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第107話

 テトラからすれば言われるまでもない事であった。


 大切な友達であり、大切な仲間であり、そして自分たちのチームのリーダーを務める仁の息子でもある。文字通り命懸けで司の事を心身共にサポートする必要があるだろう。


「もちろんだよ。私のこれまで培ってきた全てを捧げてでも、司くんの事は守るから!」


「ああ。一番なのはゲーテが本当に最後まで手を出さない事だが、奴が何を考えているか分からない以上、最終的にレイクネスが動き出す……そんな最悪の事態を想定しながら動く必要がある」


 常に現状考え得る最悪の事態を想定しておけば、いざその時が来ても比較的落ち着いて対処できるだろう。問題なのは今回想定する最悪の事態がどう転んでもレイクネスが動くという点に終着してしまう所だ。


 界庭羅船が本格的に動いた時の被害と恐ろしさは計り知れない。そう考えると分かっていても思わず目を逸らしたくなる現実だ。


 レギュラオンの言葉に司は身震いしたが、想像だけで恐れていては先が思いやられると自身に活を入れた司は湧いた負の感情を慣れないながらも無理やり追い出そうとした。


 そしてなるべく自分の任務に関する事で脳内を埋め尽くす事によって気を紛らわす為に、早速と言うべきか今後の具体的な動きについてレギュラオンに説明を求めた。


「あの……レギュラオン総帥。それで僕は具体的に何をすれば良いんでしょうか」


「お前にやって欲しい事はただ1つ。ゲーテの姿を偶然見掛けたら意識して、しかし怪しまれない程度に奴の動向を観察する事だ。もしかしたら奴が何故すぐにでも異世界へ高飛びしないのか、その理由も判明するかも知れん」


 その回答に先ほどまで気を遣って黙っていたシュレフォルンたちが、解放されたかのように各々会話に参加し始めた。


「簡単に言うがな、レギュラオンさん。怪しまれちゃならねぇって事はつまり、探偵みたいにこっちから意識して探りを入れに行ったり尾行したりするのはダメって事だろ? 俺らの潜入にも気付くレベルの野郎だし、それは安パイだと思う。けど……」


「それだとそもそもゲーテの怪しい動きにこちら側も気付きにくいんじゃないか……そう言いたいのでしょう? シュレくん」


「その通りだ。せめてあいつが特定のタイミングにおいては決められた場所で決められた行動をすると分かりきっていれば話は別だけどよ」


「そう言えばゲーテって確か、ないつーしゃー? だったっけ? リバーシの試験内での役割は。だったらさ! 結構行動とかも読みやすかったり?」


「それはあるかも。昨日の夜は、えっと、多分同じ内通者の仲間の女の人と一緒に行動してて、カジノに参加とかしてたし。そういうのが他にも組み込まれてたら、そこから逆算していける可能性はあるよ」


 昨夜のゲーテの行動を思い出しながら何気なく言ったテトラ。そんな中レギュラオンは彼女の発言のとある部分が引っ掛かったようだ。


「内通者仲間と一緒にだと……?」


 珍しくレギュラオンは腑に落ちないといった様子でそう口にした。テトラからすれば一体どこに引っ掛かりを覚えたのか皆目見当が付かず、自分が何か変な発言をしたのだろうかと少し動揺する。


「え? うん。まぁ勝負後はゲーテと一緒には行動してなかったから、多分勝負の時限定で偶然を装って共闘するって感じだと思うけど……えっと、それが何か?」


「……。いや、何でもない。気にするな」


 こういう時に本当に何でも無かった試しなど存在しないだろう。だがレギュラオンは今はとにかく話を先に進めようと考えたのか、一旦覚えた違和感を頭の隅に追いやった。


「それよりもだ。今お前らが感じている懸念点は簡単に解決する事が可能だという事を伝えておく必要があるな」


「お。つまり本当にあんのか? ゲーテみたいな内通者の決められた行動ってのが」


 話を聞いてすぐ感じてしまうような懸念をレギュラオンが把握していない訳が無い。その問題点に対する解決策は持ち合わせた上での発言だったのだろう。


 目を輝かせながら問うシュレフォルンに向かってレギュラオンはハッキリと口にした。


「当然だろう。基本的には臨機応変に行動するよう命じているが、ベースとなる動きは台本として存在している」


 まるで転生協会が行っている異世界運用のようだ。惜しむべきはこの場にその例え話をしても通じる者が1人も居ない点だろう。

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