世界の破滅編16
「お前はアリサ?」
「ええ、久しぶりねマックス、翼、ミディ、ダンコン」
私たちは渦の中に入って彼らがいる街に辿りついた
何とか間に合った
彼らも丁度悪魔に襲われていたところだった
「さて、いっちょ暴れますか」
拳がそう言い放つ
悪魔たちは急な展開に驚きを隠せないようだ
信彦がトリッキーな動きで敵の攻撃を交わし
エトがスタイリッシュな動きで敵を殲滅し
拳が爆弾でも仕込まれてるかのような銃弾を放ち
クリートが的確に敵の急所を撃ち抜き
スレイダが善戦する
彼らの連携は完璧だった
悪魔たちも最初は勢いに任せて彼らに立ち向かったが
彼らの動きを見ているうちに怖くなって散り散りになって逃げ出した
「助かったよ、皆感謝する」
「いえいえ、僕らは当然のことをしたまでです」
マックスの感謝の言葉にエトが社交辞令かのように答える
「なあ、アリサ俺たちもお前についていっていいか?」
「ええ、いいわよ」
「助かる、今ミディのお腹には俺の赤ん坊がいるんだ」
「え!?」
突然の言葉に私は驚きを覚える
「あ、アリサは知らないんだよね、あれからミディとマックス結婚したんだよ」
「そうなの……おめでとう! マックス、ミディ」
翼が説明するかのような口調で言う
マックスは照れくさそうに笑い
ミディはそのマックスを見て笑う
二人の関係は夫婦そのものだった
そうか……マックスとミディは結婚したのか
私も小さい頃(今でも小さいけど)はよくお兄様と結婚したがっていたものだ
今でもあの頃のことは覚えてる
「どうした? アリサ、泣いているようだが」
「え?」
私は気づかないうちに涙を流していた
お兄様のことを思い出していたからだろう
もうお兄様はどこにもいない……
「ごめんなさい、ちょっと考えごとをしていたの」
「泣くほどのことか?」
「ええ、でも気にしないで些細なことだから」
「はあ」
私は手で涙を拭った
泣いている暇はない
泣くわけにはいかないのだ
私は強がった
というのも私には早く目的地へ辿りついてこの世界の秩序を戻す使命があるからだ
その使命を達成する必要がある
亡くなったお兄様、アリア、ヘルフェスのためにも
「さあ早く進むわよ」
「おう!」
信彦と拳が元気良く返事をする
この二人はすっかり仲良くなったようだ
しかし、呑気にそんなことを考えてる暇はない
私は早くこの悲劇の旅が終わることを切に願いつつ目的地へと足を進めた




