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第51話

 いずれにしてもゲーテとプレイヤーDが仲間であり、かつテトラを潰そうと考えていた場合、これまでの二人の行動に色々と説明がつくのだ。


 司が感じた最初の違和感である、ゲーテの『100』賭けに対してプレイヤーDがレイズに行った点。彼女の手札を把握しているはずのゲーテは自分の手札なら勝てる、もしくは高残高での勝負を仕掛ければ相手が怖気付いて降りると思ってハッタリを仕掛けたかのどちらかであると考えられる。


 だがプレイヤーDは行ってもコール止まりが自然な場面で、レイズという決断を下したのだ。


 この行動にはカードに自信があるからとか、実はハッタリでしたとか、そんな意味合いは含まれていなかったのだ。


 ずばりテトラが勝負に出たら彼女は所持残高全てを賭けなければいけない。その状況を作り出す為に、プリフロップでの賭け残高と合わせてピッタリ『150』になるようにしたのだ。


 最初から『140』賭けてしまうよりも、一旦テトラを勝負の場に誘き出す方が確実だ。仮に彼女がフォールドしても『110』もの残高を失う事になってしまうのだから、十分痛い敗北だろう。


 次にゲーテがプレイヤーDのレイズに対してコールした理由。これも二人が組んでいるとなれば答えは明白だ。彼らの目的はテトラを潰す事であり、それさえ達成できれば後はどちらが勝っても関係無い。これ以上のレイズ合戦は不要と判断したのだろう。


 ゲーテが言った『目的は達成できた』という発言は、テトラが勝負に来た場合彼女は全残高を賭ける必要が発生するという状況を作れたという意味なのだ。


 最初から狙われていたかも知れない事に気付いた司は、気が気では無かった。ここまで協力しているゲーテたちだが、もしもテトラが勝負に出て、その後今日は運が良いと豪語する彼女の言う通り都合の良いカードを連発で引き、結果テトラが勝ったら意味が無い。


 万が一テトラが勝負に乗って来ても勝てるような策が向こうにはあるのかも知れないのだ。つまりカードの透視トリックと同じく、仮に純粋なカードの役対決になっても確実にゲーテたちが勝てるような罠を張り巡らせている可能性は十分に考えられる。


「テトラ……」


 司は心配そうに彼女の名を呼ぶ。するとテトラは目線こそカードの方を向いたままだが安心させるように司に言った。


「大丈夫。私も気付いているから」


「え」


「ねぇ。ゲーテさん。それに……えっと、プレイヤーDのあなた。もしかしなくても二人は仲間でしょ?」


「え、あ、う……えと、その……」


 その質問にゲーテは特に驚いた様子を見せなかったが、プレイヤーDは違った。誰がどう見ても分かりやすいくらいに動揺し、核心を突かれた人間の反応であった。


 それが彼女の演技である可能性も否定できないが、もしもゲーテと組んでいない場合その行動を取る意味は無い。ここは変に考えず彼女の正直な反応が出てしまったと判断するのが自然だ。


「違うなら即答できるでしょ? どう言葉を返そうか悩んでいる時点で、肯定しているようなものだよ」


 彼女の声や表情からはどこか確信めいたものを感じる。司と同じ結論に辿り着いていたみたいだが、自分の考えが合っているかどうか、その自信には大分差があるようだ。


「ふふふ。僕と彼女が組んでいる? その証拠でもあるんですか? 大体僕は初手に彼女の手札を実質公開したじゃないですか。あなたの言う通り仮に僕たちが仲間だとしたらそんな事をするメリットなんてないですよ」


「何だそんな事?」


 気分はすっかり探偵役のつもりなのか、テトラは司に自分の所持残高を自慢した時と同じような得意気な表情になる。


「えっと、プレイヤーDの手札がスーテッドコネクターって発言……あれ適当に言っただけでしょ? あなたには透視能力があるっていう強烈な印象を植え付ける事で、正常な判断を奪って意識を逸らそうとした。司くんのは完璧に言い当てて、プレイヤーDの手札は適当に言う……あまりにも不自然な行動だよね。それで思ったんだ。もしかしてこの二人組んでるんじゃないかって」


「おかしな事を言いますね。彼の手札は言い当てて、彼女の手札は適当に言った? 何故そんな事が言い切れるんですか? あなたには分からないでしょう? 実際にこのお二人の手札がどんなものかなんて」

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