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第31話

 世界地図所持者は状況によってその権限を自由に相手に付与、もしくは剥奪を行える。


 一つは権限を付与した相手を、次の異世界転移時だけ一緒に連れて行く事を可能にするもの。界庭羅船が様々な人を各世界へ連れて行く際は、この方法が取られている。ただし一度異世界転移を行ったら、対象者からは権限が自動的に消えるのだ。


 そしてもう一つは特定の世界だけ、世界地図保持者と同じように世界の転移を可能にさせてあげるというもの。例えばアルカナ・ヘヴンと、ここ『セレーナ』という世界の転移をその『特定の世界』とする事で、権限を付与された者はこの二世界間のみ自由に転移を行えるようになる。


 どうやらエンペル・ギアが所有しているセレーナへの転移技術は、世界地図の権限の一部を関係者各位に付与しているが故に可能になっているみたいだ。


 当然この権限をもっと付与してあげればセレーナ以外への異世界転移も可能になるのだが、不必要と判断されている為に現在に至ってもセレーナへの転移しか許されていない状況となっている。


 だが今後もし必要と判断されればエンペル・ギアのトップは世界地図の更なる権限を付与し、転移可能な異世界の選択肢が増える事もあるかも知れない。


 最後に、とテトラは続ける。このように未所持者であっても一応は異世界転移を可能にさせてくれる便利な世界地図だが、自身の何倍も強い來冥力を感知した際には使用不可になってしまう欠点も併せ持っているらしい。例えるならば電波障害の來冥力バージョンのようなものだ。


 価値があり過ぎて値段を付けられないレベルのその世界地図は、世界的に見ても存在すら知らない人間の方が圧倒的に多い。


「……」


 司はテトラから世界地図に関する基本的な説明を受け、それを黙って聞いていた。


 彼はこの僅か一時間くらいでどれだけ見聞を広げただろう。


 WPUという世界規模で活躍する人間たちと出会った幸運により、普通ではまず知り得ない知識をいくつも得てしまった。


 世界地図という不可視の地図の存在を知った司は、頭の中で情報を整理した後に一番気になっている疑問を口にした。


「世界地図については理解したよ。でも今の話から、この建物を脱出する手段として転移は不正解じゃないかって考えに至る理由が分からないんだけど……」


「それなんだけどね、えっと、私がこの試験に参加する事ができたのは、エンペル・ギア総帥のおかげって言ったでしょ? その時に言われたんだ。今回の試験において世界地図を使用して外に出る事は許さないって」


 この話をすれば司の脳内では世界地図とは何かで埋め尽くされる。だからこそ彼女は先に世界地図について説明したのだ。


「なるほどね。世界地図を使っての脱出=転移による脱出だから、それは答えじゃないのかも。……あ、でも、認めていないのは()()()使()()()()()()()()であって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から、想定されている正解脱出ルートの過程で転移が必要になる可能性はまだあるね」


「お。確かにそれはあるかも。司くん鋭いね! 脱出手段では無いけれど、建物内の特定の場所に転移するっていうのは有り得そうだね! よし、それじゃあお話はここまで! その可能性も考慮しつつ調査再開しようよ!」


 そう言ったテトラは立ち上がり、会場内の調査を続行した。


 確かにここまで来ると隠し通路が実はありましたという展開も無くはないだろう。そう考えると先ほどまでの彼女の行動は特段間違っていないと言える。


「扉からの脱出も転移による脱出も可能性としては低いってなると、この会場のテーブルの下に外へ通じる隠しルートがあっても驚きはないか。僕も探すとしようかな」


 脱出方法について推理しようにも現状では手掛かりが無さ過ぎる。今は頭よりも足で調査を進めた方が無難だ。


 そう思った司はテトラ同様にレストラン内の様々な場所を見たり触ったりして、何か脱出に繋がる手掛かりはないかと探し始めたのだった。




 レストラン内の調査を各々が始めて約一時間が経過した後、二人はお互いの成果を発表し合う為に丸テーブル周りの椅子に座って話し合っていた。


「……えっと、結論から言うと私だけじゃなくて司くんもそれらしい手掛かりは一つも見つけられなかったって事だね」


「うん。見るだけじゃなくて色々触れたりもして調査してみたんだけど、こういう時にありがちな暗号が記された紙切れとか、意味深な模様や目印とか、一箇所だけ不自然に色が違う壁や床とか、怪しい部屋へ通じる扉とか、そういうものは一つも無かったよ」


 一言で言うと普通の豪華レストラン。それが二人の調査の結果辿り着いたこの場所に対する結論だった。

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