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1話 今日はいちご味

小学一年生の私は、毎日泣きながらスケートリンクを滑っていた。


私には四つ上の兄と、二つ上の兄がいる。


二人はスピードスケートを習っていて、いつも寒い中練習に行っていた。


「今日も寒かったー!」


そう言いながら帰ってくるのに、二人はいつも楽しそうだった。


その笑顔がかっこよく見えて、私はずっと兄達に憧れていた。


だから小学一年生になった時、私もスケートを始めた。


兄達と一緒に練習へ行ける。


「少年団」という響きもなんだかかっこよく思えて、ワクワクしていた。


だけど実際は、思っていた以上に辛いことばかりだった。


冬の夜のスケートリンクは、想像していた何倍も寒かった。


慣れないスケート靴を履いて、必死に滑る。


だけど全然みんなについていけない。


足は痛いし、厚手の靴下を履いてきたのに足先はズキズキ冷たい。


手袋をしていても手は冷たいし、息を吐くたびにまつ毛が凍る。


兄達は今までずっとこんなことをしてきたのか。


かっこいいと思って始めたはずなのに、私にとっては絶望だった。


寒い。


寒い。


みんなについていけなくて、一人だけ別の場所で練習しているみたいだった。


それがまた辛かった。


私は泣きながらリンクを滑った。


親達の前を通る時だけは歯を食いしばって涙を止める。


小学一年生なりに、泣いているところを見られるのが恥ずかしかったから。


何事もなかったような顔をして親達の前を通り過ぎる。


だけど通り過ぎた瞬間、安心したようにまた涙が溢れてきた。


私は声を出して泣きながらリンクを滑っていた。


練習が終わり、スケート靴を脱ぐ。


お父さんが冷え切った私の足を両手で包んで温めてくれた。


だけど足の感覚はなくて、温かいはずなのに、ただただ痛かった。


そんな辛い練習にも、一つだけ楽しみがあった。


先生がポケットから取り出してくれる、一粒のチョコレート。


一人一人に配ってくれるその時間が大好きだった。


私はワクワクしながら自分の順番を待つ。


さっきまで泣いていたことなんて忘れてしまうくらい嬉しかった。


先生は笑顔で言う。


「今日もよく頑張ったね」


そう言って私の手のひらに、そっとチョコレートを乗せてくれた。


今日はいちご味だ。


やった。


私はいちご味が好きだった。


寒いのは苦手だった。


スケートも正直好きじゃなかった。


だけど寒い中で食べるチョコレートは格別だった。


次は何味かなぁ。


勝つことなんて考えていなかった。


私の頭の中は、次にもらえるチョコレートのことでいっぱいだった。


そんな泣き虫な小学一年生だった。

一年生の私は、本当によく泣いていました。


今思い返しても、寒かったことや足が痛かったことは鮮明に覚えています。


でも、それと同じくらい覚えているのが、先生がくれた一粒のチョコレートです。


大人になった今なら、たった一粒と思うかもしれません。


だけど小学一年生の私には、その一粒が本当に嬉しくて、寒い冬を頑張れる小さな楽しみでした。


この先も、そんな小さな思い出を少しずつ書いていこうと思います。

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