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キュアリス編

~あらすじ~

キュアリス・ヒーリング

彼女は一国のお姫様で人や動物、植物の傷を癒すことができる

不思議な力を持っている

また彼女は物を食べず、毎日清潔感溢れているため風呂に入る必要もない


今度のアリサの役目はそんなキュアリスをある場所へ案内することだった

~キュアリス~


「あなたがキュアリス・ヒーリングね」

「あなたがアリサさん?ラタルタ様から話は聞いています」


 彼女は私が突然現れて驚く様子も無く

 私が驚く様子になるようなことを口にした


「ラタルタって……」

「あら?違いましたか?」


 彼女が不安げな表情で聞く


「い、いえ、なぜあなたがラタルタのことを知っているのかと……」

「ああ」


 彼女が納得したような口調で話す


「私、霊と交信ができます、それでラタルタ様とも幾度かお話をしていました」

「なるほど、それ」

「それであなたが来るという事を聞いてお待ちしておりました」


 彼女が私の言葉を遮って言う

 それにしても彼女はラタルタと話ができるなら

 私ではなくラタルタが彼女を導いてやればと思うのだが

 きっとラタルタもいろいろと忙しいのだろう


「キュアリス様」


 私とキュアリスが話をしていると

 扉を開けて一人の男が入ってきた


「どうしました?マルス」

「あなた様に治して欲しい怪我人が何名か」

「そうですか、分かりました」

「お願いします、それとこちらのお方は?」


 男が不思議そうな顔をして尋ねる


「彼女はアリサさん」

「あなた様がですか!?キュアリス様から話は聞いております」


 男は驚いた様子で声をあげた


「よろしく頼むわね、それにしても」


 私は男のほうに向いて言う


「あなた、私の世界のマルスそっくりね」

「僕の名前はマルスですが??」


 男は尚も不思議そうな顔で言う

 今いち会話が噛み合っていない


「ああ、名乗るのを忘れていましたね僕の名前はマルス・エンゼルハートです」

「そう、あなたもマルスなのね」

「どうかなさいましたか?」

「いや、私の世界にマルスというあなたに瓜二つの人がいてね」

「左様でございますか、それは是非とも一度お会いしてみたいところです」

「それよりマルス、怪我人の治療をする必要があるのでしょう」


 キュアリスが私たちの会話に割り込む


「ああ、そうでした、お願いします」

「アリサさん、ではまたあとで」


 キュアリスとマルスは部屋を後にした

 それにしても彼女は医者か何かかしら?

 怪我人の治療と言ってたけど

 私は彼女に対して幾度か疑問を持ちつつ

 その場に立ち尽くした


~ヴォルグ~


「ヴォルグよ」

「はっ!何でございましょう?ボルス様」


 俺の名はヴォルグ・インペルド

 皇帝ボルス様の護衛を務める騎士である


「キュアリス・ヒーリングを始末しろ」

「じ、実の娘をですか?」

「あんな化物、私の娘なはずがない」


 確かにキュアリス姫は不思議な力をもつお方だ

 その上キュアリス姫が博愛主義なのに対し

 ボルス様は利己主義だ

 いづれこうなるのも仕方ないと言えるだろう

 しかし、これはいい機会だとも思った

 俺にはどうしても戦いたい相手がいたからだ


「分かりました、いつ襲撃いたしましょう?」

「今夜決行しろ」

「今夜ですか!?」

「なんだ?不満か?」

「いえ、分かりました」


 俺騎士の敬礼をして皇帝の部屋を後にした


~アリサの誘導~


「キュアリスとマルス、話がある」

「なんでしょうアリサさん?」

「今夜ここは襲撃される」

「なんと!?」


 二人は驚いた顔をした


「それはまずいですね、しかし一体誰が?」

「皇帝ボルスの図らいよ」

「そうですか」


 キュアリスは何か納得したような口調で言った


「それは、まずいですね、迎え撃ちましょうか?」

「いえ、私の言う通りに動いてちょうだい」

「しかし」

「マルス、彼女の言うことに従いなさい!彼女は私たちの案内人なのですから」

「分かりました」


 こうして私は彼女たちが行く方向を示した

 しかし、”ラタルタの予言”には不思議な事が書かれていた

 今回私が導くのは彼女たちだけじゃないのだ
















 どごおおおおおおおおおん


 俺はたくさんの騎士たちを連れて

 キュアリスがいる寝室の扉を蹴破った


「あれ?」


 中には誰もいなかった

 ちっ勘づかれたか

 あの姫様のことだ

 俺たちが攻めてくることをとっくに察知していたのだろう


「ん?」


 頭の上に感触があった


「うおっ!?」

「どうしました?ヴォルグ様?」


 突然俺の脳内に映像が流れた

 映像には俺が見覚えがある街に

 キュアリスとあの男の姿があった


「皆の者!俺についてこい!!」

「ヴォルグ様、どこか宛でも?」

「ああ、俺はキュアリスの逃げる場所を知っている」


 俺たちはキュアリスたちのあとを追いかけた











「アリサさん、今度はどこへ向かえばよろしいですか?」

「さすがにここまでこれば追っ手は」

「そうね、ここから東へ向かってちょうだい」


 アリサさんがマルスの言葉を遮って言った

 私たちは彼女の指示通りに動くことにした












「ヴォルグさん、ほんとにやつらはここを通ったんですか?」

「ああ、通っているとも!俺の勘を信じろ!!」


 そう言った瞬間映像が途切れた


「今回はここいらで宿をとるぞ」

「分かりました」


 待ってろ!キュアリスごとお前を叩きのめしてやる!!

 あのすかした野郎を!



~光水晶~


 私たちは”ラタルタの予言”通り北へ向かった

 するとある洞窟が見つかった


「この洞窟は!?」

「どうしました?アリサさん」


 この洞窟は私が前にキリアと共にきた洞窟にそっくりだった

 異世界でも似たような場所はあるのね


「いえ、中に入るわよ」


 私たちは洞窟の奥へと進んでいった

 しばらくするとある石版が目の前に現れた

 石版の丸い穴に光っている丸い石がはめ込まれていた

 光水晶だ


「そういうことなのですね!」


 キュアリスが納得した様子で言う


「どうしました?キュアリス様」

「いいえ、何でも、それより」

「見つけたぞ!」


 キュアリスが言葉を発した途端

 後ろから大きな叫び声が聞こえた


 一人の屈強そうな男が大量の騎士たちを連れている


「ヴォルグどうしてここが?」


 マルスが驚いた口調で言った

 もっとも私が誘導したのだが


「そんなことはどうでもいい!キュアリス!貴様の命!!貰い受ける」

「マルス、少し時間を稼いでください」

「分かりました、キュアリス様」


 キュアリスは光水晶の上に手を置く


「アリサさん、私をここまで導いてくれてありがとうございます、あとは私たちで何とかします」

「でも」


 そう言った途端花のペンダントが光った


「そう、もう行かないといけないのね」

「ええ、私もあなたもそれぞれ役目があります」

「そうね」

「私は私の役目を果たします、だからあなたもあなたの役目を果たしてください」

「分かってるわ」

「それじゃあ短い間でしたがお達者で」

「ええ、あなたの方こそ」


 そう言って私はこの世界から姿を消した


~因縁の戦い~


「うわああああああ」


 騎士たちは皆逃げ出した

 全く衝撃波くらいでビビりやがって


「ヴォルグもうやめよう、僕たちは味方同士じゃないか」

「今は敵だ!!」

「ボルス様の命令かい?」

「ああ、それがどうした?」

「君は上の人からの命令なら何でも従うのかい?」


 やつの言葉一つ聞くだけで俺のやつに対する憎しみは増していった

 俺は大剣を構える


「ヴォルグ、僕は君と剣を交えるつもりはない」


 そう言ってマルスは剣を捨てた

 あいつはいつだってそうだ

 騎士学校での同期のときも俺は

 剣術、知能、さまざまな分野でいつもあいつに負けていた

 俺はあいつと必死になって張り合った

 だけどあいつは俺のその上の上をいっていた


「俺を……俺を馬鹿にするなああああああ」


 俺はそう叫んでマルスに突進した


「ヴォルグ、僕と君は友達じゃないか!」


 俺はマルスの言葉聞き流し

 マルスの体に大剣を突き刺した


「姫様……時間は……稼ぎましたよ」


 俺はマルスの体から大剣を引き抜いた

 マルスはそのまま倒れ込んだ


「クソっ!」


 俺はやつに勝てたというのに

 全然嬉しくなかった

 やつは俺のことを友達だと言うが

 俺にとってはやつはライバルだった

 俺は無抵抗なやつに剣を突き刺しただけだった

 これじゃあ勝ったってことにはならない


「ふん、まあいい、それよりキュアリスを始末しないとな」


 俺はキュアリスの方へと歩き出す


~光~


 私はしばらく光水晶の上に手を置いた

 頭の中にはある男性がこの石版に光水晶をはめこむ

 映像が流れ込む

 彼のおかげで今の私があるのですね


「これで、充分ですね」


 私の体から力が溢れてきた


「キュアリス!!」

「ヴォルグ……」

「ボルス様からの命令だ!貴様の命!貰い受ける!!」


 ヴォルグが大剣を持ちながら私に向かって突進してきた


「これが……私の役目なのですね」


 私はヴォルグの前に手をかざす

 するとヴォルグは光に包まれて姿を消した




 このあとキュアリス、マルス、ヴォルグの物語が始まるのだが

 それはまた別の話だ






「次の世界は一体どんな世界なのかしら」


 アリサは期待と不安を胸に乗せて呟くのだった


ーキュアリス編ー

   完

アリサとアマリアのパラレルワールドォ!

第6話


「ふふふん、ふふふん、花摘み花摘み楽しいなあと♪」


 アリサは花畑で花摘みをしていた


「おっ!あの子なら高く売れるんじゃねえか?」

「そうっすね兄貴!」


 そこに二人の男が通りかかる


「そこのお嬢ちゃん」


 男の一人がナイフをちらつかせて話しかける


「きゃああああああああああ!!」


 アリサが叫ぶ


「おい!そこの二人!!」

「なんだあ?」


 二人の男が振り返った

 そこにはアマリアの姿があった


「私の嫁に手を出すとはいい度胸だな」

「なんだあ、てめえ、やろうってのか?」

「ああ、二人まとめてかかってくるがいい」

「調子乗るなよこの糞アマがあああ!!!!」


 男二人がアマリアに向かって突進する

 対するアマリアも二人に向かって走り出す

 アマリアには自信があった

 普段マルスに稽古をお願いしていたからだ


 ドテッ


 アマリアがつまずいて転んだ


「……」


 辺りを重たい空気が包む


「行きましょう、二人とも」

「あ、ああ」

「ちょっ、ありさああああああ!!」


 アマリアの叫び声がこだまする

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