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第23話

 司は彼女の事を知る為にも、ここですぐに肯定も否定もせずにもう少しだけ会話を続けてみようと思った。


「一旦君がさっき言った存在が本当に居る前提で話を進めるとして、テトラがその可能性だってある訳でしょ? それに……仮にテトラが普通の受験者だとしたら、君視点では僕がそうかも知れない。お互い信じ合う事はもちろん、手を組むなんて簡単にできる事じゃないでしょ」


 なるべく内通者というワードは出さないようにして司は返答した。


 誰がどう聞いても正論を返したと思っていた司だったが、どうやらテトラからすればその返しは予想通りだったようだ。


 特に間を空ける事なく次の言葉を放つ。正確には不敵な笑みの後だが。


「ふっふっふ。私は違うって証明できるよ」


「違う事を証明するのって難しいと思うんだけど」


 タレ目と困り眉なせいで自信無さげな感じに見えてしまうテトラの顔が、この時だけは自信に満ち溢れていた。


「そう言っていられるのも今の内だよ。えっと、刮目せよ!」


「リアルでその表現使う人に初めて出会ったよ。……。……!?」


 テトラが『自分は内通者では無い証拠』として司に見せたものは、彼の想像を遥かに超える衝撃的なものだった。


 見間違えようが無い。彼女が手にしているもの、そして司に見せているものは、シュレフォルンに見せられたものと同じ――WPUの証明手帳であった。


 自信の無さを印象付ける彼女の表情が誇らしげな表情へと変える力は、確かにありそうと言える。


「ほら、見て。だぶりゅーぴ―ゆーだよ、だぶりゅーぴーゆー! えっと、だからね? えーっと、私凄いんだよ!」


 取り敢えずWPUの加入条件に語彙力の高さは含まれていない事が判明したところで、司は続けて質問をした。


 どうやらWPUの人との接触は本日二度目という事もあり、多少なりと耐性が付いたという事だろう。シュレフォルンの時と比べると放心状態継続時間は短めであった。


「な、何でWPUの人間が異世界の試験に参加してるの?」


「えっと、基本的に私たちは任務を効率良くこなす必要があるからね。私が試験に参加する事で二つの任務を同時に遂行できるんだよ」


「二つ? (シュレたちがこの世界に来た目的は界庭羅船の動向調査だったけど、それとは別目的があるのかな? 同じだったらこんな所で油売ってる訳無いし……) 」


 シュレフォルンは『テトラ』という少女については一切口にせず、実は四人でやって来たという話もしていない。


 この事から恐らくテトラはシュレフォルンたちとは関係無い別任務で潜入しているのだろうと司は考えたが、その予想は彼女の次の言葉ですぐに否定された。


「シュレくんにはもう会った? よね?」


「うん。シュレだけじゃなくて、氷雨さんとシアさんにも会ったけど……」


 シュレフォルンの名前が出たという事は彼らと同じ目的で来ているのだろうか。もしも別隊のメンバーかつ違う目的で行動しているのであれば、ここでわざわざシュレフォルンの事を訊く必要など無い。


「なら話は早いかな。私はその三人と同じメンバーなの。仁さん……あなたのお父さんがリーダーをしている小隊のね」


「……! そう言えば氷雨さんが言ってたよ。普段はここに居る三人と、あと一人女性の人、そして僕の父さんの合計五人でチームを組んで、一緒に行動する時が多いって」


「その『あと一人の女性』が私だよ」

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