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学生アルバイト

前半のヤマ場は、終わってしまいました(#^.^#)・・・

ここからは、日常的な恋人同士の場面になりますが、アルバイトを一緒にやったり、土井の店の、三崎がドライブする上クラスのニューマシンとか、サーフボードを最初に預けましたが、そこのサーフショップに行くとき、恵子が波乗りを初体験するとか、わからない人はツマンナイ~・・・かもです(^^ゞ

10、学生アルバイト


翌日の夕方、僕が学校から帰ってきてそのままバイト先の所長に挨拶に行き、配達区域とスケジュールを打ち合わせてから家に戻ると、電話が掛かって来た。

「次郎?いるかい?・・・鈴木、っていう子から電話なんだけど」

母は部屋に来て言った。

「ああ、わかるよ」

僕は母に返事して電話に出た。

「もしもし?・・・僕だよ」

“次郎さん?恵子だよ、昨日はありがとう”

「ああ、今日ね、バイト先に行って来たよ、内勤の女の子のこと言ったら、ぜひ連れて来てくれって。どうする?」

“履歴書とかは?”

「うん、所定の用紙があるから、来た時書けばいい。印鑑と身分証明書があと必要だね」

“きょうは大丈夫なの?”

「え?僕の方は平気だよ、迎えに行った方がいいかな、初めてだから一緒に行こうか」

“うん、その間に準備しておくから”

「じゃあ、今から出るからさ、切るよ」

“うん・・・次郎さん・・・”

「えっ?」

“・・・気持ちよかった・・・”

「何いってんだよ・・・今から行くから、・・・ね」

僕はセリカに乗り込み、恵子の家に行った。夕食時間前でラーメン屋さんはまだ駐車場が空いていたのでそのまま前から適当に停めて恵子の家に急ぎ足で歩き、引き戸を開け、言った。

「僕だよ、居るかい?」

恵子が二階から小走りに来て顔を近付け、僕の両肩に手を乗せ、キスした。

「一日だけなのに・・・昨夜は淋しかったの。ずっと会いたかったの」

「・・・そう、大丈夫だから。バイトが一緒の間は毎日会えるから」

「うん」

恵子は引き戸を閉め、鍵を掛けて、僕の右腕に左腕を回して体を寄せた。

ラーメン屋さんのオーナーが出てきて言った。

「・・・そうそう、しっかり掴んでおきな、お似合いだぜ」

「おじちゃんありがとう、ちょっとバイトの面接なの」

「そうかい!彼氏と一緒にかい?」

「うん、紹介してもらった」

「そりゃーいいな、でも周りに気を使えよ、恵子ちゃんは目立つから」

僕は笑って挨拶して、セリカに恵子を乗せ、バイト先に向かった。


「高校生の子が来るのはね、期末が終わってからになるでしょ?それに夜は働けないからさ、恵子は丁度良かったみたいだよ」

「電車だと何処なの?」

「うん、青梅橋だよ、小川の次だね」

「わかった。次郎さんは時間が早いんだよね、出勤は」

「そうだね、でも今月中は学校行きながらだから飛び飛びになると思う」

「あたしもそんな感じでいいのかなぁ・・・」

僕は恵子にバイトの大まかなことと、高校生の子が居る間はあまり喋らないで居ようという事を約束して、それから間もなく配送所に着いた。

広い真ん中のコンテナスペースでは、いつものフォークリフトに乗ったお兄さんがフォークを動かしていた。

「おう!中元もやってくれるん?・・・あれ?その子、ここでバイトしてくれるんかい?」

「はい、僕と同じ三木さん(多摩の所長)のところで」

「なんだよ、デポか・・・」

「でもそっちにも用があれば行くと思います」

「・・・ん?三崎の彼女か?」

「え?まぁ・・・そんなところです」

「妙に似合ってるからすぐ解かっちまうよ・・・彼女?よろしくな」

「あ・・・はい、よろしくおねがいします!」

「お!かわいいねぇ・・・」

フォークのお兄ちゃんは、そう言ってコンテナにフォークを刺し、移動していた。


「こんにちは、先程はどうも・・・」

「おう!三崎君、連れて来てくれたんだ!」

「はい」

「鈴木です、よろしくお願いします!」

所長は、所定の履歴書を持って四つ合わせた長机に座って、その向かいに僕と恵子を座らせた。

「三崎君がねぇ・・・もう当たり前だけど彼女連れて一緒に働くなんてなぁ」

僕は高校2年の夏から此処で内勤として働き、免許を取ってからは配達を始めた。夏冬合わせるとこれで6年目になるこの配送所にはとてもお世話になった。

「三崎君、じゃあ、これ、書き方教えてあげて・・・」

所長は僕に用紙を預けて、途中の仕事に戻った。恵子は書きながら僕に聞いた。

「次郎さん、ここで長くやってんだね」

「うん、大学の学費の足しにもしてるよ、全部は無理だけど定期代と後期分くらいは出せてるよ」

「へぇ・・・私も少し自分で払おうかな・・・」

「うん!お母さん、喜ぶと思うよ」

僕はそう言って、にっこり笑った。書けたようなので、所長に渡した。

「いつから来れそうかな?」

「はい、25日から大丈夫です。毎日来れるのは7月からだと思います」

「・・・そう、三崎君とだいたい同じだね、来年卒業なんだね?」

「はい・・・順調に行けば」

「ははは!大丈夫だろ?三崎君も卒業だから丁度いいね?」

僕と恵子はこの時初めて一緒に卒業なんだということを思って、顔を見合わせた。

所長が言った。

「なんだよ!そこまで考えてなかったな?」

僕は何か将来が見えてきたような気がして、恵子が傍に居ることが大切に思えてきた。


帰りに、青梅橋の駅を教えるため配送所の裏道から抜けて駅までゆっくりとセリカを走らせた。

駅に着き、僕が言った。

「歩いて帰ってみるかい?」

「え?やだよ!」

「冗談冗談・・・」

「・・・もう!」

恵子は僕の足を叩いて、少しふくれた。

「時間とか、わかるよね?全部西武線だから・・・」

「うん!30分くらいかな?」

恵子はそう言って、僕の肩を触った。

「ねぇ・・・」

「え?・・・だけど、ちょっとギャラン見てこないといけないんだけど」

「あ!陽子に言ってない」

「・・・そりゃまずいなぁ・・・どこかお店入ろうか」

「うん・・・」

途中にデニーズがあったので、そこで軽く食事を注文して、恵子が電話していた。

「・・・陽子、残念そうだったけど、でも、今の彼氏とも少し話したみたいだった。なんか・・・付き合い長いからね、少し離れてたから、考えてたみたいだよ二人とも。色々と・・・」

「ふーん・・・難しい時期に入ってるのかなぁ・・・僕には分からないな」

注文した、デニーズコンボとアイスコーヒーが来た。

「お待たせいたしました!ご注文は以上でよろしいですか?」

「・・・あれ?順子?・・・僕!」

「え?・・・あ!三崎君?久しぶり!」

「・・・ここでバイト?」

「そう!・・・彼女?」

「うん!」

「・・・なんか妬ける!」

「え?・・・これからさ、土井のところ」

「へぇ・・・まだ一緒にあそんでるん?」

「うん。八王子でクルマ屋さん始めたんだよ、土井」

恵子は不安そうな顔をして僕のTシャツの脇を引っ張り、顔を見たので、説明して高校時代の同級生だと話して納得した。

順子には、車検があったら土井に連絡するよう、頼んでおいた。

「次郎さんって・・・やっぱ人気あったの」

恵子が聞いてきた。

「え?ぜんぜん・・・でもないかな?わかんないな・・・でもいじめられてたよ結構・・・」

「・・・そうなんだ、でも女子には人気あったんでしょ?」

「しらな~い」

恵子はまた、ぷっと頬を膨らませて、こっちを向いた。僕はその頬を両手で押さえて中の息を僕にかかる様にして元に戻した。

「そんなに心配してると・・・彼女は務まらないかも」

「やだ~!」

「こらこら!聞こえちゃうから・・・」

一つテーブルをおいて座っていた若い夫婦らしいお客さんが、こっちを向いて笑っていた。


土井のショップに着くと、ギャランはリフトから降りていて、エンジンが載り、配管と電気周りの配線を引きなおしするらしく、エンジンルームは雑然としていた。土井が言った。

「よぅ!・・・例の件・・・悪いな、ちょっと今そういう気分じゃなくてさ」

「今日、陽子には連絡しておきました。気にしないように言ってましたので、大丈夫ですよ・・・多分」

恵子は土井にそう言って、僕を見たので、僕も頷いて土井を見てにっこりと笑った。

「どう?セリカは・・・」

「うん!絶好調!・・・ラーメン屋さん・・・あ、恵子の隣に住んでる人と・・・あ、そうそう今、デニーズで順子に会ってね、車検あったら、って言っといた。それと海でさ、ポルシェ914のちょっと金持ってそうな人にも宣伝しといたよ」

「へぇ・・・あ、順子なんて・・・いたっけ?」

「うん・・・3年の時B組だったかな・・・バイトしてたから、浪人して多分、大学4年。・・・ギャラン・・・未だ掛かりそうだね」

「うん・・・お客さんのクルマ結構入ってきたから、いつになるかわからないな・・・それとさ、多分もう、ギャランじゃ勝てないからさ、ショップカーで新しいスターレットKP-61を入れようかと思ってさ、チームミニッツから打診があってさ、乗ってくれるよな?」

「ああ、和田さんが乗ってたとかいうやつ?・・・僕でいいのかなぁ・・・」

「え?三崎しか居ないよ、速い車乗ればまだ行けるよ」

「いつ入ってくるの?」

「いやいや・・・もう其処にある」

「・・・へぇ・・・」

僕はガレージの奥にカバーを被せられていたコンペカーを、ゆっくりカバーを外しながら見てみた。

「うっっ・・・すげえ!」

僕は思わず見とれてKPを眺め、クラスは一クラス速くなるものの、これなら行けるかもと思い、生唾を飲んだ。

「どう?ちょっとボディがヤレてるからスポット増しして、取敢えずダートラ用のタイヤ履かせてシェークダウンしてみようよ」

「・・・うん!秋でいいよね?」

「ああ、これからは暑くて大変だからさ、・・・いいじゃん?いつもの調子でいきなりイベントに出てさ・・・テスト代わりに」

「・・・そりゃ良いけどさ、このカラーリングじゃ和田さんのだ!ってバレバレ・・・」

雑誌で有名なこのクルマは、直ぐにギャラリーに元の所有者が分かってしまう。

「これはもちろん無くすよ。うちのロゴも入れなくちゃいけないしさ」

「これ・・・次郎さんが乗るの?」

恵子が、腕を組んで、聞いてきた。

「え?・・・そうだね、多分、二台になるね暫く。少しKPにも慣れないとだめだから・・・」

「そうなんだ・・・ねぇ?あたしとクルマ・・・どっちか取りなさい、って言われたら、次郎さん・・・どうする?」

「・・・困ったな、じゃ、僕の理想を言おうか・・・恵子、マネージャーやってよ、チームの。その代わり、僕はさ、恵子の家に少し住むからさ・・・」

僕は厳しい取り引きのお返しに、そう言って恵子を安心させようとした。

「え?嬉しいな!あたし次郎さんの為になれるかなぁ・・・ちがう、チームの為か・・・」

「そうそう!チームの為さ!いいぞ恵子」

「・・・うん!頑張ってみるよ、土井さん、次郎さん!」

土井は、頷いて、恵子を見てくれた。


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