表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘブンズワールド  作者: ライプにっつ2
世界の破滅
53/78

世界の破滅編最終

「よくやってくれた皆の者感謝する!」


 私たちはこの街に攻め込む悪魔たちを殲滅した


「ありがとうございます」

「いいえ、あなたがたを守るのが騎士の努めですから」


 善良な市民たちの感謝の言葉にマルスが謙虚な姿勢で返す


「僕たちが悪魔に対抗できたのもあなたがたの力が大きい、頭が下がる思いです」


 そういってマルスは私の仲間たちにも礼を言った


「何か騎士隊長にそんなこと言われると照れるな」


 信彦が照れくさそうに頭をかく


「あれを見ろ!!」


 何名からの市民、騎士たちがある方向を指差した


「何? あれ……」


 そこには光を放って輝く渦が出来上がっていた

 普段私たちが見る渦とは違っていた


「アリサ君、キュアリスから朗報が届いた」

「何かしら?」

「神々がイキテド村の教会に行けるに渦を完成させたらしい」

「あの渦ね」

「ああ、君しか入ることができないようだ」


 あれがイキテド村の教会へと繋がっている渦か

 神々も思ったより早く完成させたわね


「なるほど、それじゃあ私は行ってくるわね」

「ああ、健闘を祈るよ」


 私は渦の中に向かおうとしていた

 これでやっと世界の秩序を戻すことが出来る

 そう思った矢先


「待ってよ、アリサちゃん」


 信彦が私を止めに入った


「残念ながらあの渦には私しか入れないわ」

「それはわかってんよ」

「じゃあ何?」

「もう少し時間をくれないか?」

「はあ!?」


 私は信彦のその言葉に驚きを隠せなかった


「今この間にも他の世界では善良な市民たちが悪魔によって残虐に殺されてるのよ」

「それは分かってるよ」

「じゃあなぜ!?」

「俺さ」


 信彦は語り始めた

 拳やクリートなどの仲間たちと出会ったこと

 勇者として戦えたことに誇りを持ったこと

 私たちとの旅が楽しかったこと

 など


「世界の秩序が戻ったら彼らと別れることになるんだろ?」

「……そうなるかもね」

「だから俺っちはもう少し時間が欲しいんだ、彼らと別れの挨拶をする時間が」

「……」

「だから頼むよ、アリサちゃん!!」

「ちょっ!」 


 信彦は急に私の前で土下座してきた


「俺からも頼む」


 拳も信彦と同じように土下座してきた

 どんだけこの二人は仲がいいんだか


「わ、分かったわよ」

「ほんとに!? やったああ!!」


 さすがにここまでされると私としてもどうしようもなかった

 私はラタルタの元に戻る


「どうしたのかね? アリサ君」

「信彦たちがもう少し時間が欲しいと私にお願いしてきたわ」

「そうか」

「不服かもしれないけど許してね」

「別に私は構わんよ」


 私たちは今夜パーティを開くことになった

 お別れ会みたいなものだ


「世界の秩序が戻ることを祝って……乾杯!!」


 私たちは乾杯の音頭を交わす


「拳、他の世界でも元気でな」

「な!? お前が泣くなんて……お前らしくないな」

「俺っちだって人間だ、泣くことぐらいあるよ」


 この二人の仲良しっぷりは相変わらずだ


「マルス隊長」

「何だ」

「私はあなた様に憧れて騎士になりました」

「そうか」

「あなた様の偉業は今でも私たちの世界の歴史に刻まれております」

「それは良かった」

「マルス隊長、天国でもお元気で」

「ああ、君も騎士としての誇りを持ち、正義のために命を削り、大切なものを守るために戦って欲しい」

「はい!!」


 マルスと人族であろう騎士が握手を交わす

 マルスの言葉には重みがあった

 彼もいろいろ苦労してきたことが分かる


「アリサ」


 翼が私に話しかける


「今しか言えないと思ってさ」

「何かしら?」

「俺、俺……」

「ん?」


 翼がどもってしまった

 と思ったら


「アリサのことが好きだ!!」


 という発言をした


「そう、ありがとう」

「それだけが言いたくって、それじゃあ」


 翼は照れ隠しのようにその場を去った


「ようエックス」

「だから俺はエックスじゃないって」

「いいじゃない、あなたの二つ名みたいなものなんだから」

「ミディお前まで……」


 マックスは相変わらずいじられまくってる


「クリートちゃああああんゴホッ!!」


 クリートも上に同じだ

 ふざけて抱きついてくる信彦に強烈の一撃をお見舞いする


「エト様、あなた様のおかげで私たちは救われたました改めて感謝します!」

「いや、僕は当然のことをしたまでさ、礼を言われるほどでもないよ」

「出来ればあなた様にお礼をしたかったのですが残念です」

「このお別れ会がお礼みたいなものだろう?」

「それもそうですね」


 エトとスレイダがそう言った会話を交わす


 そんなこんなで私たちのパーティは幕を閉じた

 とても楽しいパーティだった


「本当にアリサちゃん、行っちゃうのかい?」

「ええ、もうお別れ会は充分済んだでしょ」

「うわああああああああああん」


 唐突に信彦が大声で泣き出す

 子供か、こいつは

 そんなんで良く勇者になれたと今更ながら思う

 まあ彼を勇者にしたのは私だけど……


「まだ別れたくないよおおおおおおお!!」

「ちょっと!!」


 信彦が私の足に抱きつく

 本当に困ったやつだ


「おい! 信彦!!」


 拳が私の足から信彦を引き離す


「ありがとう、拳」

「アリサ、またいつかお前に会えるよな」

「ええ、会えるわ」

「その時を楽しみにしてるよ」

「こちらこそ」


 私は光輝く渦の中に入っていった


「……」


 教会の中だ

 ここがイキテド村の教会ね

 私の目の前には十字架が建っており

 その中心には光水晶が埋められていた

 私はその水晶に手を置く

 するとその水晶が光を放った


「汝、この世界の秩序を戻すことを願うか?」


 その声が聞こえた瞬間私の頭の中に映像が流れた

 宇宙の誕生

 世界の誕生

 人間の誕生など

 どれも神秘的なものだった


「もう一度聞こう、汝この世界の秩序を戻すことを願うか?」

「ええ、願うわ」

「例え、それで汝の魂が消えるとしてもそれを願い続けるか?」


 私は困惑した

 これはお兄様の時とフリンクの時と被る

 世界の秩序が戻ると同時に私の魂が消えるのだ


「ええ、それでも願うわ」


 しかし、私は真っ直ぐに答えた

 私の一人の魂よりも幾多の魂の方が大事だと分かっていたからだ


「そうか、では最後に鍵となる言葉を」


 鍵となる言葉

 私にはそれがもう何か分かっていた

 私は心を込めてその言葉を言い放つ


「どうか全ての世界が幸福で満たされた平和な世界になりますように」

「汝の願い聞き届けたり」


 その声が聞こえた瞬間

 光水晶が強烈な輝きを放った


「私の魂は……もう……消えるのね」


 最後に一度お兄様に会いたかったな

 でももういい

 もういいのだ

 私の魂が消えることでお兄様の魂が蘇る

 もう充分だ

 それだけでも充分幸福だ


 私は永遠の眠りについた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ