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第34話

「きゃっ! え? なになに?」


 何が何だか分からないといった様子のテトラは、司に手を引かれて素直に歩く。やがてある程度ゲーテから離れた事を確認した司は立ち止まってテトラの手を離した。


「ど、どうしたの? 司くん」


「ねぇテトラ。あのゲーテとかいう人、簡単に信じて良いの? 君が言ってたこの試験における内通者だったらどうする?」


「それは確かにそうだけど、このカジノについて私たち何も知らないでしょ? えっと、これだけ多くの参加者が全員夢中になっている所を見ると、ただの息抜きや遊戯目的で遊んでいるとは思えないし、ここがどんな場所か把握しておく必要はあると思うの」


「でもだからってゲーテさんじゃなくても良いんじゃない? 彼からしたら僕たちはライバルな訳でしょ? 情報を教えるメリットが彼にあるとは思えない。でも内通者だとしたらメリットはある。今あの人とこれ以上関わりを持つのは危険だよ。協力関係を築きたくて近付いてきた可能性もあるけれど……正直ちょっと怪しいし……いや、見た目や雰囲気で判断しちゃダメなのは分かってるんだけどさ」


 頭では分かっていても感情がそれを許してくれなかった。第一印象の効果は絶大である事が証明された瞬間である。


「うーん……私は別に良いんだけど、司くんがそこまで言うならそうしよっか! 別にゲーテさんに拘る理由は私には無いしね。えっと、じゃあどうする? その辺のディーラーさんに訊いてみる? ディーラーさんだったら主催側の人間だし、警戒しなくても良いよね」


「そうしよう。ごめん。わがまま言っちゃって」


 せっかく楽に情報が手に入りそうな場面だったが故に司は申し訳無さを感じていた。


 司の謝罪に対してテトラは慌てたように言葉を返した。


「そんな! 謝らなくても良いよ! ちゃんと警戒してるって事なんだろうし、寧ろ私の方が軽率だったかも。ほらほら! 方向性は決まった訳だし、早く行こうよ」


 これ以上司に自分の下した結論に対して申し訳無さを感じて欲しくないと思ったテトラは、我先にといった様子で歩き出した。


「あ、うん!」


 司はそんなテトラの気持ちに気付いたのか、感謝しつつ彼女を追った。


 二人はまずゲーテの元へと向かい、彼から説明を受けるのはお断りしたい旨を伝える。内通者に関する言及は避け、あくまでも簡単に信じる事はできないと濁した感じで理由を話した。


「――という事で僕たちはゲーテさんではなくディーラーさんに色々訊きたいと思います」


 ゲーテは二人の話を聞いた後に少し唸ってから数回頷き、残念そうに口を開いた。


「そうですか。これを機会にお友達になれたら良かったのですが、仕方ありませんね。ああ、いえ、どうかお気になさらず。確かにここに居る参加者は皆敵同士。簡単に信用を得る事などできるはずもありませんね。いやはや賢明な判断だと思いますよ。それでは僕はこれにて失礼します。お互い合格できると良いですね」


 そう言うとゲーテは一礼した後に去って行った。結局最後の最後までゲーテは信用するに値する人物だったのか分からなかった司であったが、ひとまずの安心感は得られたので今は満足する事に。


「やっぱり親切心を無下にしちゃったみたいで、ちょっと心が痛むね。……さて、えっと……誰に質問しようかな」


 既に切り替えたテトラは辺りを見回し質疑応答できそうなディーラーを探した。やがて条件を満たせそうな人を見つけたのか、彼女はその人の元へと歩き始めた。


 司も彼女に付いて行き、司がテトラに追い付いたと同時に彼女はディーラーに話し掛ける。相手はゲーテと同じくらいの年齢の男性で、白のワイシャツに黒のベスト、蝶ネクタイというザ・カジノ店員といった格好をしていた。身嗜みはしっかりと整えられ、接客業をしている人間として相応しい清潔感だ。


 両手の人差し指と中指にそれぞれ指輪をしており、右手の指輪は赤褐色を、左手の指輪は黒色をしていた。


「あの、すみません。私たち、このカジノは初めてなんですけれど……」


 男性ディーラーはその言葉だけで自分が成すべき事を理解したようだ。テトラが続きを言う前に物腰が柔らかい感じで接して来た。

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