翼の日常編2
俺は愚連隊の情報を手に入れるため
刑務所にいるミ・フェンセンの元へ訪れていた
彼は暴力団”黒龍”のボスだ
「久しぶりだねえ、ヘブンズワールドのマックス・コールドウェイ」
「今は違う電子特殊警備隊所属だ」
「しかし、あの君が今では警察官とは、事実は小説より奇なりとはよく言ったものだ」
「さて、愚連隊の居場所を吐いてもらおうか」
俺は早速本題に入った
「私も軽く見られたものだ」
「愚連隊の本部はどこにある?」
「私がそんなことを教えてくれるとでも思ったのかい?」
「嫌でも吐いてもらう」
俺は銃を彼に向けた
「そんなことでこの私が彼らの居場所を吐くと思うのか?」
くっやはりダメか
俺は銃を下ろした
「君に面白いことを教えてやろう」
「何だ?」
「君の組を襲撃するように仕向けたのはこの私だ」
俺は耳を疑った
「今……何て言った……?」
「おや? 聞こえなかったのかい? 君の組を襲撃させたのは私なんだよお」
「どういうことだ!!」
「君たちヘブンズワールドは私たちヤクザにとって邪魔な存在だった」
そう、俺たちの組ヘブンズワールドは勧善懲悪
ヤクザではあったものの人助けをするのが主で
同じヤクザから人々を守っていたのだ
「だから私は他の組と連絡を取り君たちの本部を襲撃させた」
「……」
「その光景は見ものだったよ」
「……」
「特に君が姉御と呼んでいたあの女の死に様はなあ、ハハハハハハハハ!」
「きぃさまあああああああ!!」
俺は再び銃を彼に向ける
「いいのかい撃って? そんなことしたら君もこっちに来ることになっちゃうよお」
「ちっ!」
ミ・フェンセンとの面会が終わった
あいつが俺の姉御を!
しかし、今更憎んでもどうしようも無かった
昔の俺ならあいつをすぐに撃ち殺していたのかもしれない
だけど今の俺は警察官でミディもいる
そんなことをすれば俺の生活は壊れるし
ミディも悲しむ
俺は怒りの感情を抑え電子特殊警備隊本部へと戻った
「お帰り、マックス」
中にはいつもどおりダンコンさんがいた
「ただいま……ダンコンさん」
「その様子だと有力な情報は入手出来なかったようだな」
「すいません」
「まあ仕方がない」
愚連隊は最近街中で問題を起こしている集団だ
俺は彼らの本部を突き詰めるために情報を探していたのだが
いっこうに見つかる様子がない
「ダンコンさん、もう一度情報を手に入れるため出かけてきます」
「いや、もう君は帰りたまえ」
「なぜですか?」
「君にはミディの子育ての手伝いをしてもらう」
「しかし」
「これは命令だ」
「あ、ありがとうございます!」
しかし、俺は恵まれてるな
ダンコンさんはいい上司だし
翼は優秀な後輩だし
ミディは美人な奥さんだし
この生活……守っていかないとな
そういやアリサはどうしているのだろうか?
天国で俺たちを見守っているのかな?
俺はそんなことを思いつつミディと住んでいるアパートに戻った




