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第90話

 司に過剰な不安と動揺が生まれないよう、テトラは意識して明るく振る舞い、何事もなく試験は進行している最中であるかのような演出をする。


「ねぇテトラ。部屋に居たって事は、朝ご飯まだでしょ? 一緒に行こうよ」


「うん! 行こ行こ~」


 色々考えるべき事や神経を尖らせる必要はあるが、いざという時に空腹では満足に動けない。落ち着く為にも今は取り敢えず司と朝食を楽しもうと思ったテトラは、迷う事なく二つ返事で返したのだった。


 2人で歩いてレストランへと向かう途中、嫌でもテトラの脳内はゲーテとレイクネスの事でいっぱいだった。司との食事を楽しもうとしていた矢先にこれでは先が思いやられるが、事情を知っている彼女にその事について考えるなと言う方が酷であろう。


「 (朝早くにみんなから聞いた話だと、取り敢えず既にこの会場には仁さんを除いたみんなが各担当場所に配置されているっぽいけど、本当に大丈夫なのかな。あのレギュラオンさんが指揮をして、更に私以外のWPUの人間が3人も居るんだから心強い事この上無いけど……うーん……相手は界庭羅船の1人だしなぁ。油断は禁物だよね) 」


「それでね――。……? (テトラ、難しい顔してどうしたんだろう? でも何か考え事してるって言うか上の空って感じだし今は雑談とかしない方良いかな) 」


 彼女の表情や雰囲気から空気を読んだ司は、レストランに辿り着くまでに無言状態を維持した。


 ちなみにテトラの心の声から察する事ができるが、どうやらレギュラオンをリーダーとする即興チームの作戦は既に実行に移されているようだ。


 シュレフォルン、氷雨、シアの3名はそれぞれ事前に決めていた担当場所に転移済みとなっており、今日からゲーテの動向を監視する動きとなっている。


 仮にレイクネスが破壊行動に移ったとしても、WPUが4人も居るのであればそう簡単に実行はできないはずだ。特にレイクネスは現時点ではWPUがまだ何も行動に移していないと思い込んでいる。


 彼女のその認識のズレこそ、WPU側の最大のアドバンテージなのかも知れない。


 それだけでなくやはり信頼できる仲間が側に居て、更に自分たちを駒として動かしてくれる頭がレギュラオンであるという絶対的な安心感は心に大きなゆとりを持たせてくれる事だろう。


 だがそれでも油断だけは決してしてはいけない。司を含めた全参加者およびエンペル・ギア従業員の命が懸かっているのだ。


 いざという時は死に物狂いでレイクネスに立ち向かう覚悟を今から持っておくに越した事は無いに決まっている。


「……。……ん? あ! ご、ごめん、司くん! 私、えっと、ちょっと話し掛けづらい空気出してたよね」


「え?」


 少しだけ周囲の様子に意識を割ける余裕が生まれたのか、テトラは司が全く会話しようとしていない事に気付いた。


「いや、その……司くん、何か大人しいなって思って」


「あー……バレちゃった? 実は結構最初はテトラに話し掛けてたんだけど、上の空って感じだったからさ。考え事終わるまで待とうと思って」


「うぅ……ごめん! もう終わったから大丈夫だよ! さぁ会話しよう!」


「そう?」


「うん!」


「そっか」


「……」


「……」


「え、えっと……?」


「ごめん。そんな改めて会話しようって言われると話題に困ると言うか」


「そ、それもそうだね! (あぁぁぁぁ……今日の私、ダメダメだ~) 」


「そうだ。これを機にお互いの事について話さない? ずっと試験の事とか世界の事とか、そういうのしか話してこなかったじゃん。せっかくできた異世界人の友達だし、テトラの事とか、あとWPUの事とかもっと知りたいな」

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