閑話「ヘルフェスとグレイ」
「やつが攻めてきたぞおおおおおお!!!」
「きゃああああああああああああああ!!!」
俺はとある街に飛ばされた
辺りは逃げ惑う人々ばかり
俺はそれとは真逆の方向に行く
しばらくすると一人の騎士みたいな格好をした男性に
付き従う盗賊のような格好をした数十名の男性がいた
「さて、力を開放できるかな?」
俺は悪魔になれるかどうか試した
「ほう」
どうやら今回は成功したらしい
「な、なんだあの化けもんは?」
「逃げろおおおおおおおお!!!」
盗賊たちが逃げる
しかし、一人だけ逃げないやつがいた
あの騎士みたいな格好をした男性だ
”ラタルタの予言”が開いた
「ほう、面白いじゃねえか」
俺は男性を気絶させた
俺の名前はグレイ・フットマン
元々王宮に使えていた騎士隊長だったが
現在盗賊をしている
本当はこれが望みじゃなかった
人質がいるのだ
「エレーナ!!」
「グヘヘヘ、こいつの命が惜しいなら素直に俺たちに従うことだな」
「くっ!」
俺は街の人々を襲い
食料と金貨をかき集めた
これもエレーナのためだ
悪く思わないでくれ
そんな日々を送っていたある日
俺の目の前に悪魔が現れた
天罰だと思った
エレーナを人質に取られたとはいえ
俺は悪行を繰り返していたのだから
しかし、ここで怯むわけにはいかない
逃げればエレーナの命が危ないのだ!!
「ほう、てめえ、俺を見て逃げねえとは……いい度胸じゃねえか」
「エレーナのために引くわけにはいかない!!」
「ほう、面白いじゃねえか」
悪魔はそう呟くと
「!!!!」
俺に最接近してきた
とてつもないスピードだ
「エレーナ……」
俺は意識を失った
「ガハハハハ」
あのグレイとやらが俺たちの戦力になったおかげで
仕事が捗る捗る
彼はその優秀な剣術と統率力で
俺たちの権威を高めてくれた
これからも彼には活躍してもらう
抵抗するなら彼の家族の命はないだろう
ああ、今日も酒が旨いわい
「ザラネバさん、大変です!!」
「どうした?」
「化けもんが……化けもんが攻めてきました!!」
「はあ!?」
俺は耳を疑った
「化けもんなんているわけねえじゃねえか」
「とにかく早く逃げないと!!」
「へ!?」
俺は目を疑った
目の前には本当に化けもんがいたのだ
グレイを担いでる
「よう、お前がここのリーダーか?」
「ヒィ!!」
化けもんが俺に近づいてくる
「来るな!こいつの命が惜しかったらな!!」
俺は人質の首元に刃を向ける
「別に俺はこいつらがどうなろうと知ったこっちゃねえが」
「ひ、ひ、ひ!」
「さて、久しぶりの殺しだ!楽しまねえとなあ」
「い、命だけは!!」
俺は化けもんの前で土下座する
「その言葉、聞き飽きたんだよ!!」
「ぎゃああああああああああああ!!!」
化けもんは俺の右腕をちぎりとった
「いいねえ、人の断末魔を聞くのは」
化けもんは俺の断末魔を楽しんでいた
そして俺は命を失った
「グレイを……グレイを離してください!!」
私は化物に懇願する
「仕方ねえな、ほうらよっと」
化物はグレイを投げ捨てるかのように放り出す
「グレイ!!」
私はグレイのそばに駆け寄る
「え、エレーナ……?」
グレイは意識を取り戻した
「な!?確か俺は悪魔に!!」
「やっと目覚めたか、小僧」
「貴様!!」
グレイはよろよろと立ち上がると
化物に向かって剣を突き立てた
「エレーナ、例え此の身が滅ぼうとも君だけは守ってみせる!!」
「グレイ!!」
「いいよなあ、大切な人がいるやつは」
化物が私たちに近づく
「くっ!」
「やはりダメか……」
「え?」
化物がそう言った途端
姿が人間に戻った
それと同時に人間の右腕が光りだした
「お前には守るべきものがいて、どうして俺は……!!」
眩しい
しばらくすると光が消え
化物?は消えた
「グレイ!!」
「エレーナ!!!」
私たちは抱き合った
本当はあの化物に感謝するべきかもしれない
私は人質から解放され
グレイは悪事を働く必要は無くなったから
「どうしよう、俺、君のためといはいえ悪行を積んでしまった、もう街に戻ることは出来ない」
「いいのよグレイ、私はそれでもあなたに付いていくわ」
「エレーナ……」
悪事を働いてきたグレイは白い目で見られ続けるかもしれない
でもそれでも構わなかった
こうしてグレイと一緒にいられるんだから
閑話「ヘルフェスとグレイ」
完
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