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第96話

 改めて界庭羅船が護衛についている事の影響力の大きさをテトラは実感した。目の前の犯罪者に対して抵抗1つ満足にできない。相手がWPUであろうとその行動を抑制してしまうのだ。


 今がまさにその良い例だろう。


「さて。それにしてもあなた、こうして改めて見ると非常に可愛いらしい顔をしていますよね。せっかくですし、このまま楽しませてもらいましょうかね」


「……!? んーっ! んーっ!」


 1人の女性として本気の恐怖を覚えたテトラは涙目になって呻き声を出す。その様子を見たゲーテは随分と愉しそうに笑った。


「ははははは! 良い反応しますねぇあなた! ふふ……安心してください。この僕がそんな下品な真似する訳無いじゃないですか。僕は紳士な人間ですからね。さっきのは冗談ですよ」


 既に非紳士的な数々の言動をテトラに見せているゲーテのその発言は、もはやツッコミ待ちレベルであった。


 だが今のテトラにそんな事を心の中でツッコんでいる精神的余裕は無い。ゲーテに乱暴されずには済みそうだという事に、ひとまずの安心感を得るだけで精一杯であった。


「いやぁ朝から笑わせてもらいましたよ。もっとあなたの反応を楽しみたい気持ちが本音ではありますが、あまり司くんを待たせる訳にもいかないですからね。そろそろ本題に入りましょうか」


 そう言ってゲーテは塞いでいたテトラの口から手を離す。ようやく苦しみから解放されたテトラは、腰が抜けたのかその場にへたり込み、恐怖も相まって過呼吸のように苦しそうに呼吸を繰り返した。


「はぁ……ッ……はぁ……ッ……!」


「一応言っておきますが、あなたに許される行為は僕との冷静な対話……これだけです。それ以外の行動を取った瞬間、本気であなたを犯しますよ」


 顔は微笑んでいるがそれが逆に恐怖を倍増させた。明確に言語化された事によって生じた戦慄は想像を絶するものであった。


 騒いだり來冥力を解放してゲーテに抵抗したりする選択肢は用意されていない。


 テトラと何か話したい事があるというのは恐らく本当なのだろう。これからゲーテが話す内容に対して落ち着きをもった対話を試みる事のみ、今のテトラに許された行動だ。


「分かりましたね? テトラさん」


「……」


「……ふむ……」


 特に何のリアクションも見せないテトラに、ゲーテは本気では無いにしろそこそこの威力でテトラの腹に蹴りを入れた。


「がは……っ……!」


「分、か、り、ま、し、た、ね?」


「……わ、分かり……ました……」


 小さく震えた声でテトラはそれだけを返した。


「はい。よく言えました」


 そう言ってゲーテはテトラの頭に手を置いて優しく撫でた。嫌悪感が全身を駆け巡ったテトラは吐き気がしてきたが、今ここで嘔吐してしまったらゲーテにどんな事をされるか分からない。


 そう思ったテトラは必死に我慢して早くこの地獄の時間が過ぎ去るのを祈るのだった。


 やがてゲーテはテトラの頭から手を離し、ようやく本題へと入る。


「さてテトラさん。あなたにあるお願いをしたいのですが、良いですかね?」


「お、お願い……?」


「はい。今すぐ僕の監視を止めるよう、あなたの仲間に伝えて頂けませんか?」


「え……」


 どうやら彼はシュレフォルンたちによって自分の動向を監視されている事までも把握済みのようだ。それでもレイクネスが動いていない所を見るに、監視段階ではまだ様子見に留めておいてやるという余裕を感じさせたいのかも知れない。


 だが常に自分の動きを追われているのはゲーテからすれば居心地が良いとは言えないだろう。


「約束しましょう。僕は用事が済んだらそのままどこかの異世界へ高飛びします。そしてそれまでの間僕に危害を加えるつもりが無いのであれば、レイクネスに指示を出しておきますよ。この会場に居る人間に手は出すな……と」


「……」

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