表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘブンズワールド  作者: ライプにっつ2
世界の破滅
43/78

世界の破滅編10

~クリートルート~


 俺たちは街と街を転々としていた

 しかし、どの街に行っても辺りは死体ばかり

 皆化けもんにやられてるのな


「あっ、そうそうゴマイラ」

「はい、何ですか?エト様」


 ゴマイラがエトに敬語を使ってる

 正直ゴマイラに敬語は似合わない


「この薬を飲んでおくといい」


 そういうとエトは手からフラスコを出現させた

 中には何とも言えない色の液体が入ってる

 それにしても何もないところから突然物を出現させるなんて

 エトはすごいなあ


「ま、まさか私を毒殺する気で?」

「安心して、これは君を人間の姿に戻す薬だから」


 そう言うとエトははにかむ

 こいつの笑顔から殺気を感じるんだが本当に大丈夫なのか?


「は、はあ」

「それとその薬には性欲を抑える効果もある」


 え?今なんて言った?


「おい、エト」

「何?」

「今、その薬には性欲を抑える効果があるって言ってたよな」

「うん、そうだけど」

「じゃあ何で初めからその薬をそいつに渡さなかったんだ?」

「彼の性欲を我慢する姿が見てて面白かったからだよ」


 こいつ、結構腹黒だ


~アリサルート~


「俺の名はアルファ・エリクトラント、貴様の命を貰い受ける男だ」

「あら、リーダーが直接出てくるなんて」

「”闇斬り”も人手不足なんでな」


 しばらくの沈黙

 辺りは緊張感を放っていた


「皆のモノやれい!!!」


 アルファのその掛け声と同時に

 悪魔と闇斬りの手下たちが私たちに襲いかかった


「アリサ様、お下がりください」

「ええ、ヘルフェス頼むわね」

「承知しています」


 その瞬間ヘルフェスの姿が悪魔へと変わった


「へ、ヘルフェスだあああああああ!!!」


 周りの悪魔と闇斬りたちが一斉に怯む

 それにしても私もとんでもない悪魔を下に付けたわね


「俺っちの存在も忘れてもらっちゃ困るよ」


 信彦がそう言いつつ剣を振るう


「二人ともやるなあ、俺も負けてられねえ」


 拳も二つの神銃を放つ


「なんだ!?こいつら!?化けもんだああ」


 悪魔や闇斬りの中にはこの3人の戦う様子を見るだけで

 逃げる者もいた

 状況はいたって有利だった


「さて、残りはあなただけだけどアルファ」

「くっ!」


 アルファは困惑した様子でたじろいでいた

 しばらくすると

 剣にエンチャントを掛け構えた


「あくまで退く気はないのね」

「俺は闇斬りのリーダーだ、逃げるような真似はしない」

「ほう、度胸あるね、君」


 信彦が関心した様子で声をあげる


「さあ掛かってくるがいい!!」

「オーケー」

「ちょっと待って!」


 私が今にもアルファに遅いかかる三人を制した


「どうかしましたか?アリサ様」

「彼とは一体一で勝負させたいの」

「は、はあ」

「信彦あなたが出なさい」

「お、俺っちが?」

「ええ」

「いいすけど」


 そう言うと信彦は前に出た


「ほう、一体一で勝負させてくれるとは……情けか?」

「いいえ、一人相手に数名でかかるとはちょっとずるいと思ってね」

「面白い」


 信彦とアルファが互いに剣を構え真剣に見つめ合う


「!!!」


 戦いが始まった

 アルファの猛攻を信彦がトリッキーな動きで交わす


「貴様やるな!!」

「あんたこそ!!」


 カキン、カキン


 剣と剣が交わり合う


 しばらくするとアルファが


爆裂陣ばくれつじん!!!!」


 と叫んだ

 信彦は察したのか

 アルファとの距離を取る

 アルファの周りに大きな爆発が起きた


「ひょえええ、恐ろしい魔法を使ってくるのねあんた」

「ファイヤーボール!!」


 アルファは距離を取った信彦に追い討ちをかけるかの如く魔法を放った

 しかし、信彦は相変わらずトリッキーな動きでそれを交わす

 そして再びアルファに接近してきた

 二人の戦いはほぼ互角といったところだった


「このままじゃ埓が明かないな」


 アルファはそう呟くと


「身体強化!!」


 と言い放った

 アルファの体から妙なオーラが出てくる

 凄まじい殺気だ

 信彦もそれを察したのかアルファに近づこうとしない

 しかし、アルファのほうから信彦に近づいた


「これは俺っちでもやばいかも」

「アリサ様、信彦が危ない、わたくしめも助太刀するべきでは」

「いいえ、このまま見守って」


 私は確信していた

 信彦は負けないと


 カキン、カキン


 アルファの猛攻に信彦は耐え続けた

 体に少し傷を負っているが

 信彦の動きが鈍ることは無かった

 対するアルファは動きがだんだん鈍っていった


「ゲホッ」


 アルファは血を吐き出した


「隙有り!!」

「待ちなさい信彦!!」

「うひょっ!?」


 私が信彦を止める


「どうしてよおアリサちゃん」

「彼にはもう戦える力は残されていないわ」


 私はアルファに近づく


「アリサ様、危険です、敵に近づくなど!」

「ヘルフェス、あなたは黙ってちょうだい」


 私はいつもどおりヘルフェスを制する


「何のつもりだ、アリサ・レイニード」

「あなたって哀れね」

「何だと!!」


 アルファは声を荒げる


「私には分かる、あなたの心が」

「お前に俺の心が分かるだと!?冗談はよしてくれ」

「あなたは本当は人に助けてもらいたかったんでしょ」

「!!!」


 その言葉にアルファは押し黙った



~アルファルート~


 俺は幸せな家庭を送っていた

 何不自由ない


「ちょっお兄ちゃんそれ僕のお肉!!」

「へっ早いもの勝ちだよ!!!」


 幸せだった


「こらっ二人とも仲良く食べなさい」


 幸せだった


「でもこれは俺が先に取ったもんだぞ!」

「いいから弟にあげなさい!お兄ちゃんでしょ!」

「チェッ、はーい」


 幸せだった


 ある日、家族でテレビを見てるとニュースが流れた


「まあ、この国で戦争が起きるの!?」


 お母さんが驚いた様子で言う


「まあ、ここは田舎だし巻き込まれることはないだろう」

「父さん、本当に大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、アルファ、それよりお前用事があるんだろう」

「ああ、そうだった行ってきます!父さん」

「行ってらっしゃいアルファ」


これが家族との最後の会話だった


「やべえ遅くなっちゃった」


 俺はとある用事で遠い街に行っていた

 急いで家に帰る


「!!!??」


 俺は自分の街に辿りついたとき

 戦慄が走った

 辺りは死体の山


「はっ!父さん!母さん!!」


 俺は咄嗟に走り出した

 頼む!俺の家族だけは無事でいてくれ!!

 俺の家族だけは!!!


「……」


 その願いは叶わなかった


「父さん、母さん、エリナ、クラッド」


 俺は家族の死体を見ることになった


「うあああああああああああ!!!!」


 俺は自分の不幸を呪った

 何で俺だけ生き残ってしまったんだろうかと


 俺は他の街に移動した


「誰かお願いします、食料を恵んでください」

「はっ、戦争の孤児が!!」


 誰も俺を助けてくれるものはいなかった

 それどころか俺を嘲り笑うやつまでいた

 俺は神を恨んだ

 そこからだと言ってもいい

 俺が悪事を働くことになったのは

 まず始めは店の食べ物を盗んだ


「おい!このクソガキ!!」


 だがある日、店の店主にバレて捕まってしまった


「許さねえ!鞭百回の形だ!!」

「そ、それだけは勘弁してください!!」


 俺は必死に抵抗したが店主の力に負けてしまった

 このままじゃきつい拷問が始まる

 そう思った矢先


「まあ、おやっさん許してやってくださいよ、お代は私が払っておきますから」


 とある男が店主に話しかける


「まあ、それならいいが、ちっ!運が良かったな!!クソガキ」


 俺はその男に拾われた

 だがそれが間違いだった


「これ持って」

「これって……銃!?」

「うん、これで人を殺して」

「そ、そんな……」

「言うことを聞かないとお仕置きだよ」

「わ、分かりました」


 俺は盗賊の肩を持つはめになった


「ぎゃあああああああああ」


 俺はこの銃でたくさんの人を殺し続けた


 パシッ


 俺の雇い主は何か気に食わないことがあると

 すぐ俺に八つ当たりしてきた


「ウグッ!!」

「何で、あいつはいつもそうなんだ!!!」

 

 俺はこの組織から脱出することを考えた


 ある日、俺はまた銃を持たされる


「いつもどおりやること、いいね」

「……」

「な!?」


 俺は銃をやつに向けた

 

 ばあん


 やつの脳天に銃弾が当たる

 やつが倒れ込んだ


「貴様!!何しやがる!!!」


 その言葉が聞こえる前に俺は逃げ出していた

 追ってくるものは全て皆殺しにした

 それで俺は何とか盗賊から逃げ延びることが出来た

 だからと言って俺の悪事は終わらなかった

 むしろ盗賊として働かされたおかげでエスカレートしたと言ってもいい


「金を出せ」

「ひぃ!わ、分かりました」


 俺は路地裏で人を脅し金を要求した

 それで俺は食っていくことになった

 

「レンジ、行くぞ」

「おっす、兄貴」


 次第に俺の周りには同じ志をもつ仲間が集まるようになってきた

 これが”闇斬り”の始まりと言ってもいい


「皆下衆ばかりだ」

「……」

「俺も下衆だ、だが何が悪い!!」

「……」

「生き残るためには仕方がなかった」

「……」

「誰も!誰も俺を助けてくれやしなかった!!」

「……」

「善人なんていない」

「善人なら……いるわよ」

「少なくとも俺の周りにはいなかった」

「……」

「アリサ・レイニード」

「アリサ様!!」


俺はアリサを人質に取った

アリサの首に剣を向ける


「アルファ、可哀想な子」

「まだ言うか貴様は!!」

「なぜ私があなたに近づいたか分かる?」

「……」

「私もあなたと同じだからよ」


その言葉に俺は衝撃を受けた


「お前が俺と同じ?はっ!何を言うんだ」

「私も神や人を恨んだことがあるわ」

「……」

「実際無抵抗な人を殺しかかったこともあった」

「……」

「でも今はこうして世界を救うために旅をしている」

「……」

「ねえ、アルファ、私たちと共に来ない?」

「どういうつもりだ」

「あなたはこれから自分の罪を消す必要がある」

「……」

「私の下僕に悪魔がいてね」

「……」

「彼も自分の罪を消すために旅をしているのよ」

「だからなんだと言うんだ」

「だからあなたも一緒に」

「……もう遅い」


俺はそう言うとアリサを突き放した


「もっと早くお前に会えれば良かった」


そう言って俺は逃げ出した
















~アリサルート~


「アリサ様!!」


 私はヘルフェスに抱きしめられた


「本当にあなたは無茶をおやりになる」

「それよりアリサちゃんあいつを逃がしていいんすか?」


 信彦が私に尋ねる


「いいのよ、あの子もきっと分かってくれると思うわ」

「そうなんすかね?」

「それより進みましょう!出来るだけ早く目的地にたどり着かないと」

「分かりやした」


 私たちは旅を続ける


ー世界の破滅編10ー

    完

ここまで読んで下さりありがとうございます^♥^♪

何かご指摘があれば遠慮せずお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ