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第46話

「 (中央の共通カードはスペードの二、クラブの八、クラブの10……数字はバラバラ、マークはクラブが二枚ある状況。もしかして私と同じでクラブのストレートフラッシュを作れそうとか?) 」


 確かにその状況であればストレートフラッシュとまではいかずとも強い役を作れる可能性は十分にあるだろう。


 目の前に開示された二枚のクラブの衝撃で一瞬そう思ってしまったテトラだったが、すぐにその可能性は無いと結論付けた。


「 (いや、違う。私の手札は七とJ。ジョーカーは抜いているみたいだし、この数字をゲーテさんが使えない以上、どんなに運が良い引きをしてもクラブのストレートフラッシュは作れないはず……) 」


 以降のターンとリバーの段階で開示されるカードが、どんなカードであってもゲーテにクラブのストレートフラッシュは作れない。テトラはその事を分かっていた。


 中央の八と10を両方、あるいは片方を使ってストレートを作るパターンは全部で七通りある。


 四~八、五~九、六~10、七~J、八~Q、九~K、10~Aの七つだ。この七通りのパターンは全て七かJ、あるいは両方を含めないと作れないようになっている。その必要不可欠なカードを二枚ともテトラが所持しているのだ。ゲーテにその役を作れるはずも無い。


 では両方とも使わない場合はどうか。各プレイヤーの手持ちは二枚で、以降新たに開示されるカードも最大二枚だ。つまり役を作るにはあと一枚足りず、結局彼は少なくともクラブでのストレートフラッシュは絶対に作れない事になる。


「 (となればスペードのストレートフラッシュか、それともストレートフラッシュより弱いけど結構強い役を狙って勝負に出たか……もしくはハッタリか……うーん……) 」


「ふふふ。悩んでいる人の顔を見るのは楽しいですね」


「性格悪いね」


 苦笑いしながら司は思わずそう返してしまった。だがゲーテは特に不快感を感じた様子はなく、むしろ更に楽しそうにクスクスと笑う。


「よく言われます」


 二人のそんなやり取りが耳に入らないレベルで集中していたテトラは、ここである事を思い出した。


「 (あ……! そう言えばゲーテさんが口にしてた司くんの手札って、もし本当に言い当てている場合……確か……そう! スペードのKとハートの七。という事は、Kが封じられているゲーテさんが作れそうなスペードのストレートフラッシュの作り方はA~五、二~六の二通りだけ。どちらにせよ作ろうとしたらターンとリバーで二連続都合が良いカードを引かなきゃならないし……そんな状況下で、わざわざ今『100』賭けてまでその二通りしかない役を狙いにいくかな?) 」


 テトラが今一番引っ掛かりを覚えている部分がまさにそこであった。彼女のようにあと一枚揃えば強い役ができるならまだ分かるが、二枚はさすがに夢を追い過ぎである。強気にベットするにしても何の勝算もなくいきなり『100』は狂っているとしか思えない。


 そう考えたテトラはゲーテのその選択がハッタリであるケースを一旦除外した場合、ストレートフラッシュより下の役を狙っている可能性が非常に高いと踏んだ。


「 (ゲーテさんには本当に強い役を作れる可能性があって、その選択をしたとしたら……スペードのストレートフラッシュはあと二枚必要だし確率面から考えても多分無いと考えて良い。となればストレートフラッシュより弱い役を狙っているのかも。役の強さも合わせると考えられるのは……) 」


 司から教えてもらった役の強さを思い出し、ゲーテが狙っているであろう役の候補をいくつか考えた。


「 (可能性があるのは、フォーカード、フルハウス、フラッシュ、ストレート、スリーカード辺り。この中で一番可能性が高いのがスリーカード。スリーカードだったら既に役ができている可能性だってあるし、勝負にも来る) 」

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