世界の破滅編17
~アリサルート~
「エックスさん? ギャハハハハハハ」
「そう、笑うなよ、この傷は決意の証でもあるんだぞ」
拳がマックスの額にあるXマークの傷を見て笑う
「クリートちゃああああん、ゲホッ」
「抱きついて来るな、殺すぞ」
クリートが後ろから抱きついて来る信彦に背負投げをする
クリートとマックス
この二人はいじられキャラだ
「な? クリートって男だったのか?」
周りは驚きを隠せない様子だった
私も初めて彼を見たとき女の子だと思っていた
それにしてもクリートという男、黒髪ロングストレートな髪型をしているせいか
アマリアと姿が被る
「もう、皆ふざけてる場合じゃないでしょ、私たちが今こうしている間にも世界は破滅へと向かってるのよ!」
「もう、アリサちゃんかたいこと言わないの」
信彦が私を宥める
そんなこんなで私たちは世界の秩序を正すための旅をしていた
「おお!!」
ラタルタが驚きの声を上げる
「どうしたの? ラタルタ」
「アリサ君、キュアリスから朗報が届いた」
朗報?
何かしら
「この世界の秩序が戻ると魂も元に戻るそうだ」
え? てことはつまり……
「ラタルタもう一回言ってちょうだい」
「消えていった魂が元に戻るのだよ」
「ほ、ほんと……?」
「神であるキュアリスが言うのだ、間違いないだろう」
「よ……良かった……」
「あ、アリサ君!?」
私はその場で泣き崩れてしまった
信彦や周りの人たちがどうしたのかと私の近くに駆け寄る
「お兄様に……お兄様に会えるのよね」
「ああ、そうだとも」
「本当に……会えるのよね」
「ああ」
良かった
その言葉しか出てこない
お兄様だけじゃない
アリアやヘルフェスの魂も戻ってくるのだ
この時ほど幸せを感じたこともなかった
やはり人間は苦しむほどそれを乗り越えた時に幸せになれるよう作られた生き物だと言うことがよくわかる
「そうと決まれば先へ進みましょう」
私は泣き終えるとそう発言した
「朗報はそれだけじゃないよアリサ君」
「何かしら?」
「現在神々が私たちをイキテド村の教会へ辿り着けるよう渦を開発している」
「ってことはつまり」
「ああ、何年も旅を続ける必要がないということだ」
「や、やったあああああああ!!」
私は喜びのあまり叫んでしまった
周りの視線が私に集まる
正直ちょっと恥ずかしい
「それじゃあ、これからどうするの? ラタルタ」
「とりあえず善良な人々を悪魔たちから守るために旅は続けよう」
「そうよね、そのほうがいいと思うわ」
私たちの世界の秩序を戻す旅は続く
ただ今度の旅は絶望的な旅じゃなく喜びの旅なのだ
私はお兄様と会える日が楽しみで仕方がなかった
~マルス・エンゼルハートルート~
「マルス隊長、ヴォルグ隊が西の方角を守っていますが絶望的な模様です」
騎士が僕に告げる
「助太刀したいのは山々だけどこっちも手一杯だ」
「どうしましょう?」
「ヴォルグ隊に退くよう伝えて欲しい」
「そんなことすると一般市民にも被害が及びます!」
「くっ! どうすれば……」
僕は悩んでいた
このまま退けば一般市民に被害が出る
しかし、このまま戦い続ければ騎士たちが全滅する
僕は葛藤していた
「何だ!?」
突然兵士たちが声をあげる
目の前には見覚えのない人たちがいて悪魔たちを一掃していた
その中に一人だけ見覚えのある人物がいる
アリサ様だ




