レイニャン編
ーレイニャン編ー
~あらすじ~
再びアリサ・レイニードが現れて歓喜するレイニャン
そして”闇斬り”加わったアリア
アリアは弟の死を引きずっていた
アリサはアリアを説得する
「やっと見つけたぞ!!」
「どうした?レイニャン」
「アリサ・レイニードとやらがまたこの世界に現れよったわい」
「なぜそのアリサとやらに固執する」
「彼女には屈辱を受けた」
レイニャンが屈辱?
私はアリサ・レイニードについてあまり知らない
前にレイニャンが厄介だと言っていた相手だ
お互いに何か通じるものでもあるのだろうか?
「アルファ様、レイニャン様、そのアリサ・レイニードの始末、私にお任せください」
「ほう、お前が行ってくれるか、では頼む、レイニャン彼女らはどこに現れる」
「彼女らはチナーズ街へ向かうだろう」
「そうか、ではチナーズ街へ向かえ」
「はい」
そう言って彼女は出て行った
「アルファ様、あの娘を信用するのか?」
「まあやつの様子を見てみようじゃないか」
さて、俺は高みの見物といくか
「アリサ様、どこまで歩くんですか?」
「もっと西よ」
「一体その街までいくつかかるんですか?」
「あと半日よ」
「わたくし、少し腹が減っております」
「辛抱しなさい!あなたそれでも悪魔なの?」
「……分かりました」
この世界見覚えがある
確か、拳とアリアがいた世界だったかしら
それにしても胸騒ぎがするわ
何かしら
「ぎゃあああああああああ」
逃げ惑う人たち
「悪く……思わないでね」
私は容赦なく人々を切り捨てる
別に今回の目的は食料を奪うことではない
ただ……これが私のやるべきことに含まれてるから
私は西の街についた
「嫌な予感……的中したわ」
「人がいませんね」
私たちは人気のない街を歩く
しばらくすると
向こう側から誰か一人歩いてきた
「アリサ様、お下がりください」
ヘルコレオスの件以来彼の私への警備はさらに厳しくなった
ただ向こうから歩いてくる人物
その人物からは嫌な気配が漂っていた
その人物はフードを被っていた
そいつは両腰から剣を抜くと空高く舞い上がった
そして私目掛けて剣を振り下ろして舞い降りてくる
ヘルフェスは私の前に出てすかさずそれに剣で対応した
ヘルフェスとそいつは剣を交える
私は念じてみた
前この世界に来たときは念じて人の動きを封じることが出来た
しかし、今回はダメみたいだ
恐らく動きを止められるのは人によるということだろうか
あるいは他の要因があるのかもしれない
戦闘はヘルフェスの有利に傾いていた
フードを被ったそいつはすかさずバックステップを踏む
しかし、ヘルフェスはそれを追いかけなかった
おそらくフェイントと読んだのだろう
「やるわね」
バックステップを踏んだ拍子にすかさずフードが外れる
その顔を見て私は驚愕した
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アリアだった
俺はやつと剣を交えていた
やつは両手剣を扱っている
それに対して俺は片手剣だ
やつの両手剣の腕はなかなかだが
少しぎこちなさを感じる
やつはバックステップを踏んだ
その動きを見て分かった
フェイントだ
バックステップの拍子にやつのフードが外れた
やつは女だった
赤く長いストレートの髪型をしていた
「アリア……」
「久しぶりねアリサ・レイニード」
「どうしてあなたが……」
二人が会話をしている
どうやらアリサ様の知り合いらしい
ただアリサ様の知り合いとはいえ
やつは敵だ
俺は剣を構える
「どうしてあなたが……闇斬りなんかに」
アリア・シュレイド
彼女はリアターの一人である
つまり神に選ばれた存在だ
そんな彼女が今”闇斬り”にいる
「理由は話す必要なんてないわ、あなたたちはどうせ死ぬもの」
彼女はセリフを吐き捨てた
「それにしてもあなたやるわね」
そう言うと彼女は剣を両腰におさめ
手から剣を出した
神具だ
「今度は本気で行かせてもらう!!!」
再びアリアが私たちにすごい速さで接近する
ヘルフェスがそれに対応する
神具を手にしたアリアとヘルフェスの戦いはほぼ互角だった
しかし、しばらくするとヘルフェスの不利に傾いていた
「な!?」
ヘルフェスが持っている剣が折れた
「あなたの剣じゃ私の神具にはかなわないわ」
アリアが自慢げに語る
「アリサ様、力を開放しますよろしいですか?」
「いいけど、殺すのはよしてね」
「……了解しました」
アリアは驚愕する
ヘルフェスが悪魔の姿になったからだ
アリアとヘルフェスが再び戦闘に戻る
状況はヘルフェスに傾いていた
やはり彼は悪魔のときのほうが力を発揮するようだ
アリアの剣が弾き飛ばされた
しかし、すぐさま剣が消え、アリアの手元に戻った
神具は持ち主の手から離れることはない
「ほう、面白いなそれ」
ヘルフェスが興味深そうに聞く
彼らはまた戦闘に戻った
30分ほど経っただろうか
「ヘルフェス、そのへんにしときなさい」
「了解しました、アリサ様」
私はアリアに近づく
彼女は完全に息を切らしていた
「アリサ様、相手は弱っているとはいえ近づくのは危険です!!」
ヘルフェスが相変わらず私の心配をする
「安心しなさい、ヘルフェス、彼女はもう戦えないわ」
「しかし」
「あなたは黙ってちょうだい!!」
「はい、分かりました」
ヘルフェスは黙り込んだ
私の命令を素直に聞くのは彼の長所と言えるかもしれない
「アリア、もう一度聞くわ、あなたはなぜ”闇斬り”に?」
「弟の……ためよ」
「弟のため?」
「私は弟を裏切った、最後にあんなことを言われた」
「……」
「だから私はせめて弟の無念を晴らしてあげたかった」
「そんなことをしてあなたの弟がほんとに喜ぶと思うの?」
「分からない! 分からないわよ!!」
アリアは泣き出した
彼女は落ちるとこまで落ちた
今でも弟の死を引きずっている
前に私は彼女を慰めていたが
意味がなかったようだ
「これ以上こんなことを繰り返すのはやめなさい」
「でも!!」
「弟はあなたが罪を重ねることを望んではいないわ」
「……」
「あなたはリアターとして人々を助けなさい」
「今更・・・そんなこと言われても……」
「今からでも遅くないわ」
「私に・・・どうしろと言うの……」
「それはあなたが考えることよ」
アリアはしばらく呆然としていた
「行くわよ、ヘルフェス」
「はい、アリサ様」
「あと容姿も人間に戻しなさい」
「了解」
私たちはアリアを放ってチナーズ街を後にした
「おのれえええええ!!!」
「どうした?レイニャン」
「アリアがやつらの撃退に失敗した」
「そうか」
「アリサ・レイニード、やつは厄介な切り札を持ってきている」
「切り札」
「ああ、悪魔みたいな見た目をしている」
「ふうん」
「アルファ様、ここは妾が行こうと思う」
「レイニャンお前は”闇斬り”にとって重要な戦力だ、千里眼を失うわけには行かない」
「アルファ様、妾の力は千里眼だけではないのはご存知だろう?」
「それもそうだが」
「安心しろ、確実にやつらを仕留めその首を持ってきてやろう」
「そこまで言うのなら行くがいい」
レイニャンはその場を後にした
私たちはボレアス街についた
「ここには闇斬りの力は及んでないのね」
私たちはしばらく街中を歩いていた
「!!!!」
私は敵の気配を察知していた
街中は普通通りだ
だがわかる
ここに私の敵がいる
「アリサ様!!お逃げください!!!このままでは私は!!!!」
ヘルフェスが苦悩した様子で私に話しかける
恐らく相手は念力使い
ヘルフェスを念力で動かして私を始末する魂胆だろう
”ラタルタの予言”が開く
”目の前の路地裏に進みなさい”
私は言う通りにした
路地裏を進む
ヘルフェスは相変わらず苦悩している
急がないとヘルフェスは私を殺してしまうだろう
しばらくすると
人が見えた
フードはかぶっていない
だが私は察した”闇斬り”のレイニャンだ
私が前に思念を送った相手だった
「フホホ、見つかってしまうとはさすがアリサ・レイニード」
彼女は不気味な笑みで私に話しかける
「あなたの仕業だったのね」
「そろそろそやつは私の手足となるだろう」
”ラタルタの予言”が開いた
”この人物にある言葉をかけなさい”
私はその言葉が何かすぐに分かった
私は彼女に話しかける
「残念だけど、あなたが何をしようと”ラタルタの予言”には逆らえないわ」
「なんじゃと!!!」
彼女は激怒した
どうやら彼女は”ラタルタの予言”という言葉に反応したようだ
「おのれえええ!!貴様は私が直接始末してやる」
彼女は空中に浮き上がった
禍々しいオーラを放つ
そして黒い玉のようなもの私にめがけて発射した
すかさずヘルフェスが私の目の前に出て剣で黒い玉を受け止める
「アリサ様に手出しするものは何びとたりとも許さん!!」
ヘルフェスは彼女に斬りかかった
「な!?」
「どこを斬っておる、妾はここにいるぞ」
彼女は瞬間移動をした
「ちぃ」
「ふほほほほ」
レイニャンはヘルフェスをもてあそんでいた
「さてと、やってみるか」
私は意識を集中させる
すると
「おのれえええええ!!!」
レイニャンが叫び声を上げた
「ぐほっ!!!」
ヘルフェスがレイニャンを斬りつける
レイニャンは血しぶきをあげて倒れた
「まさか、あなた殺してないでしょうね!?」
「大丈夫です、アリサ様、この程度の傷では意識は失いますが死にはしません」
「そう、それはよかった」
私はレイニャンに近づき
傷口に手を当てて意識を集中した
「出来た!!!」
彼女の傷口が塞がる
「しかし、いいのですか!?彼女は悪い奴なのでしょう??」
「あなたが言うのね」
「今の私はアリサ様の忠実な下僕ですので」
「私はどんな理由があろうと人を殺すのには賛成できないわ」
「そうですか」
ピカーン
花のペンダントが光る
「次の世界へ行くわよ、ヘルフェス」
「了解」
私はアリアのことが気にかかっていた
アリアは弟の死を今でも引きずっている
彼女はそこから這い上がれるだろうか
それは分からない
だが彼女が改心してこの世界の平和を守ることを切に願う
ーレイニャン編ー
完
ここまで読んで頂き有難うございます
何かご指摘があれば遠慮せずお願いします
文章力を上げたいので




