第38話
「止めて! 司くんの意地悪! しばらくポーカーとかやってなかったからちょっと忘れてるだけだし!」
「はいはい。今から教えるから安心して。テトラお姉ちゃん」
「う、うおお……」
悶え苦しむテトラを堪能したところで、司は彼女にポーカーの役の強さを教える。ポーカーの台を見た限り、特にオリジナルルールを設けている様子は無い。一般的な役の強さ順で勝負が行われているようだ。
「強い順に言うと、ロイヤルストレートフラッシュ、ストレートフラッシュ、フォーカード、フルハウス、フラッシュ、ストレート、スリーカード、ツーペア、ワンペア、ハイカードだね。それぞれがどんな役かも必要?」
もうテトラをからかう気は無いのか司は真面目な表情で彼女に訊く。テトラもそれを感じ取っているのか、真剣な表情で答えた。
「えっと、そこは大丈夫だと思うけど、せっかくだし一応お願い」
「了解。まずハイカード。これは役無しの事。で、次にワンペア。これはQQ369のように同じ数字が二枚揃った役。ツーペアは同じ数字が二枚の組が二つある状況だね。スリーカードは同じ数字が三枚揃った役で、ストレートは34567のように五つの数字が連続する時だよ。その上がフラッシュ。五枚のカード全部のマークが同じだったらこの役。フルハウスはスリーカードとワンペアの組み合わせ……例えば777JJとか。フォーカードは同じ数字が四枚来た時の役。ストレートフラッシュっていうのはその名の通り、ストレートとフラッシュの融合の事。数字が23456のように連続かつ五枚全部ダイヤ……みたいな感じで揃えた役だよ。そしてロイヤルストレートフラッシュは数字が10~Aの時限定のストレートフラッシュの事だね」
役の強さ順と内容をしっかりと頭に叩き込みながら聞いていたテトラは、途中で何回か頷きを入れる。
「どう? 大丈夫そう? 厳しそうだったら変えるけど……」
「大丈夫大丈夫! これくらい覚えられるって! あと私、結構ポーカーフェイス得意だし豪運も持ち合わせてるから任せなさい!」
そう言ってテトラは胸を張り、得意気な顔を見せる。彼女のその謎の自信には既視感を覚えるが、司は気付かないふりをした。
「それは頼もしいね。それじゃあ僕たちの初戦はポーカーということで」
こうして二人はそれぞれポーカーの台へと向かった。ポーカーのテーブルは全てゲームマスターとしてのディーラー一人+プレイヤー四人の計五人で行われているみたいだ。
座る席は自由らしくディーラーを起点として時計回りに各プレイヤーは『プレイヤーA~D』として便宜上呼ばれる。
司が向かったテーブルには既に三人が座っており、彼は空いていたプレイヤーBの席へと座った。
司は今日初めてのポーカーという事もあり、軽い流れの説明を受けた。普通のカジノでのポーカーと流れが異なる点はあったが、共通している点もある。流れは大体以降のような感じだ。
①ディーラーがプレイヤー四人にカードを二枚ずつ配る。
②プレイヤーが自分のカードを確認後、プレイヤーAから時計回りに賭け残高を宣言してから各席に設置されているチップ置き場にチップを置く。この時プレイヤーAは最低でも『一』は賭けなければならない。参加費のようなものであり、俗に言う『チェック (ゼロ枚賭け) 』は存在しない。この賭けは参加者全員が同額になるまで何周もする。プレイヤーDまでまわった後、参加者間で賭け残高の差異が生まれていたら再びプレイヤーAから賭け宣言がスタートする流れだ。二周目以降はフォールド (降りる事) も可能である。
③フォールドしていないプレイヤーが二人以上かつ全員の賭け残高が同じになった時、ディーラーはテーブル中央にカードを三枚表向きで置く。この三枚と①で配られたカード二枚から現時点で何の役を作れるか各プレイヤーは確認し、同様に賭けが再び始まる。この時の賭け残高は累計賭け残高に上乗せされる流れだ。
④フォールドしていないプレイヤーが二人以上かつ全員の賭け残高が同じになった時、ディーラーはテーブル中央に更に一枚カードを表向きに置く。残ったプレイヤーは新たに開示されたカード一枚も選択肢に加えて同様に役を考察し、賭けを行う。
⑤フォールドしていないプレイヤーが二人以上かつ全員の賭け残高が同じになった時、ディーラーは最後の一枚をテーブル中央に開示する。そして残ったプレイヤーは手持ち二枚と中央に開示されている五枚の計七枚で役を作るのだ。その後最後の賭けを行う。
⑥フォールドしていないプレイヤーが二人以上かつ全員の賭け残高が同じになった時、残ったプレイヤーが手札を公開し、役の強さ確認&比較を行う。ショーダウンと呼ばれるこの段階を経て、最も役の強いプレイヤーが勝利となる。なお最も強い役が同じだった場合はその勝負は引き分けとなり、積まれたチップ残高の総数を分配する取り決めだ。




