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死者編

~あらすじ~

死んだ魂は死後の世界へと旅立つ

彼らは今何をしているのだろうか?

そんな彼らの現状を綴った物語

「あなたは生まれ変わらなくてはいけません」

「うるせえ、俺を放っておいてくれ!!」

「……」


~ミハエルの今~


 僕の名前はミハエル

 ミハエル・レイニード

 15歳と言ってもとっくに死んでるけどね


 僕はラタルタ様と共に迷える魂を救う戦いをしている


「お帰り、ミハエル、どうだねあのものの様子は」

「ダメです、全然僕の言うことを聞いてくれません」

「そうか……時間が経つのを待つしかないのかね」


 ラタルタ様は悲しそうな表情を見せる

 僕は彼と初めてお会いしたとき

 僕の彼のイメージが一変した

 温厚そうな顔で口調も優しかったからだ

 僕は疑問になって聞いた


「ラタルタ様、あなたは生前頑固だと聞いていましたが本当ですか?」

「ああ、確かに生前の私は頑固だった、だがこの世界に来てから考え方が変わった」


 ラタルタ様は話してくれた

 人間にはそれぞれ役目があるということ

 そしてそれぞれの成長のスピードがあること


「生前の私は風俗やギャンブルなどの娯楽を否定したり、食べ物を分け与えた人たちに神への感謝と禁欲を強く勧めていた、だがそれは間違っていた」


 ラタルタ様は言う


「人間は成長する必要がある、だがいきなり変わるのは無理なことだ」

「それは、そうですね」

「今は反省しているよ」

「でも、僕もギャンブルはなくなって欲しいと思います、そのせいで苦しんでる友達を何名か知っているので」

「難しい問題だね、もちろんいづれそういう娯楽はなくならないといけない、だけどいきなりは無理な話だ、君だって肉を食べるなと言われると嫌だろう」

「はい、ですが今は違います」

「それはこの世界に来たからだろう、この世界は現実世界と比べて禁欲がしやすい」

「それもそうですね……」


 この世界は現実世界と比べると楽園だ

 自分のしたいことが何でも出来る

 空を飛ぶこともできるし

 姿かたちも自由自在に変えることが出来る


 しかし、皆、次第にそれに飽きを感じもっと上を目指すようになるという

 

「ミハエル兄ちゃん遊ぼう!」


 教会の庭で遊んでいる子供たちが僕に話しかける


「ごめんね、僕には他にやらないといけないことがあるから」

「そっかあ、頑張ってね」

「ありがとう、それじゃあ行ってくるね」

「行ってらっしゃい」


 僕は再び迷える魂を救いに出かける



~ミレイナの今~


「ああああ!!!ああああ!!!あああああ!!!!」

「クリス……」


 私はクリスの様子を眺めていた

 私は生前ニコラスを殺した人物に対して恨みを抱いていた

 この世界に来てから私は全てを知った

 ニコラスを殺した人物も

 それはクリスだ

 でも私はもうクリスを恨んではいない

 ニコラスと出会えたのだから


 でもクリスは今もなお苦しんでいる

 己のやったことを悔いている

 彼にはこの苦しみを克服して全うな人生を歩んで欲しいものだ


 マルスの様子を見る

 彼は相変わらず仕事熱心だ

 今日も元気に腕立て伏せをしている

 彼の心配をする必要はない


 ニコラスは別の世界に生まれ変わった

 彼は自分がたくさんの人を殺しているのを知った上で

 人を殺し続けた

 この世界では良心が痛むことをすればするほど罪が重くなる

 彼はそれをしたのだ

 彼は渋々自分の罪を認め次の世界へと再生した


 現在の私はこの世界をのんびり渡り歩いている

 この世界はとても美しい

 景色、鳥の声どれも皆現実世界と比べる天と地ほどの差がある

 私はこの世界の美味しい空気を吸いつついつもどおり過ごすのだった


~タイラの今~


 僕はアマリア様を見守る

 彼女は屋敷でのんびりと過ごしていた

 正直、僕は不安だった

 僕がいなくなったら彼女はどうなるのかと


 最初見たときはその予感は的中した

 あのアマリア様が憎しみのままに動いたからだ


 でもそのあと何とか持ち直した

 彼女は核を使って大量に人を殺す罪を背負わずに済んだのだ


 彼女がこの世界に来たら何と言うだろうか

 きっと驚くだろうな


 僕は相変わらず彼女を見守る

 生前家来として働いてたときみたいに


~キリアの今~


 イリアはまた軍に復帰したみたいだ

 彼女も俺がいなくなったことでやっと本職に踏み切ることができたらしい


 俺は今この世界を満喫している

 どうやらこの世界には無限の階層があって

 それが螺旋状につながっているらしい


 俺が今いるこの世界は階層で言うと上のほうだろうな

 俺は他の人たちから魂を救う活動をするよう促されている

 俺もいづれ迷える魂を救うために活動することになるだろう


 この世界でイリアにあったときは

 突然いなくなったことを詫びないといけないな

 そう思いつつ俺はこの世界からイリアの様子を見守っている


~マルクスの今~


「どうして?どうして僕が悪いの?」

「マルクス……」


 私はマルクスを説得していた


「僕は何も悪いことはしていない!むしろ良いことをしたんだ!!」

「マルクス、人を殺すことは良いこととは言わない」

「あんな世界で苦しむよりこの世界で幸せに生きるほうがずっといいに決まってる!!」

「マルクス、死んだ人が皆この世界に来れるとは限らないんだよ」

「……」


私は長時間マルクスを説得した


「ラタルタ様、僕は間違っていたのでしょうか?」

「ああ、残念ながら」


 マルクスは落ち込む


「だが、君の罪は軽い、君は善意で人を殺めたのだからね」

「ラタルタ様、お願いがあります」

「なんだね?」

「ここでは迷える魂を救う活動があるんですよね?」

「ああ、あるとも」

「僕もその活動に参加させてもらえないでしょうか?」


 マルクスは目を輝かせて言った


「残念だが、君をこの活動に参加させることは出来ない」

「罪があるからでしょうか?」

「ああ」

「どうしたらその罪を消滅させることができるのでしょうか?」

「生まれ変わって、苦しい道を体験するしかないね」

「そう……ですか……」


 マルクスはしばらく考え込んだ後こう言い放った


「僕……生まれ変わりたいです!生まれ変わって罪を償いたいです」

「その言葉を待っていたよ」


 マルクスは生まれ変わる決意をしてくれた

 私は嬉しかった

 こうやって魂を更生させていくことで

 私の目指す世界が近づいてくるからだ


「ではラタルタ様、行ってきます」

「マルクス、健闘を祈っているよ」


 こうしてマルクスは自分の罪を消すために別の世界に転生した


~エトの今~


 僕は相変わらず研究を続けていた

 この世界に来てからも僕の日常は変わらない


 僕は今魂の病気に役立つ薬を開発している

 なかなか難しいが必ず完成させてみせる!



 アリサは今も頑張っていろんな世界を救おうとしている


 僕も負けてられないな


~ミーシャの今~


 私は今ラタルタ様のところにいる

 そこでフリンク様の様子を見守っていた


 私が命を絶ったばかりのときの彼はやつれていた

 全てに絶望している目をしていた


 しかし、時間の流れと外の景色の美しさが彼を立ち直らさせてくれた


「ラタルタ様!私はあなたに感謝しています!あなたのおかげで私の世界は平和になりました」

「私は何もしていないよ、アリサ君が頑張ったおかげだね」

「はい!アリサさんもよく頑張っていると思います」

「君は彼と別れて悲しいかい」

「少し悲しいですけど彼とはいづれまた会えるだろうし大丈夫です!」

「そうか」

「ミーシャ、遊ぼう」

「ほらミーシャ、子供たちが呼んでるよ遊びに行っておいで」


 こうして私は教会の庭で子供たちと遊んだ

 フリンク、あなたとまた出会える日を私は楽しみにしているよ


ー死者編ー

  完

アリサとアマリアのパラレルワールドォ!

第8話


 夕食後

 私がたそがれようとラウンジへと向かうと


「あ、アリサさん!け、結婚を前提にお付き合いしてください!!」


 という声が聞こえた


「え、えと……その……」


 アリサは困った様子だった


「彼女は私の嫁だ、同棲もしている」


 私はアリサの肩に手を回す


「離してちょうだい!!」

「え!ちょっ!!」


 アリサが私の手を振りほどく

 アリサはそのまま立ち去った


 平行世界ではアリサに嫌われてるアマリアであった

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