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第102話

「良いですよ、シアさん。私が説明しますから」


「えー本当!? ありがと~! ひぃちゃん、だーいすき! 愛してる!」


「気持ち悪いので止めてください」


 二人のそんなやり取りを見ていたテトラはくすくすと笑いながらシュレフォルンに小声で話し掛けた。


「何かこういうの見てると、シアちゃんが無事で本当に良かったって思えてくるよ」


 氷雨からシアの件を聞かされた時は心中穏やかでは無かったテトラは、彼女の復活に心から喜んでいるようだ。


 テトラから話し掛けられたシュレフォルンは彼女に合わせて小声で返す。


「ああ。そういやお前、今回の俺らの潜入に関する説明をした時に泣き崩れたよな。シアの回復も併せて聞いてよ」


「当たり前だよ。シアちゃんは大切な友達だし仲間だもん。氷雨さんからシアちゃんの事を聞いた時は本当に心配だったんだから。疲れていたとは言え、ベッドに横になったらすぐに寝ちゃった自分に嫌悪感を抱くくらいには」


 そう言ってテトラはシアに視線を向ける。


 今彼女は氷雨と一緒に事情を司に説明している最中だった。ゲーテの正体やレイクネスの侵入に対して司は過剰に反応を示しており、司にとっていかに衝撃的な内容となっているかが窺える。


 何故ここに連れて来られたかに関する説明にはまだ移っていない為、テトラはもう少しだけシュレフォルンと会話できる余裕があった。だがもしもその説明に移った場合、以降の事情を知らない点は共通しているテトラも一緒に話を聞くべきだろう。


「そうか。にしても完全寝起きのタイミングで連絡しちまった点は謝らせてくれ。すまなかった」


「ううん、全然! えっと、私朝弱い方だし、寝ぼけ眼を一瞬で覚醒させてくれた事には寧ろ感謝してるかな。それに嬉しい知らせはやっぱり時間帯関係なく嬉しいしね」


「はは、なら良かったぜ」


「うん!」


 二人の会話が終わる頃、タイミング良く司の方も事情説明に一区切りついたようだ。


「……」


「とまぁこんなところですかね。ここからはテトラさんにも聞いて欲しい内容になってきますので……テトラさん。司くんへの大体の説明は終わったので、そろそろこちら側に合流して頂けると」


「あ、うん! ……えっと、大丈夫? 司くん、ポカーンとしてるけど」


 クオリネとの出会いと戦い、ゲーテの正体、レイクネスの侵入、シュレフォルンたちがレギュラオンと即興チームを作ってゲーテを監視していた事、ゲーテとテトラの間に何があったのか等、これらを一気に聞かされた司は情報の整理で忙しかったのだ。


 テトラの言葉に返答をする余裕などなく、話に付いていくだけで精一杯であった。


「捲くし立てるように説明してしまいましたからね。それに内容が内容ですし、仕方無い事だと思います」


「いや~でもさ! さっすがひぃちゃん! 何て言うかこう、説明慣れしてるよね。私だったらもっとグダグダになってたかも!」


「私の本職が研究者なのをお忘れですか? 学会に比べたら簡単ですよ」


 悪い気はしなかったのか氷雨は少しだけ得意気だ。


 そんな中説明を任せていた事で黙っていたレギュラオンが口を開いた。


「急に情報が雪崩れ込んでそうなるのも分かるが、今は1分1秒が惜しいんだ。そろそろ次の話に行っても文句は無いな? 司」


 はい以外は言わせないと言わんばかりにレギュラオンは司を睨む。


「は、はい……! ど、どうぞ!」


 圧に屈した司が無理しているのは誰の目から見ても明らかである。そんな様子を傍から見ていたシュレフォルンは助け舟を出したかったが、レギュラオンに通用するだけの舟を作れる自信が無かったのか苦笑するだけで終わってしまった。

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