嗟に私の手を掴もうとする
しかし、霞めただけだった
「お前までいなくなったら私はどうしたらいいんだ!!」
アマリアが泣きながら叫ぶ
「そんな悲しい顔をしないで、大丈夫!いづれまた会える!!」
私はお兄様があの時発した言葉をそのままアリサに放つ
「絶対!絶対だぞ!!絶対に戻ってくるって約束だぞ!!!」
「ええ、約束するわ」
こうして私はアマリアの前から姿を消した
ラタルタ
私はいつかきっとあなたの願いを叶えてみせる
いつか……きっとね
ー異星人編ー
完
アリサとアマリアのパラレルワールドォ!
第2話
「舐めてんのかてめえ!!」
「やんのかこらあ!!」
ある二人の男性が路地裏で喧嘩をしていた
「二人ともやめたまえ」
ある男が二人の喧嘩を止める
「なんだ?てめえ!」
「てめえにはかんけえねえだろ!!」
男は言う
「いや、関係あるね、俺がここを通りかかったんだから」
「てめえ調子乗ってるとぶっ殺すぞ!」
男性の一人が言う
「ああ、構わないよ」
「なんだとお!!」
さっきの男性が男に殴りかかる
「!?」
「Dの中といったところか、俺を1ミリでも動かしたければCはないとな」
そういって男は立ち去っていった
二人の男性はただただ唖然としていた
果たしてあの男は一体誰なのか?