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第5話

「おいお前ら。飲み物用意できたぞ。いつまでもじゃれ合ってないでこっち来い」


「む。どうやら休戦だね」


「そ、そのようですね……」


「お前らいつの間にそんな仲良くなった?」


 ムイは全貌を知らないが二人の戦いは白熱していたようだ。ユエルからすればこのまま終戦して欲しかったが、ロアがいつまた話をぶり返すか分からない以上油断はできないだろう。


 三人はテーブルへと向かい、自分の飲み物が置かれた位置に座る。司の隣にユエルが座り、彼の目の前にムイ、その隣にロアという形だ。


「……で、何を騒いでいたかは知らないが、取り敢えず今日のメインとなる話題に入ろうか。良いよな? 司」


 ムイの確認に司は頷く。今日の為に何をどう話そうかとある程度司は整理してきた。恐らく長い話になるのだろうが、それでも彼らは真剣に最後まで付き合ってくれるだろう。


「確か司くんが数年前に出会ったお友達の話でしたよね? その人たちは二、三年後……つまり時期的にはそろそろ界庭羅船を倒す事が現実味を帯びた話になっているかも知れないと司くんに言ったんですよね?」


「ん。そしていつか再会する予定とも言ってた」


 ユエルとロアが当時の司の発言の記憶を呼び起こしながら口にする。司は彼女たちの言葉を聞いた後、これからの長い話に備えて紅茶を一口飲んだ。


「……。僕が彼らに出会ったのは今から二年半前かな。ちょうどリバーシ加入試験の時に出会ったんだ」


 後半の情報に対し、彼らの間に衝撃が走った事を司は確かに感じた。


「何? という事はあいつらも試験会場に居たって事か? 一体何で……」


「あいつらって……。なるほど、やっぱり君は僕が話そうとしている人たちの正体に心当たりがあるんだね。それも大分確信があるみたいだ」


「まぁな。界庭羅船を相手にそんな強気な発言ができる連中、あいつら以外有り得ないからな」


「……。……! あ、わ、私も今ピンと来ました。で、でも、そうだとすると司くん、かなりの大物と友達なんですね……。しょ、正直信じられないです」


「え。何? 私全然ピンと来ない。私だけ仲間外れ?」


 唯一心当たりが無いロアは感情にこそ出さなかったが、内心置いてきぼりにされている感じがあって不安そうだ。


「大丈夫だよ。今から全部話すから。そうだね……せっかくだから僕が受けたリバーシ加入試験で何があったのかも含めて、まとめて話そうかな。その方がこちらとしても話しやすいしね」


 貴重過ぎる話に三人とも司の方をジッと見て集中する。ムイとロアは一応受験した身ではあるが、一体司がどんな経験をしたのかまでは当然知らない。そこに興味が湧いてもおかしくは無いだろう。


「あれは二年半前の事……僕の妹の蒼が亡くなった後の話だよ……」




 二年半前。


 アルカナ・ヘヴンでは一部の人間だけが存在を認知している異世界『セレーナ』。その世界の某場所に建てられている巨大建造物内の部屋の中で司は一人待機していた。エンペル・ギア職員の手を借り、この世界に転移して来たのだ。


 どんな世界かの情報は公開されず、世界の名前すらも司は把握していない。彼からすれば突然名も知らぬ異世界へ連れて来られた感覚だ。


 この部屋はリバーシ加入試験受験者の待機部屋となっており、受験者同士の情報交換やコミュニケーションを遮断する為に参加者一人一人に用意されている。外部との連絡は不可能であり、時間が来るまで大人しく待つしかない。


 だが部屋と言っても窓は無い上に、広さも四人の人間が入ったらもう狭いと感じられる程しかなかった。


「……蒼。僕、頑張るから。絶対にリバーシに合格して、蒼を殺した犯人を捕まえてみせるから……!」


 年齢的に仕方が無い事ではあるが、まだ顔や口調に幼さが残っている司はもうこの世には居ない妹に向かってそう宣言する。


 司がリバーシに挑戦しようと思った理由の全てがその短い発言に含まれていた。

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