第28話
「そんな事無いって。ずっと神経張り巡らせてると最後まで持たないだろうし、それくらいの気概で臨むのが良いと思うよ」
「え? そうかな?」
「そうだよ。ま、取り敢えず行こう。まずは二階だ」
「あ……うん!」
テトラは笑顔で司にそう返し、二人は軽い雑談をしながら二階へと向かった。
二階に到着した二人は改めてフロア全体を見回す。
一見豪華な船の中にあるレストランにしか見えないが、脱出へ通じるヒントが散りばめられている可能性だってある。
「……調査するぞと意気込んではみたものの、一体何からどう手を付ければ良いのか分からないね、テトラ」
そう言って司は先ほどまでその場所に居たであろうとテトラに視線を向けるも、そこに彼女の姿は無かった。
「……? テトラ?」
司は辺りをキョロキョロとするが視界に入るのは他参加者だけであり、どこを見てもテトラは居ない。
「さっきまで一緒に居た、よね? ……どこに行ったんだ、テトラ」
「呼んだ?」
「ん? ……うわぁ!」
下の方からテトラの声が聞こえてきたと思ったら、司の一番近くにあった丸テーブルのテーブルクロスを搔き分けながら突然彼女が現れたのだ。全く予想していなかった場所からの急な出現は司を驚かせるには十分だった。
「び、びっくりした。な、何でそんな所に……」
「え? だってこういう所に何か手掛かりがあるかも知れないでしょ?」
「 (いやまぁそうかも知れないけど……) 」
テトラの行動に司は苦笑いする。確かに彼女の言う事には一理あるが、このレストランの中にあるテーブルクロスの中身を全て調査するつもりなのだろうか。果たしてその行動に意味があるのかと問われたら怪しいところである。
「で、何か手掛かりは見つかったの?」
「それが何も……」
テトラは匍匐前進の要領でテーブルの下から抜け出し、立ち上がりながら言った。
「そっか。と言うか僕思ったんだけどさ……」
「よし、それじゃあ次はあっちのテーブルの下見てみるね! えっと、司くんはあっちをお願いします! 二人で手分けしてやろうよ!」
「……」
司が全てを言い終わる前にテトラは次のテーブルの下に潜り込む為、四つん這いになった。そして上半身だけをテーブルクロスの中に突っ込んだ後、先ほど司が何かを言いかけた事を思い出したのか、その状態のまま彼に聞こえるよう少し大きめの声で話し掛けた。
「あ、司くん! まだそこに居るよね? えっと、さっき何か言いかけなかった?」
「え? ああ……」
司はテトラの質問に返答しようと無意識にテトラが居るであろう位置に目線を落とす。
「……っ」
今のテトラは上半身こそテーブルクロスの中にすっぽり収まっているが、下半身は外に出ている状態である。更にスカート+四つん這いの体勢で司の方に尻を向けており、反射的に司は目を逸らしてしまった。
「……? 司くん? もしかして聞こえてないかな? それとももう行っちゃった?」
「 (僕の耳元で囁くように情報伝えてきたり、急に手握ったり……何と言うかこの子、無防備すぎる……。今も正直目のやり場に困るって本当に) 」




