スレイダ編
ースレイダ編ー
~あらすじ~
アリサたちはとある城に飛ばされる
そこにはひとけがなかった
アリサたちは玉座がある部屋の扉を開ける
そこには姫様を守るたったひとりの青年がいた
私たちは城の中にいた
「嫌な雰囲気がする城ですね、でましょうか?」
「いえ、この城を探索しましょう」
「分かりました」
私たちは城の中を歩き回った
窓の外の景色は妙に暗い青色をしていた
城の中に人の気配はない
私たちは客室、大広間、寝室といろんなところを
回っていた
「ここが、玉座がある部屋ね」
「アリサ様、この部屋から嫌な予感がします、私が開けましょう」
「それじゃあお願いしようかしら」
ヘルフェスはゆっくり部屋の扉を開ける
そして中に入った
私もあとに続く
「やはりか」
ヘルフェスの言葉を聞きながら私は正面を見た
玉座がある
玉座への階段の前に
一人の青年らしき人物が地面に剣を突き刺し
片膝をついていた
周りも見回す
辺りは骸骨と血痕だらけだった
青年は私たちに気づいたのか顔を上げた
服がボロボロだ
体にはたくさんの傷を負っている
青年に生気は感じられなかった
でもその顔からは必死な感じが読み取れた
「ヒメサマニハナンビトタリトモチカヅケサセハシナイ」
青年はよろよろと立ち上がり私たちに剣を向けた
「アリサ様ここはわたくしめがやつの相手をします」
「くれぐれも殺さないようにね」
「分かっております」
ヘルフェスも剣を構える
しかし、青年は私たちに迫ってくる様子はなかった
守りに入ってるのかもしれない
「はああああああ!!!」
ヘルフェスが青年に向かって突進する
剣と剣が交じり合う
青年はよろよろとしていながらも
ヘルフェスと互角に戦っていた
もっともヘルフェスが手加減してるのもあるかもしれないが
「ヘルフェス、彼を玉座から離して」
「分かりました」
青年は必死に玉座の階段の前からどこうとしなかったが
次第にヘルフェスに部屋の端へと追いやられる
「さて」
私は玉座の階段を上っていった
カキン、カキン
後ろから剣を交える音が聞こえてくる
ヘルフェスは順調に青年と戦っているようだ
「ヒメサマ二チカヅクナアアアアアアア!!!!」
叫び声も聞こえてきた
一瞬私は身の危険を感じたが
彼はヘルフェスが抑えているので大丈夫だろう
玉座へとつく
すると
玉座の前に二人の骸骨が手をつなぎながら倒れていた
私は二人の骸骨の手を繋いだ部分に手を置く
すると頭の中に映像が流れた
一人の青年が必死に玉座へと攻め込んでくる騎士たちから
姫様を守っていた
その青年は今ヘルフェスと戦っている青年だった
彼は体に傷を負いながらも
必死に戦い抜きなんとか姫様を守っていた
姫様を守り終えたあと青年は姫様の元へと駆けつけていた
「姫様、私は・・私は何とかあなた様を守り抜きました」
「でもどうしましょう、ここには私の居場所なんてないわ」
「ではここから移動しましょう、どこか遠い場所に」
「いいえ、私は手配されているわ、どこに行っても狙われる」
「ではどうしましょう」
「スレイダ、お願いがあります」
「なんでしょう?」
「私と一緒に心中してくれませんか」
「そんな・・・ダメです!姫様!!」
「どの道私たちにはこの道しか残されていないのです」
「姫様は私がお守りします!!」
「スレイダ、剣を貸しなさい」
「急にどうしたんですか?」
「いいから」
スレイダと呼ばれる青年は姫に剣を貸す
そして姫がスレイダを抱きしめる
「姫様・・・?うぐっ!!」
「ごめんね、スレイダ」
姫様はスレイダを抱きしめながら後ろから彼の背中に剣を突き刺す
スレイダは両手を広げそのまま倒れ込んだ
姫様もスレイダの手を握り同じように倒れこむ
「これで私たち・・・ずっと一緒にいられますね」
姫様の目からは涙が流れていた
「お休み、スレイダ」
映像が途切れた
「そういう過去があったのね」
スレイダと呼ばれる青年は今ヘルフェスと剣を交えている
どうやら彼の魂だけがこの城に取り残されたらしい
「ヘルフェスそのへんにしときなさい」
「アリサ様?」
「彼から離れて」
言われた通りにヘルフェスがスレイダから離れる
スレイダがヘルフェスに追い討ちをかけることはなかった
彼はまた片膝をつく
私はスレイダに近づく
スレイダと呼ばれる人物は私が近づくと再びよろよろと立ち上がり剣を構える
「危険ですアリサ様」
「あなたはだまってちょうだい!!」
「・・・・・・」
この言葉何度目だろう?
今はそんなことどうでもいいか
「スレイダ、姫様はここにはいないわ」
「ヒメサマガ・・・イナイ・・・・?」
「ええ、あなたの姫様は天国で安らかに暮らしているわ」
「ソウカ・・・ヨカッタ・・・・」
その瞬間スレイダの体から輝きが放たれた
「ソウカ・・・ヨカッタ・・・・」
アリサ様の言葉を聞いてからか
スレイダと呼ばれる青年の体は次第に透明になり
最後には消えた
「彼、今までずっと姫様を守ってきたのね・・・姫様がいなくなっても」
「左様でございますか」
「しかし、姫様の魂だけあの世に行って彼の魂だけここに残るなんて・・・悲劇ね」
「左様でございますね」
ピカーン
アリサ様の首にかかっている花のペンダントが光る
このペンダントが光ると次の世界へ行くことになるのだ
「ヘルフェス、次の世界へ向かうわよ」
「了解しました、アリサ様」
俺はふとアリサ様が俺から離れていくような感覚におちいっていた
いや、そんなはずはない
俺はこれかもずっと忠実な下僕としてアリサ様に仕えるのだ
ずっと・・・
ースレイダ編ー
完
ここまで読んで下さり有難うございます^♥^♪
何かご指摘があれば遠慮せずお願いします




