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ヘブンズワールド  作者: ライプにっつ2
アリサの世界
5/78

ラタルタ編

~あらすじ~

終わらない貧困・飢餓・戦争

この世界に救いはないのか?

いや、きっとあるはず!

エドワード・ラタルタはこの思いを胸に一つの預言書を執筆する


「この預言書は選ばれしものにしか読めない」


選ばれし者とは一体誰なのか?

果たしてこの預言書が示す未来とは?


今ここにラタルタの人生のすべてが明かされる

~生い立ち~


 1194年9月19日14:53


「……」

 私の名はエドワード・ラタルタ

 私はこの世に生を受けた

 私は産声を一切上げなかったという

 通常産声を上げないというのは命の危険を意味する

 しかし不思議なことに私の場合、命に別状はなかったそうだ


 1195年5月28日


 私は喜怒哀楽を示さないため

 いつ母乳を上げるか、はたまたいつトイレをしたか分からず

 両親は四苦八苦してたみたいだ


「……」

「この子、何も感情を表さないんです、病気でしょうか?」

「病気の可能性が高いですが100%そうだとは言えません、様子を見ましょう」

「……分かりました」


 1196年1月13日


 私は初めて言葉を話した

 母は私に初めは”ママ”と呼ばせようとしたらしい

 母のその思いとは裏腹に私が最初に発した言葉は

 ”かみ”

 だったそうだ


「ほらエドワード、ママって言ってみて!マンマ、マンマ」

「か……か……み」

「え?」

「か……か……み」

「こんな言葉教えたかしら??」


 1197年6月15日


 私は常に空を眺めていた

 周りに対して興味を示さず

 また他の子と交わりはなかった

 両親や保育士達はそんな私を心配していた


「……」

「エドワード君、どこ見てるの?」

「お空……」

「お空綺麗よね!エドワード君はお空が好きなんだ?」

「うん!あのね!お空には神様がいるの!それでね!僕たちを幸せにしようと頑張ってくれてるんだ!僕も神様みたいになりたい!」

「そうなの!エドワード君ならなれると思うわ!きっと!」

「うん!」



 1202年3月22


 空を眺めてばかりで、周りに興味を示さず、交わりを好まない

 そんな私だったが不思議といじめはなかった


ラタルタ「……」


「なんだあいつ」

「関わらない方がいいよ、何考えてるかわからないし」

「そんなことより遊びに行こうぜ!」

「うん!」


 1205年4月14日


 私が家に帰ってやることは座禅を組んで瞑想することだった


ラタルタ「……」

母「エドワード、ご飯よ」

ラタルタ「……」

母「エドワード!聞いてる!?」

ラタルタ「……」


 あと私は野菜しか食べなかった


「エドワード今日の肉は特上だ!いっぱい食え!」

「いらない」

「え?」

「肉!いらない!」


 私は肉が嫌いだった

 味があまり好きじゃない

 それに動物の肉を食べることに罪悪感をもっていた


「あの子大丈夫かしら?」

「ほんと、不思議な子だなあ」


 両親はそんな私を見て不安にもなったりしたが

 慣れてきたのかだんだん気にすることもなくなっていた


~預言者~


 1206年5月25日


「う……う……う……ん」

 私は嫌な夢を見る

 今にして思えばこの頃が預言者としての始まりだったのかもしれない


 私は両親にここは危険だと訴えた


「お母さん、ここから離れて!ここは危険なの!」

「エドワード、何言ってるのよ?」

「とにかく危険なの!」

「冗談はやめなさい」

「冗談じゃないって……」


 両親は耳を傾けなかった


 街の人たちにも同じように訴え


「皆!聞いて!」

(がやがや……がやがや……)

「この場所は危険なの!早く逃げて!!」

(何言ってんだこいつ……)


 やはり街の人たちも耳を傾けず嘲笑する有り様だった


 1206年5月26日14:53


 ドドドドドドドド・・・・・


 地震が起きた


「なんだ!?」

「きゃあああ!!」


 それも大きな・・・

 大地は割れ、水が水神の怒りを買ったかの如く流れ込み、建物は跡形も無く崩れ去り

 辺りは死の海と化した


「生きてる人はいないか!?」

「いたら返事してくれえええ!!」


 幸い私たちは無事で家も半壊した程度だった

 不吉な夢が現実となった瞬間である


 1206年5月27日


「この子だよ!この子がこの地震を予知したんだ!!」


 街の人たちが私が言っていたことが本当だったと騒ぐ


「あなたは預言者様だ!今まで疑って申し訳ありません」

「ああ……神よ……」

「……」


 私は預言者として祭り上げられた

 私を神と呼ぶ者までいた


 1207年8月24日


 私の予言は当たり続けた


「大変な隣町で紛争が起きた!!」


 あるときは隣の町で紛争が起こり


「腐敗政治反対!!!!腐敗政治反対!!!!!」


 あるときは都市部で大規模なデモが起こり


「おい!何をしている!!急いで避難しないか!?」


 またあるときは予言した国同士が戦争を起こしたこともあった

 私はますます預言者としての地位を高めることになる


 1224年2月12日


「司祭様!私をここで雇ってください!!」

「もしや……あなたは……!?」


 私は教会で働くことにした

 その教会の宗教は非常に禁欲的である

 そこに惹かれたのだ


 私は忙しい司祭の代わりに

 神父の役割を務めたり

 信者達を慰めたりと充実していた毎日を過ごしていた


 1224年8月19日


「ラタルタ様、あなたを司祭に任命させていただきます!引き受けてくれまか?」

「そんな!私はここで働いたばかりですよ!」

「あなたは信者たちから大変好評価です!私よりも司祭らしい、あなたになら務まると思います!どうか引き受けてもらえませんか?」

「……分かりました」


 私は信者から神として持てはやされていた

 私の啓示(無論、私は神の声など聞こえない)が

 信者達の心を惹き、慰められたものが多かったからだ

 有名な預言者なのも相まってか

 私は3ヶ月という僅かな歳月で司祭に任命された


1225年11月21日


「迷える子羊達よ!神に救いを求めたまえ!さすれば神は汝らに救いの道を授けるであろう」


 私は相変わらず迷える子羊達に啓示を与えたり


「ラタルタ様!あなたのいう方法を実践したら本当に体が良くなりました!ありがとうございます!!」

「そうか、それはよかった」


 信者たちの悩みを聞いたりした


「神はこの世界を見捨ててはいない!私たちが諦めない限り神は必ずこの世界をお救いになってくださるだろう」


 私の啓示は大変評判が良く

 信者が急増していった


「ラタルタ様、今日からあなたのボディーガードを務めさせていただきます!リチャード・リナージャです、どうかよろしくおねがいします!」

「私はエドワード・ラタルタだ、宜しく頼むよ、リチャード君」


 また私は大変重要な人物らしく、ボディーガードまで付くようになっていた


 1250年5月3日


「ギャンブルをしてはいけない!ギャンブルは人をどん底へと突き落とす!風俗があっては行けない!人の奥底にある聖地が汚れる!」


 私は禁欲的な性格も相まって

 世間に対して批判的だった

 ギャンブルや風俗などの娯楽

 他の宗教の間違い

 戦争

 この世のありとあらゆる間違いに対して批判してきた

 しかし世間はその私の批判に耳を傾けてくれない

 かと思えば私の予言を頼ってくる始末

 私は呆れていた


 1252年4月27日


「ラタルタ!!覚悟!!!」

「何!?」

「ラタルタ様!お下がりください!!」

「うおおおおおおお!!!!」

「このっ!」

「ラタルタ様!早くお逃げください!!」


 私が世間を批判していること対して不満を持つ人

 また私の予言を都合良く思ってない人

 それらから私は命を狙われるようになった

 あるときは茂みから襲われ

 あるときは狙撃され

 またあるときは教会に火炎瓶を投げつけられたこともあった


 1264年8月16日


「神よ!あなたは本当にいらっしゃるのですか?いつまで立っても人々の争いが絶えません」


 私は神にまでも不満をもつようになった

 果たして神はいるのだろうか?

 はたまた神はなぜこんな世界を作ったのだろう?


 それと同時に願いをもつようにもなった


「神よこの世界から貧困・飢餓・戦争をなくしてください」

「神よ人々を愚かな生き方から崇高な生き方へと導いてください」


 私は不満をもつなか常に神に祈り続けた













 そんなある日私は初めて神の声を聞いた


「ラタルタよ」

「ん?」

「ラタルタよ、ラタルタよ」

「何だ?急に声が……」

「そなたにはやらねばならないことがある」


 神は私のやるべきことを話してくれた


 1264年8月18日


「”少年は旅に出る”」


 私は神の助言道理早速預言書の執筆にあたった


 私は自分がこれからどうなるのか分かっていた

 またこの世界がこれからどのようになっていくのかも……


 私に残された時間は少ない!

 急がねば!!


 1264年12月14日


「ラタルタ様、どうされました?」

「リチャード君、頼みがある」

「はい、なんでしょう?」

「この預言書を後の世に残してくれ」

「ん?この預言書には何も書かれてないようですが?」

「これは選ばれしものにしか読めない預言書だ」

「はあ」

「この世界には希望がある、その種を守っていきたい!リチャード、私はもうあまり長くはない、近々他の宗教団体が結集して私を殺しに教会に攻め込んでくるだろう」

「そんな!ラタルタ様をお守りします!」

「ダメだ!」

「しかし!」

「どのみち私達が結集しても無駄死にが増えるだけだ!!その未来が私には見えるリチャード!この教会から離れなさい!」

「いいえ、私はラタルタ様と共にいきます」

「聞け!リチャード!!お前には役目がある!この預言書を後の世に伝えること!そして私を慕ってくれる者たちを守ることだ!お前がここで野垂れ死ねばその役目は誰が果たす!」

「……」

「行け、リチャード!この世界の未来を……頼んだぞ」

「……分かりました」



 人は話し合えばちゃんと分かり合えるはずなのに

 なぜそれをしないのだろう……

 私みたいな預言者を頼らなくても

 平和な幸福な未来を築いていけるはずなのに……

 もう夜になる

 私は死ぬのだろう

 悔いはない

 だが神にもう一度祈ろう


「神よ、どうかこの世界が幸福で満たされた平和な世界になりますように」

 


 1265年12月20日2:53


 エドワード・ラタルタ

 教会の中を一人で残り

 やってきた他の宗教団体の手によって始末される

 享年70



ーエドワード・ラタルタ編ー     

      完


アリサとアマリアのパラレルワールドォ!

第1話


「おーい!アリサ、いるか?」


返事がない


「おーい!アリサ!いるか?


返事がない

どうしたんだろう?


ガチャ

私はアリサの部屋に入った


「スー……スー……スー……」


 アリサがベッドの上で熟睡してる

 まだ昼だというのに


「……こ、これはチャンスかも……!」


 一度触ってみたかったんだよね

 アリサの肌を!


「……ゴクリ」


 私はベッドに寝てるアリサの頬を触ろうとしていた

 きっとぷにぷにしてるんだろうなあ


「ゲホッ!」


 突然だった

 アリサが私の顔面目掛けてパンチしてきた


「お兄様に手をださないでええええ……むにゃむにゃ」


 何?寝言!?

 というか寝ていながらあのパンチはないだろう

 もう一回呼んでみるか


「アリサ!起きてるんだろう?」


 返事がない

 やはり寝ているのか?

 まあいい

 フフフ、いいこと思いついた


 私は自分の部屋に戻りカメラを持ち出した

 そしてアリサの部屋に戻った

 念のためもう一度アリサの名前を呼ぶ


「アリサ!」


 返事がない

 私は再びアリサの部屋に入った


「よし!まだ寝ているな!!」


 ぐへへ

 これでアリサたんの寝顔を写真にとって

 自分の部屋に飾れる!


「ポチッ、ん!?」


 私はカメラのシャッターをとった

 そこに写っているのは

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・









 野獣の如く鋭い目をしたアリサの顔だった


 このあとアマリアがどうなったのかは明白である

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