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ヘブンズワールド  作者: ライプにっつ2
世界の破滅
48/78

閑話「エト・ミへイム」

 

 僕は産まれた時産声を上げなかったという

 ただ産声を上げなかったわけじゃなくて

 産まれた時から笑っていたと両親から聞いている

 その笑顔はまるで天使だったそうだ


 僕は成長は速くて生まれて二ヶ月ではいはいするようになって

 一年で歩くことが出来た

 ちなみに僕は排泄を一切しなかったという

 両親はそんな僕を心配していたが

 僕はいつも天使な笑顔で微笑んでいたためこのことを気にはしなくなったらしい

 まあ面倒もかからなくていい赤ん坊だったみたいだ


 僕は赤ん坊の頃から本に興味を示した

 その趣味は今でも続いている

 

 僕が言葉を発したのは一年半からぐらいだ

 面白いことに最初に言った言葉は


「くすり」


 だった

 それが後に僕にとって生きがいになる

 またその頃から僕は異様なことをしたという

 例をあげるなら筋トレだ

 僕は毎日のように腕立て伏せ、スクワットなどをし筋肉を鍛えていた

 そんな僕を見て両親は不思議がってた

 

 僕は二歳のころから普通に話せていた


「おはよう、母さん」

「エトったらあなたそんなに筋トレしてきつくないの?」

「そんなことないよ僕は自分の体を鍛えるのが好きなんだ」


 二歳児から出るとは思えない言葉である

 僕は暇があれば本を読みあさり筋トレやランニングをしていた

 

 三歳になったころ僕は幼稚園に入学した

 そこでも僕の日常は筋トレ、ランニング

 周りからは異質な目で見られていた


「エト君、一緒に遊びましょう」

「はい、分かりました」


 僕は周りと交流を深めることもした

 ホントは興味が無いが周りから孤立することは避けるべきだと考え参加した

 僕はおもちゃにも興味を示さなかった


「私、エト君のお嫁さんになる」

「エトの嫁は私よ」


 その頃から僕はもて始める

 正直不本意としか言い様がない

 僕がモテる理由は顔もあるかもしれないが

 比較的冷静で周りの喧嘩を止めたり

 また優しい言葉で褒めたりしたことなど

 コミュニケーションを取るのが上手かったからだろうと思う

 

 さて、僕は幼稚園から小学生になる

 小学校一年生のころ僕は粘土作りをしていた時


「エト君、粘土作るの上手いねえ」


 と先生に褒められた

 ちなみに僕が粘土で作ったのはフラスコだ


 小学校二年生の頃

 僕はいじめを発見した

 一人の子供が複数名の子供から罵倒されていたのだ


「やめないか」


 僕はそれを止めにかかった


「なんだよ、エト、テストの点がいいからって調子に乗るなよ!」


 複数名のいじめっ子達が僕を睨みつける


「調子に乗って何が悪い、君たちもいじめてる暇があったら勉強したらどうだい?」

「何だと!!」


 いじめっ子達は僕に向かって殴りかかってきた

 しかし、普段から筋トレをして自分を鍛え続けてきた僕にとって彼らを叩きのめすのは赤子の手をひねるぐらい簡単だった

 僕は様々ないじめを止めてきた

 年上の子のイジメを止めたこともあった

 先生に告げ口されて呼び出されたこともあったが

 僕は理屈的に答えた


「いじめられてる人を助けることは悪いことですか?」

「いいや、違うが」


 先生も僕の性格を知ってはいるし

 いじめられっ子からの証言もあり

 逆に告げ口した側が悪いということが明るみにでた


 これで僕の学校からイジメはなくなっていった

 僕は成績がいいのとイジメを止めるなど正義感が強いおかげで

 クラス、いや学校中の人気者になった

 正直不本意だった

 僕はただ当たり前のことをやっただけに過ぎない

 それに僕は目立つのがあまり好きじゃない

 だが僕は営業スマイルでそれに対応した


 また僕は勘も鋭かった

 いや、勘が鋭いどころの話じゃない

 超能力だと言ってもいい


 ある日、とある女性のリコーダーが盗まれてることが分かった

 先生は帰りのホームルームでリコーダーを盗んだやつは出てきなさいと言ったが

 誰も手を挙げなかった

 しかし、僕は盗んだ犯人が分かっていた


「先生」

「なんだね、エト」

「リコーダーを盗んだのは彼だと思います」


 僕は犯人である人物を指差した

 彼はそれを否定したが

 持ち物検査をしたところ彼が犯人だと発覚した

 僕はまた一躍人気者になった


 僕の勘についてあともう一つエピソードがある

 僕はある日気分が悪いという理由で学校を休んだ

 ホントは大丈夫なのだが嫌な予感がした

 その予感は的中した

 僕の学校で銃乱射事件が起こった

 子供や教師合わせて犠牲者は40名

 死者は25名という大事件だった


 人間は悲しい生き物だ

 僕は犯人のほうに同情していた

 彼は罪を重ねていたからだ


 その犯人は捕まり死刑判決が出た

 まあ当然といっちゃ当然だが


 さて、僕が薬に興味が出たのは中学生の時からだった

 理科の授業は楽しかった

 薬の中和反応など

 薬学は奥が深い

 僕は近くの山に行っては草花を採取して液体にしたり

 あと薬を買ってそれらと混ぜ合わせたりした

 調合だ

 そして僕は自分の体でそれを実験した

 毒がある薬は味覚ですぐ分かった

 そうこうしているうちに僕の体に異変が起こり始める

 

 手から炎が出るなど非現実的なことが実現したのだ

 新発見だった

 僕はどの薬を飲むとそれが起こるのか試した

 するとアキトヒレニンという薬がそれを引き起こしていると分かった

 アキトヒレニンはとある薬と草花の調合で作り出せる薬だ

 ちなみに名前は僕がつけた

 僕はその薬を飲み続けた

 すると魔力が高まりいろんなことが出来た

 しかし、僕は自重するようになった

 まあそんなこんなで僕はいろんな薬を使い調合してきた


「きゃあーエト様だあ」


 僕の学校での人気は相変わらずだ

 ファンクラブまで出来た

 正直不本意だ

 僕は有名になりたいわけじゃない

 ただ一人だけ僕を普通に扱ってくれる女子生徒がいた


「エトって何でも知っているのねえ」


 彼女の名前はアリアナ・エルフェルス

 この子との出会いが僕の将来を決めることになる


 彼女の父は”何でも屋”を経営していた

 僕は彼女に連れられてそこに赴いた

 彼女の父は科学者でもあったが優秀な探偵でもあった

 だから何でも屋という形になった


 彼女の父は薬学にも詳しかった

 彼女の父の名前はオルカスといった

 僕とオルカスは意気投合した

 薬学の話で盛り上がっていた

 アリアナはそばで苦笑いしていた


「どうだね、君、成人したらうちで働かんかね」


 オルカスからそういう提案を受けた


「はい」


 僕はあっさり承諾した

 彼とは気が合うから一緒に仕事をしたいと思っていたのだ


 しかし、僕が高校生になった頃事件が起きた


 アリアナとオルカスは家族旅行で出かけていた

 だがその先でテロに巻き込まれて亡くなったのだ

 急な出来事に僕は驚きを隠せなかった

 僕はアリアナとオルカスの葬式に参加した

 しかし、僕が泣くことはなかった

 悲しいとは思った

 しかし、僕の性格は冷静沈着 

 感情の浮き沈みが少ないのだ

 遺族は僕に何でも屋を引き継いでくれないかとお願いした

 オルカスは遺族に僕のことを良く自慢しており

 将来は何でも屋を引き継いでもらおうと語っていたのだ

 僕はそれを承諾した

 僕は何でも屋を引き継ぐだめに高校を退学した


 これが”何でも屋エト”の始まりである

 僕は警察の捜査に参加したり

 病気に苦しんでいる人には薬を提供した

 僕はとても優秀だった

 超能力並に鋭い勘で犯人を捕まえたり

 自前の薬学の知識で病気を直すことが出来た

 しかし、僕の店が繁盛することはなかった

 理由は立地条件だ

 僕の店は人通りが極端に少ない

 だから僕の店のことを知っている人間は極わずかだ

 だけどお客さんが来ることは全くないわけじゃない

 恐らく人のつてでお客さんは来ているのだ

 だけど迷惑なことに僕の店に来るのはお客さんだけじゃなかった


 僕に雇ってほしいと来る人間も大勢いた

 僕は困り果てた

 それで僕はある問題を出すことにした

 これに正解したら雇うという条件だ

 その問題は


「この赤色の液体とこの黄色の液体、混ぜると何色になるか?理由を添えて答えてほしい」


 といったものだった

 ほとんどの人がオレンジと答えた

 色的には正解だが

 薬学的には間違いだった

 誰も僕の問題をクリアすることは出来なかった


 そんなある日、僕の元に一人の少女が訪れた

 彼女も僕に雇って欲しいという

 僕はいつもどおりに質問した

 しかし、彼女は色を当てるだけでなく何故そうなるか理由まで話してくれた

 完璧だった

 僕は彼女を雇うことになった

 彼女の名はアリサ・レイニードという

 

「アリサ君、この液体を飲むとどうなるか知ってるかい?」

「いいえ、分からないわ」

「そうか、あれだけ博学な君が分からないとはね」


 僕は彼女を博学な人間として見ていた

 だけどあれ以来彼女が僕の質問に答えることはなかった

 僕は薄々勘づいていた

 それが何かは分からない

 でも彼女が只者ではないと言うこと


 ある日、彼女は僕にこう告げた


「エトさんそろそろこの店を移動させたほうがいいんじゃないかしら?」


 彼女は何度も僕にそう告げた

 それで僕も勘づいた

 近々僕の街で異端者狩りが行われるらしい

 恐らく僕もそれに巻き込まれるのだろう

 だけど僕はここから離れることはなかった

 ここは元々オルカスの居場所だ

 僕にとっては形見みたいなものだった

 それに僕は充分に生きたと思っていたからだ

 それだけじゃなく僕にはスピリチュアリズムの知識もある

 死後の世界でも薬の研究が出来る

 僕はそれが楽しみでもあった


 そしてついにその日が来た

 

 ドアが蹴破られた


「貴様がエト・ミへイムだな」

 

 複数人の兵士達が僕の店に入ってきた


「異端者狩りの令状が出ている、大人しくしてもらおう」

「ちょっと待って」

 

 アリサが必死に僕を擁護しようとしてくれた

 しかし、それは無駄だった


「アリサ、君と過ごす時間は楽しかったよ」


 僕は兵士たちに連れられて店を出た


「これから我々を貶めてきた異端者に罰を下す」


 僕は十字架に貼り付けられていた

 僕の他にも異端者達が同じようにされていた

 兵士達はそれぞれの異端者の胸に剣を突き刺していった

 そして僕にもとうとう剣が突き刺さった

 僕は命を落とした


 僕は死後の世界に辿りついた


「お帰り、エト君」


 僕の目の前にはアリアナとオルカスがいた


「お久しぶりです、アリアナ、オルカスさん」


 僕はオルカスと死後の世界で研究を続けた

 研究の内容は薬の調合だけではなく地上世界にどれほど干渉できるかといったものもあった

 オルカスとの研究の毎日は楽しかった

 だけどある日、アリアナとオルカスは使命のため生まれ変わる必要が出てきた

 また僕は彼らと別れることになる

 でも悲しくはなかった

 むしろ使命がある彼らを応援した

 そして僕は一人で研究を続行した


 しかし、その日々も長くは続かなかった

 僕は嫌な予感がした

 それは的中した

 僕がいる街に悪魔が攻め込んできたのだ

 ここは霊界でも高い場所

 悪魔が攻め込むのは不可能だった

 僕は魔力が高かったので悪魔たちを殲滅することが出来た

 しかし、善良な人々がたくさん殺されてしまった

 僕はこのとき決心した

 この世界を救うために戦うと


 そして、僕は今アリサの目の前にいる

 勘が鋭い僕は気づいていた

 彼女がこの世界を救う”鍵”だと

 僕の彼女を守る戦いが始まる

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