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ヘブンズワールド  作者: ライプにっつ2
アリサの世界
3/78

マルス、キリア編

~あらすじ~

あの凄まじい戦争から5年

それぞれの国は大きな傷跡を残していた

復興が終わったと思った矢先

それぞれの国はまた復讐に駆られ

戦争を始めようとしていた


マルスは自国を守るために軍人に志願する

キリアは徴兵制でいやいや軍人となる


敵国の同士の両者の戦いと葛藤を描いた物語

そしてそれを見守る謎の少女

彼女は一体・・・?

”ラタルタの予言”が開く

「一人の英雄が誕生するその名は……」


~マルス~


「ええ、今日から諸君らは我が国の軍人となる」


 俺の名はマルス・クレー

 23歳、独身さ!

 まあそんなことはどうでもいいとして

 俺は今日からバルサ国の軍人になる

 

 俺の国は5年前、リヴァート国と戦争していた

 最初はバルサ国が有利になっていたが

 後からりヴァート国が必死に応戦

 戦争は泥沼状態になっていた

 そのせいでたくさんの犠牲者が出た


 何とか俺の住む街には戦火が及ばなかったが

 あの戦争以降、俺はこの国を守りたいという気持ちが強くなっていった

 だから俺は軍人になった


「ええ、では諸君らの健闘を祈る!」


 長い入隊式の挨拶が終わった











「さてと、ここが第15部隊の部屋か」


 俺は第15部隊の部屋を開ける

 中には数名ほどの人がいた

 二人の男女が何か話をしている

 女性は緑髪の短い髪型をしていた

 男性のほうはいいか

 誰も興味ないだろうし


「ニコラス・マリンという人物について心当たりはありませんか?」



 女性が男性に尋ねる


「ああ、ニコラス・マリンか、あの有名な傭兵だろ、それよりてめえみてえな女が何で軍人になったんだか」


 男性が女性に対して軽蔑した口調で話す

 まあ無理もない

 軍の試験は男女とも同じだから

 身体能力に差がある女性が軍人になるのは難しいのだ


「女性が軍人になるのに何がいけないんです?」


 女性が反論する


「男より下の女が軍人になるなってことだよ」

「……」


 女性が沈黙する


「おい!そこの君!女性に対してその口の聞き方はないんじゃないかな?」


 俺が割って入る


「なんだ?てめえ!?」

「今日からこの部隊の隊長になったマルス・クレーだ!よろしく頼む!」


 周りがざわつく


「はあ!?てめえみてえな若造が隊長だあ!?ふざけるのもほどほどにしろよ!」

「本当だ!これを見ろ!」


 俺はポケットから紋章が刻まれたバッチを見せる

 俺は軍の試験を首席で合格したため

 特別に第15部隊の隊長に任命されたのだった


「な!?まじかよ……」


 男は驚いた様子だった

 だがしばらくすると


「ふん!てめえみたいな若造の指図は受けねえからな!」


 と不貞腐れる


「まあ、女性に対してその口の聞き方はやめなよ」

「だから俺に指図するなって言っただろうがああああ!!!」


 男性がいきなり殴りかかってくる

 俺はそれをよけ

 男性の腕を掴み握りつぶす


「いてええええええええ!!!!!」

「これで懲りたかい?」

「わかった!わかったから離してくれええええ!!!」


 俺は男性の腕から手を離した


「とりあえず俺は隊長だからそこんとこよろしく!」

「ちっ!」


 男性は舌打ちすると部屋から出て行った


「あのー」


 女性が俺に話しかける


「有難うございます!助かりました」

「いえいえ、当然のことをしたまでです」

「本当にありがとうございます!それで、その」

「ん?」


 女性が俺に尋ねる


「ニコラス・マリンという人物に心当たりはありませんか?」

「ああ、さっきもあの人に話してたね、俺も知ってるよ、あの”一人小隊”と呼ばれた、有名な傭兵だよね」

「はい、私は彼を殺した人物を探してるんです」

「え?殺されたの?あの”一人小隊”が??」

「はい」


 まさかあの傭兵が殺されてるとは思いもよらなかった

 それにしてもなぜこの女性は彼について固執しているのだろう?


「う~ん、彼を殺した人物については知らないなあ」

「……そう……ですか……」

「君は彼と知り合いなの?」

「あ、いえ、彼についてちょっと調べてるだけです」

「そっかあ、まあ彼を殺した人物について何か分かればまた伝えるよ」

「有難うございます!お願いしますね!」

「そういえば名前を聞いてなかったね、俺はマルス・クレー、君は?」

「私はミレイナ・アマリリスです、よろしくお願いします!隊長!」

「ああ、こちらこそよろしく!」


 こうして俺たちの会話は終わった








~キリア~


「おい!どこ見てあるいてんだコラ!!」

「す、すいません……」


 僕の名前はキリア・レルト

 21歳

 僕はリヴァート国の軍人なんだけど

 徴兵されていやいや軍人になった

 ここリヴァート国では15歳から軍人になれる制度がある

 また15歳から30歳までの体力のあるものは徴兵の対象になる

 男は戦、女は武器工場とかで働く

 最近では女も軍人になれるけどね

 それはいいとして

 なんとこの国はまた戦争を始めるらしい

 5年前にあの惨劇を繰り広げたというのに

 まだ懲りてないのかな?この国は??

 僕はこの国が嫌いだ

 理由は今述べたようにこの国は戦争ばかりしてるから


 あと僕はこの国の軍人も嫌いだ

 皆いきりたっているから

 はあ……やっぱり軍人になんてなりたくないな

 でも断ることはできなかった

 そりゃ徴兵されてるから断ったらどうなることか知ってるから……


「あ、あいつドジのキリアじゃね?」

「ホントだ、迷惑だしホント死んでくれねえかなあ」


 はあ……やっぱり軍人になるのは嫌だ……








~マルスの厳しい訓練~


「これで、皆揃ったな」


 第15部隊の部屋に全員揃った

 俺を含め第15部隊は合計10名だ


「皆!整列!!」


 ありゃ

 二人しか整列してくれない

 列してるのはさっきの緑髪の短い髪の女性と

 一人の男性だった


「ああん?あんたが隊長?」


 部屋の端で腕を組みながらもたれかかってる兵士が言う


「ああ、自己紹介が遅れたな!俺はマルス、マルス・クレーだ!今日から君たちの隊長になる!よろしく頼む!」

「てめえ、たしか新米の軍人だよな?なんでてめえなんかが隊長をしてるんだ!?」


 兵士が言う


「俺は軍の試験を首席で合格したんだ、それで隊長に任命された」

「たったそれだけで隊長になったってのか?冗談がすぎるぜ」


 他の兵士たちがそうだそうだと言わんばかりに彼に同調する


「どうしたら俺が隊長だって認めてもらえるかな?」

「そうだなあ、俺と軍事演習で勝てたら認めてもいいぜ」

「分かった!俺もこれから軍事演習をしようと思ってたところだからな、丁度いい」


 こうして俺たち第15部隊は総合軍事演習場に集合した


「まずは”俺に軍事演習に勝てたら”って言った君からかな?」

「ああ、新米には負けはしねえ」


 俺たちはロボットに乗り指定の位置につく

 ロボットは全長15メートルほどで

 左手には盾が装備されていて

 左腰には剣、右腰には銃が収まっている

 まあこのロボットは演習用なので

 剣は模擬剣で装甲に傷をつけれないし

 銃にはペイント弾しか仕込まれていない

 勝敗はコックピットにペイント弾を当てるか

 模擬剣を当てることで決まる

 信号弾が上がることで勝負が始まる


 信号弾が上がった

 勝負の始まりだ!


 やつは早速銃で俺の機体目掛けて撃ってきた

 対する俺はやつの攻撃を回避する


「ふうん、射撃精度Dといったところかな」


 俺はしばらくやつの動きを見ていた

 隊長たるもの部下の能力を見極めるのは重要だ


「な!?全然弾が当たらねえ!!」


 俺はやつに接近した


「ちっ!」


 やつは早速剣に切り替え俺を攻撃してきた


「ふうむ、近接はCといったところかな」

「クソっ!なんで当たんねえんだよ!!」

「そろそろ、いいかな」


 やつの能力をある程度把握したところで

 俺はやつのコックピット目掛けて模擬剣を当てた


「くっ!」

「回避・防御率はEといったところか」


 勝負あった


「い、今のはマグレだ!もう一回、もう一回勝負だ!!」

「はあ……分かったよ」


 その後の勝負も俺が勝ち取った

 やつの動きに特に変わりはなかった


「さあ、次の相手は誰かな?」


 さっき戦った兵士が俯いたまま座っている


「誰も返事しないなあ、じゃあ」

「わ、わたしにやらせてください」


 短い緑髪の女性が手を上げる


「分かった、次は君だね」


 俺は彼女に続き

 次々と他の兵士たちと模擬戦を行った

 俺が負けることはなかった

 当然だ、俺は隊長なんだから


「どうだい?これで俺が隊長だと認めてくれるかい?」


 皆、渋々頷いていた


「隊長、すごいです!俺、あなたに憧れました」


 一人の男性が俺に話しかけてきた

 そういやさっき整列してくれた人も

 この人だったな


「ははは、そう言われると嬉しいなあ」


 俺は照れくさそうに笑った


「俺も隊長のようになれるでしょうか?」

「ああ、慣れるさ!訓練しだいではね」


 俺は彼を鼓舞した


「あっ!そういえば名乗っていませんでした、自分はシュゲルツといいます!シュゲルツ・クリッダ」

「ああ、宜しく頼むよ、シュゲルツ」


 俺とシュゲルツは握手を交わした









「とりあえずこんなところかな」


 俺は部下の能力をランク付けした

 部下のことを知ることは隊長にとって重要な要素だ

 ちなみにランク付けはA~Fにしている


 アルテミス・リジャナ

 体力D

 近接攻撃C

 素早さD

 射撃精度D

 回避・防御率E


 シュゲルツ・クリッダ

 体力E

 近接攻撃F

 素早さE

 射撃制度A

 回避・防御率E


 マーク・リンダ

 体力C

 近接攻撃E

 素早さC

 射撃制度C

 回避・防御率D


 ハルト・ミーシェル

 体力D

 近接攻撃D

 素早さC

 射撃制度D

 回避・防御率E


 エリック・ボルト

 体力B

 近接攻撃C

 素早さF

 射撃制度D

 回避・防御率F


 マリク・スベルク

 体力D

 近接攻撃C

 素早さC

 射撃制度C

 回避・防御率E


 ホルスン・エレクト

 体力D

 近接攻撃D

 素早さC

 射撃制度D

 回避・防御率D


 ミレイナ・アマリリス

 体力B

 近接攻撃A

 素早さB

 射撃制度B

 回避・防御率B


 リクトン・アンチェルト

 体力C

 近接攻撃C

 素早さD

 射撃制度C

 回避・防御率D


 ざっと見たところこんなところだ



 そういえば俺の部隊の人物を紹介していなかったな

 ここで紹介しておこう

 ただ全員紹介するのは大変なので

 俺が印象的だと思った人物だけ紹介する


 アルテミス・リジャナ

 最初に俺と模擬戦で戦った男だ

 彼は最初は俺を隊長として認めなかったが

 俺との勝負に負けて渋々認めたようだ


 シュゲルツ・クリッダ

 とても温厚な性格をしている

 最初の俺の「整列!!」という号令に

 従ったのもこいつだ

 操縦技術は他と比べて低いが

 射撃精度が突出して高い


 エリック・ボルト

 最初に俺が第15部隊の部屋に入ったときに

 ミレイナと口喧嘩していた男だ

 彼の性格は短気で好戦的というのかな

 俺にいきなり殴りかかってきたし


 ミレイナ・アマリリス

 エリックと口喧嘩していた女だ

 まあ彼女は黙っていたが

 彼女の操縦技術は極めて高い

 この部隊のエースになるだろう

 それよりも彼女が例の”一人小隊”のことを

 調べてるのが気になる……

 まあ今はどうでもいいか



「皆、集合!!」


 俺の掛け声に皆、渋々集まる


「これよりお前たちを分隊として分ける、第1分隊は狙撃、第2分隊は攻撃、第3分隊はその他だ」


 ホルスンが挙手する


「隊長、第3分隊は何をするんですか?」

「第3分隊は狙撃や攻撃など臨機応変に対応する部隊だ」


 俺が兵士の質問に答える


「では配役を決める第1分隊はマーク、シュゲルツ、アルテミスだ、リーダーはシュゲルツ、お前にやってもらう」

「ぼ、僕がですか!?」


 シュゲルツが驚いている


「ああ、お前の射撃制度は突出して高い、だからお前に任せる」

「でも僕にリーダーなんて……」

「大丈夫、何かあれば俺が教えるしすぐ慣れるって」

「わ、分かりました」


 シュゲルツが渋々承知する


「第2部隊はミレイナ・マリク・リクトンだ、リーダーはミレイナ、お前だ!」

「わ、私がですか?」

「ああ、異論はないな」

「ええ、分かりました」


 ミレイナがあっさり承知する


「残りのホルスン、エリック、ハルトは第3部隊だ、リーダーはホルスン!」


 こうして俺たちの分隊の配役が決まった!


「さあ早速訓練を始めるぞ!!」

「えええええええ!!!」

「隊長、さっきの軍事演習で俺たちはもうくたくたです!」

「文句を言うな!いつ戦争になるかもわからん!生き残るため、強くなることは重要だ!!」


 俺は部下たちをきっちりしごいた

 それぞれの弱点を補いかつ長所を伸ばせる

 訓練メニューを各自に配った









~キリアの苦悩~


 僕たちは軍事演習で

 対集団戦の模擬戦をしていた


「おい!!キリア!何をやっている!お前は後ろで支援と言っただろう!!」

「え、あ、はい、すいません……」

「もういい!たく!俺たちの国も戦争をするからってこんなやつを集める必要なんてないだろうに」


 僕は相変わらず仲間たちから叱られ続けた

 数ヶ月訓練をしてきたが

 僕の実力は全然伸びない

 どうやら僕は軍人には向いてないようだ

 仲間からも呆れられている


 軍事演習が終わって昼食になった


 僕は食堂で一人で昼食をとる


「キリアさんここいいかしら?」


 女性が僕に話しかける


「あっ!イリアさん、はい!いいですよ!」


 彼女の名はイリア・マスカンク


「キリアさん、その、さっきの模擬戦のことは気にしなくていいわ!誰だって失敗はつきものよ」


 彼女はいつも僕のことを気にかけてくれる

 僕の中で唯一親友と呼べる存在かもしれない


「いいえ、その、自分……n失敗ばかりですから……」


 僕はがっかりした様子で答える


「大丈夫!いづれあなたは軍で活躍する人材になるわ!私はあなたに期待しているのよ!」


 彼女が僕を慰める


「き、期待だなんて、そんな……僕はこれ以上強くなんてなれないですよ……」

「まあ、そんなことよりご飯を食べましょ!冷めちゃうわ」

「うん、そうだね」


 こうして僕たちは昼食をとった




~マルスとミレイナの休日~


 今日の訓練は休みだ

 最近、部下を厳しくしごいてばかりだったからな

 たまにはこういう休日を過ごすのもいいだろう


「ミレイナ、良かったら外食に付き合ってくれないか?」

「え?」

「まさか、お前まで断るのか?」

「いえ、いいですけど……」

「他の隊員にも聞いたがどうも皆用事があるだの忙しいだので付き合ってくれないんだ」


 そう、俺は部下を食事に誘っていたが

 皆俺の誘いを断る

 俺、そんなに嫌われてるのか……

 シュゲルツは家族に会うと言っていたので

 本当に用事がありそうだが


「隊長、厳しいですもんね」

「まあ、確かに厳しくしすぎたかもしれんが……」


 こうして俺とミレイナは外に出ることにした


「ふう、軍施設の外に出るのも久しぶりだなあ」

「隊長、私、料理が美味い店知ってるんですよ!」

「おっ、本当か!それはぜひ一度訪れてみたいものだな!」


 俺たちはミレイナがオススメする

 料理店に訪れた

 俺たちは空いているテーブルの席に座った


「あっ、俺ちょっとトイレ行ってくるね」

「ええ、どうぞ」


 俺はトイレに行っているあいだ

 部下の鍛錬をどうしようか考えていた

 そろそろ模擬戦を始めてもいい頃だな

 部下がどれだけ成長しているか楽しみだ


「ミレイナ、お待たせ!ん?」

「あ!」


 俺はトイレから戻った

 ミレイナが手に持っているものを

 慌てて後ろに隠す


「何を隠してるのかな?」

「それは……その……」

「隠し事は関心しないな、隊長は部下のことを知っておく義務がある」


 ミレイナは渋々後ろに隠しているものを俺に見せた


「写真か?」

「ええ」


 その写真にはミレイナともうひとりの男性が写っていた


「この男の人は誰だ?」

「私の命の恩人です」

「ふうん、ん?」


 そこで俺は彼女が”一人小隊”を殺した人物について

 調べてることを思い出した


「ひょっとしてそこに写ってる男の人って”一人小隊”か?」

「!!」


 ミレイナはとても驚いていた


「それは……その……」

「さっきも言ったが俺は部下のことを知る義務がある!隠し事はしないで欲しい」

「……分かり……ました……」


 彼女は渋々口を開いた


「私は戦う人が嫌いでした、でも彼は命の恩人でした」

「ふうむ」

「ある日、私がいつもどおり料理を作っていると彼の友人が訪ねて来ました」

「ふむ」


 俺は相槌をうつ


「彼の友人は彼が死んだと私に伝えに来ました」

「なるほど、それで彼を殺した人物に復讐をするために軍人になったわけか」

「え、あ、はい、そうです」


 守るために軍人になった俺とは正反対だな


「それにしても」

「はい?」

「ミレイナは写真のように髪が長いほうが似合うな」

「え?」


 ミレイナは呆気にとられていた

 今の彼女の髪は短い

 恐らく復讐をする決意をした証として

 髪を短く切ったのだろう


「君が復讐のために戦うのは仕方がないのかもしれない」

「はい」

「だけど俺たちは守るためにも戦っている、それを忘れないで欲しい」

「……」


 ミレイナは黙っていた


「さあ腹減ったな!食べようぜ!」

「あ、はい」


 こうして俺たちの休日は終わった












「もうやめて!!戦わないで!!!」


 少女は一人嘆いていた












~戦争の始まり~


「な!?本当にやるんですか!?」

「ああ」

「しかし、我が国は復興したばかりでして……少し早すぎなのでは?」

「いいや、機は熟した!今こそあの国に我らの力を思い知らせるのだ!!」



 僕たちの国はバルサ国に宣戦布告した

 僕の国リヴァート国は5年前バルサ国と戦争をしていた

 宣戦布告したのはリヴァート国だ

 今回もリヴァート国が宣戦布告をした

 ほんとに僕はこの国が大嫌いだ



「また戦争をするのね……この国は」


 イリアが呆れたように話す


「ええ、僕は戦争が嫌いです……」

「確かキリアは徴兵されて軍人になったのよね」

「はい」

「私は家族を守りたくて軍人になったわ、あの戦争以来、私は危機感を持つようになったの」

「イリアさんは今回のリヴァート国の宣戦布告に賛成ですか?」

「いいえ、リヴァート国は愚かだと思うわ、でも私は軍人、それを嫌とは言えないわ」

「そう……ですよね……」


 リヴァート国がまた戦争を始める

 でも僕たちはそれを嫌とは言えなかった

 僕は死にたくない!

 でも、従うしかないんだろうな……













「な!?リヴァート国が我が国に宣戦布告した!?」


 俺は軍上層部の会議に参加していた

 どうやらリヴァート国が俺たちの国に宣戦布告したらしい

 いづれこうなるかと予想はしていたが

 まさかこんなに早くとは


「いいでしょう!今こそ我らの積年の恨みを晴らすのです!!」


 軍上層部の会議が終了した

 さて、どうしたものか


「皆、聞いて欲しい、リヴァート国が我が国に宣戦布告してきた」

「何!?」


 皆驚いた様子だった

 まあ無理もない


「俺たちは来る戦に備えなければならない!その前に」

「私たちの実力を図るんですよね?隊長」


 ミレイナが分かったと言わんばかりに口を開いた


「その通りだ!皆、総合軍事演習場に集合せよ!!半年の間、鍛えてきた成果を見せてもらうぞ!」


 俺たち第15部隊は総合軍事演習場に向かった


「ふむ、まあこんなところか」

「くっ!」

「隊長には適いませんぜ」



 アルテミス・リジャナ

 体力D→C

 近接攻撃C

 素早さD→C

 射撃精度D

 回避・防御率E→C


 シュゲルツ・クリッダ

 体力E→C

 近接攻撃F

 素早さE→C

 射撃制度A

 回避・防御率E→C


 マーク・リンダ

 体力C

 近接攻撃E→D

 素早さC

 射撃制度C→B

 回避・防御率D


 ハルト・ミーシェル

 体力D→C

 近接攻撃D→C

 素早さC

 射撃制度D

 回避・防御率E→D


 エリック・ボルト

 体力B→A

 近接攻撃C

 素早さF→D

 射撃制度D

 回避・防御率F→E


 マリク・スベルク

 体力D→C

 近接攻撃C→B

 素早さC

 射撃制度C

 回避・防御率E→D


 ホルスン・エレクト

 体力D→C

 近接攻撃D

 素早さC→B

 射撃制度D→C

 回避・防御率D→C


 ミレイナ・アマリリス

 体力B→A

 近接攻撃A

 素早さB→A

 射撃制度B

 回避・防御率B→A


 リクトン・アンチェルト

 体力C→B

 近接攻撃C→B

 素早さD→C

 射撃制度C→B

 回避・防御率D→C


 ふむ、皆、思った通りに成長したな


「さて、明日の午後2時に我が部隊はここを出発、リヴァート国の制圧下にあるミンス国を叩く、我が国の制圧下の国を経由して恐らくは2日はかかるだろう、皆、ちゃんと出撃準備をするように!」

「はい!!」


 俺は隊長として部下を誰ひとり死なせるわけにはいかない!

 そのためにこの厳しい鍛錬を積んできたんだ!

 この日のためにな……





~キリアの失態~


 僕たちリヴァート国第12部隊は

 バルサ国の制圧下にあるチュペル国に攻め込んでいた

 この国はバルサ国の制圧下の中でリヴァート国に最も近い

 僕は狙撃兵としてこの戦いに参加していた


「キリア、エミリーの援護をしろ!」

「あ、はい、ダッチさん!」


 僕たちは通信でやり取りする


「おい!どうした!キリア!早く援護をしろ!エミリーが危ない!!」

「やってます!やってますけど!!」


 思ったように照準が合わない

 手、手が震えている……


「きゃああああああああ!!!」

「エミリいいいいいいい!!!!」


 僕たちの国はチュペル国の制圧に成功した

 だけど……


「てめえ!!!!!!」


 僕はダッチさんに胸倉を掴まれた


「てめえのせいでエミリーが死んだ!!てめえがもっとちゃんとしていれば!!!」

「ぼ、僕のせいで……」

「やめなさい!ダッチ!戦争で死者が出ることは当然じゃない!」


 イリアが割って入ってきた


「ちっ!キリア!てめえは一番厄介な敵だ!!」


 ダッチさんが捨て台詞を吐いて去っていった


「キリア、気にしないで、皆戦争でいきり立っているだけよ」


 いや、前々からいきり立っている気が……


「僕のせいで……僕のせいで……」

「キリア」

「!?」


 突然、イリアが僕を抱きしめた


「あなたは悪くないわ!あなたは悪くない!」

「イリア……」


 僕はこのとき決心した


「イリア、僕、強くなる!!」

「キリア……」

「強くなって皆を守れるようになるよ!」

「そう、なら私も負けずに頑張らないとね!」


 もっと強くならないと!

 もっと仲間を守れるようにならないと!

 僕、いや俺はそう固く決意した



~マルスとキリア~


 俺たちはミンス国に続いて着々と

 リヴァート国の属国を制圧した


「隊長の作戦はすげえや!誰ひとり犠牲者が出ねえ」


 エリックが俺を褒め称える


「お前、最初は俺のことを馬鹿にしてたくせにな」

「まあいいじゃないですかあ過ぎたことは!」


 俺はこの時満身に浸っていた

 自分の作戦は完璧だと思っていた

 部下たちも強い

 誰ひとり犠牲者が出ないと思っていた

 思っていたんだ……




















「キリア、お前に任せたい機体がある」


 グリル隊長が俺に話しかける

 この数ヶ月、俺は必死になって戦った


「ああ!あと少しだったのに!!」


 毎日暇があれば戦闘のシミュレートをしたり


「そう!その調子よキリア!ここはこう踏み込むの!」


 イリアと模擬戦をしたりしていた

 そのおかげか俺はいつの間にか軍でトップクラスの戦力になっていた


「俺に……ですか?」

「ああ、お前の最近の活躍にはすごいものがある、それで最新鋭の機体にお前が乗ることになった、試験運用も考えてのことだ」


 俺と隊長は軍兵器倉庫に向かった


「これが……俺の……乗る機体?」

「ああ、地味だがこいつは最新鋭の機体だ」


 白い機体だった

 確かに地味だ

 手が剣になっているだけで

 他の武装が一切ない


「この機体、本当に使えるんですか?」

「確かにこの機体には、くせがある、だが接近戦が得意なお前には合っているはずだ」


 こうして俺は最新鋭の機体を任されることになった


「キリア、最近活躍してるね!」


 イリアが嬉しそうに言う


「ああ、まあな」

「さすが私が見込んだだけのことはあるわ」

「ああ、お前のおかげで俺は強くなれた」

「最近キリア口調が変わったね、前は”僕”なんて言ってたのに」

「性格まで変わったんだろうな」


 俺たちは長い間話し込んだ




~新たなる憎しみ~


「次の戦いはとても危険な戦いになる」


 俺は部下たちに次の戦いの作戦を話していた


「危険……ですか?」

「ああ、例の白い機体と鉢合わせになるかもしれん」

「ああ、あの”白い悪魔”と呼ばれる機体か!」


 エリックが驚いた様子で言った


「あの機体は俺が相手をする!お前たちは一切近づくな!援護は狙撃だけで十分だ」

「隊長、俺たちを甘く見ちゃ困るぜ」


 アルテミスが言った


「俺は誰ひとりとして犠牲を出したくない……頼む」

「……分かりました」


 皆、渋々納得してくれたようだ


 俺たち第15部隊は

 バルサ国とリヴァート国の中間にあるボルモン国を攻めていた


「第1分隊は左、第2部隊は右、第3分隊は第1と第2分隊の補助に回ってくれ

 それと例の白い機体を見つけたらすぐに俺に報告、そして逃げてくれ!」

「はい!!」


 こうして俺たちは着々と任務を進めていった

 今回の相手はなかなか手ごわい

 しかし、例の白い機体はまだ出てこない


「隊長!見つけました!あの白い機体です!!」

「本当か!どこにいる!?」

「隊長、あの機体、思ったよりしょぼいっすよ、ここは俺に任せてください!」

「エリック!俺の言ったことを忘れたか!エリック!」

「ぎゃあああああああああ!!!!!」


 悲鳴がした……エリックの……


「何!?」

「隊長!エリックがやられました!!」


 第2分隊のマリクが言う

 そんな……

 今まで俺の部隊は犠牲者を出さなかった

 今回も出すつもりはなかった

 なのに……


「隊長、こっちは順調ですぜ!」


 第1分隊のアルテミスが言う


「そうか、もういい!一旦引くぞ!」

「隊長?」


 俺は信号弾を出した


「隊長!?やつは速す……ぐぎゃあああああああ!!!!」

「マリク!!!!」


 第2分隊のマリクの悲鳴は聞こえた

 第2分隊には右を任せてるから

 やつがいるのは右方向か!?


「第2分隊は即刻引け!やつは俺が相手をする!!」


 俺は第2分隊がいる方向に向かった


「見つけた……!!あの機体か!!!」


 例の白い機体を見つけた

 全身が真っ白だ

 両手が剣になっている


「よくも俺の仲間をおおおおおお!!!」


 俺は白い機体と剣を交えた


「速い!!!」


 やつの機体のスピードは異常だった

 俺はどんどん追い詰められていった


「?」


 突然やつの機体が俺から離れた

 俺の目の前を銃弾が通過した


「隊長!逃げてください!!ここは私が!!!」

「ミレイナ、来るな!やつは危険だ!!お前は引け!!!」

「そうはいきません!!」


 ミレイナが白い機体と剣を交える

 しかし、勝負は見えていた

 まずい!急いで援護しないと!!

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・






 ミレイナの機体のコックピットに剣が刺さった

 間に合わなかった


「ミレイナあああああああああああ!!!!!!!」




























「キリア、引きなさい!」

「イリア、あと少しだ!あと少しで敵の隊長機を落とせる!」

「いいから引きなさい!相手も信号弾を出してたしこちらも被害が出た!!」

「……分かった……撤退する」


 あと少しだったのに!!

 こうして俺たちは撤退した



















「ミレイナ……ミレイナ……!」


 俺はミレイナの機体のコックピットをこじ開ける


「たい……ちょう……」


 そこには脇腹を酷く怪我したミレイナがいた


「待ってろ!今すぐ応急手当をするから!!」


 俺が伸ばす手にミレイナが手を置く


「たい……ちょう……のおか……げ……です」

「喋るな!」

「いままで……わたし……には……にくしみ……しか……ありま……せん……でした」

「もういい!喋るな!!」

「でもたい……ちょう……の……おかげ……で……わた……し……まもる……たたか……いが……でき……ました」

「喋るな!もういい!喋るんじゃない!!」

「たい……ちょう……わた……し……たい……ちょう……を……まも……る……こと……が……できた……でしょう……か?」

「ああ、お前は充分俺を守った!充分すぎるほどにな!!」

「そう……です……か……それ……は……よか……た」


 ミレイナの息の根が止まる


「おい!ミレイナ!しっかりしろ!!!ミレイナああああああああ!!!!」


 俺は泣いた

 夕焼けの空の下でたくさん泣いた





~仇討ち~


「おい、お前ら!これから模擬戦をやるぞ!!」

「隊長、今日は追悼式ですよ、模擬戦なら後ででも出来るんじゃ」

「いいからやるんだ!追悼式などどうでもいい!!」

「隊長……見損ないました……あなたには血も涙もないんですね」


 シュゲルツが幻滅した様子で出て行った

 他の部下たちもそれに続く


「……クソッ!!!!」


 俺は壁に拳をぶつける

 エリック、マリク、ミレイナ

 皆やつにやられた!

 あの白い機体に!!

 俺が仇を取ってやる

 お前たちの仇を!!

 必ずな!!!!


























 俺たちの部隊も被害を出していた

 確かに今回の敵は手ごわかった

 しかしダッチさんまでやられるなんて

 彼はベテランの軍人だ

 そう簡単にやられるとは思わなかった


「おそらく、またあの部隊と鉢合わせになるだろう」


 グリル隊長が言う


「だが、ここで怯んではいけない!!今度こそあの部隊を殲滅するぞ!!!」

「おお!!!」


 兵士の皆が雄叫びを上げる

 そうだ!やるんだ!!

 今度こそあの隊長機を落としてみせる!




















 さっきの俺の発言のせいか誰も俺の話を聞いてくれるもの

 はいなかった


「皆、出撃するぞ!今度こそあの白い機体を沈める」

「分かってますよマルスさん」


 シュゲルツは俺を隊長とは呼んでくれなかった



 俺たちはまたボルモン国に向かっていた


「第1、第2、第3分隊は俺の後ろで固まって行動しろ!いいな!」

「……」


 誰も返事をするものがいない


「あの機体!あの白い機体はどこだ!!」


 俺は血眼になってあの機体を探した


「ぎゃああああああ」


 マークの悲鳴が聞こえた


「まああああああああく!!!!」

「隊長!やつが現れました!!あの”白い悪魔”です!!」


 リクトンが言う


「皆、散会して逃げろ!!」


 俺はやつがいる方向へと向かう


「見つけた!!」


 やつはまた俺の仲間に剣を向けて突進していた


「させるかあああああああ!!!!」


 俺は銃弾をやつに向けて放つ


「!!!?」


 やつはそれを回避して

 俺のほうへ向き直った


「見つけた!!見つけたぞ!!!白い機体!!!!!」

「隊長!俺たちも援護します!!」

「いいや、お前たちは逃げろ!!」

「しかし!」

「お前たちは他の敵の相手をしろ!こいつは俺が引き受ける!!」

「……分かりました」


 これでやつと俺だけになった

 やつは剣を構えて突進してくる

 対する俺もやつに剣を構えて迎え撃つ


 カキン、カキン、カキン


 俺とやつの剣を交えた音が響く

 やつの動きは速い

 だが俺はやつの動きを見切っていた


「よし!今だ!!」


 俺はやつから一旦離れた

 やつは俺を追いかけて剣を振り上げる


「かかったな!!」


 俺はやつの振り下ろした剣を避け

 やつのコックピットに剣を突き刺した




















「ぎゃあああああああああ」

「キリア!キリア!!大丈夫!?」

「痛い!痛い!!痛いいいいいいいい!!!」


 私は急いでキリアの援護に向かった


「キリア……」


 キリアの機体が倒れていた

 コックピットに穴が空いている

 私はキリアの機体のコックピットをこじ開けた

 中には血まみれでぐったりしていたキリアがいた























「なんで……なんで人は争うの?戦うの?他に解決する方法ならあるというのに……」


 少女は一人嘆いていた


マルス、キリア編

   完

ここまで読んで下さり有難うございます!

う~ん思ったよりボリュームが少ないです・・・

何かアドバイスがあればお願いします!

ちなみにこの物語のED曲は

アリプロの「愛と誠」という曲で

脳内補完されてますw

EDは昔の壁画みたいな絵で戦場が描かれていて

中央で生身で剣を交えるマルスとキリアにズームインしていく感じですw

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