第九話 エピソードゼロ
夜の都内某所。高層ビルが幾つも立ち並んでいる。その内のビルの一つ。四十五階の廊下を瑞波奈緒恵が歩いていた。突き当たりのドアの前まで来ると、ノックをして中に入る。中は広い部屋になっていた。部屋の奥は一面ガラス張りで、都内の夜景が一望できる。部屋の真ん中に大きな黒い革製のソファが置いてあり、窓際にデスクがあった。そのデスクの椅子に座って、外の夜景を見ている女性がいた。派手な柄の和服の着物を着ていて、髪は長い黒髪だ。髪飾りを付けていて、額に花鈿という化粧を付けている。四十代ぐらいだろうか。背の高い痩せ型の綺麗な女性だ。
「‥瑞波か?‥‥ご苦労だったな‥」
女性が言いながら椅子を回転させ、瑞波の方を向く。瑞波はデスクの前まで歩いてくると
「‥いえ。大山さんとサンプルを無事回収しました」
と言いデスクの前に立った。
「‥そうか‥‥それで?相手は保安局か?」
女性は椅子に座ったまま聞く。
「いえ。閻魔省の調査局のようです‥」
瑞波が伝える。
「‥閻魔省‥‥淤加美神か‥」
女性は呟くと、また椅子を回転させて外を見る。すると瑞波が
「‥魔月妃様、淤加美神側の神主に建御雷神がいました。それに風神と八岐大蛇まで。侮ると我らの計画の脅威となるやもしれません‥‥」
と言う。魔月妃と呼ばれた女性が、デスクの上にあった書類を手に取り
「‥赤口と夏美からは時量師神と天之手力男の存在も確認したとある‥。この短期間でさらに強力になっている、と言う事か?」
と静かに言う。瑞波が
「‥おそらく」
と答えると、魔月妃は夜景を見ながら考え込む。そして
「‥‥この景色‥‥堕の極みだな‥‥人間は灯りを求め、食と水を求め、暖や涼を求め、いつしか楽を求めていった‥。そして楽の極みが情報だ。ありとあらゆる情報を求め貪る。何もしないで指先一つで、ありとあらゆる情報が手に入る。多くの者が情報に取り憑かれている。世界中の人間と繋がることで、心まで見えない繋がりに支配されてしまっている。人間の歴史の大部分は、灯りもなく食と水、暖や涼も死ぬ気で手に入れないといけなかった。情報などないに等しいものだったし、繋がれる人など極限られた人間だった‥。大事にしないといけないのは、遠く離れた知らない誰かではなく、身近な顔見知りなのにな‥‥身近な顔見知りを煩わしく思い、遠く離れた知らない誰かを楽だと言う理由で、大事にするようになってしまった‥」
と、淡々と言う。そして椅子から立ち上がると
「‥淤加美側の戦力調査が必要だな‥‥少しつついてみるか‥。酒木荊羅をいかせる。瑞波、サポートしてやってくれ‥」
と言った。
夜の陰陽神社。居住家屋の居間では、淤加美とタツと南雲と奈美ちゃんが座っている。その向かいには将吾と菅野、そして隅っこに斎藤が座っていた。斎藤の前にはアキ君が座っていて、珍しく厳しい顔つきをしている。黄泉国の保安局が撤収した後、淤加美達は蛯原妃瑠子こと、ひーちゃんを自宅まで送って行ったのだ。ひーちゃんのお母さんには、落とし物を届けてくれて遅くなったと、適当な説明をしておいた。ひーちゃんのお母さんが予想よりも驚いていたのが印象的だった。たまたまだが、本物の警官の斎藤がいてくれたおかげで信憑性が高くなったのだが、その斎藤が淤加美達が陰陽神社と関わりがある事を知ると、少し動揺したように見えた。そして詳しい話しが聞きたいと言う将吾と菅野に押され、全員で陰陽神社に戻ってきたのだ。だが、居住区の玄関でアキ君と斎藤が顔を合わすと、アキ君の態度があからさまにおかしくなった。どうやら二人は過去に顔見知りのようだ。
「何か用ですか?」
低い声で冷たく言い放つアキ君は、タツや南雲や奈美ちゃんは勿論、淤加美ですら見た事がなかった。そしてとりあえずその場を宥め、居間に移動してきたのだ。
「何しにきたんです?」
アキ君が再度、斎藤に聞く。明らかに不機嫌そうだ。
「‥近くに来たからな。‥様子を見に‥」
斎藤が言うとすかさず
「もう僕の事はほっといて下さいと言ったはずです」
とアキ君が低い声で言う。二人の間に何があったのだろうか‥。すると玄関で物音がした。すぐにドタドタと廊下を歩く音が聞こえ、襖が勢いよく開くと
「ねぇ!ちょっと聞いてよ。さっきさぁ‥‥‥!」
と、天音が言いながら入ってくるが、見知らぬ顔を見ると慌てて口ごもる。タツがすぐに
「‥ちょっと今、色々と渋滞してて‥‥一つずつ消化していくんで‥‥とりあえず今はアキ君のターンって事で‥」
とその場の全員に言う。遅れてクッキーが天音の後ろから顔を出すと
「‥おいおい‥‥あの女、ポリ公だぞ?」
と斎藤を見て言う。斎藤がその声を聞き、クッキーを見て
「‥お前‥‥確か水神會の?」
と言いながら立ち上がる。するとタツが二人の間に入り
「あぁ!また渋滞が一つ増えたぁ‥。とにかく今はアキ君の件から片付けていきましょう。皆さん、座って下さい」
タツの悲痛な訴えに三人は已む無くその場に座った。すると奈美ちゃんが口を開く。
「‥アキ君、さっき言ってた事と関係あるの?‥‥その‥妹さんの事と‥‥」
奈美ちゃんらしく気を遣いながら聞く。淤加美の計らいで、陰陽神社内では霊体の姿が見えるようにしていた。なので斎藤や菅野にも奈美ちゃんが見え、声も聞こえるのだ。するとアキ君が淡々と話し始めた。
アキ君は陰陽神社の居住家屋で家族四人で暮らしていた。陰陽神社の宮司をしていた父親と、巫女としてお手伝いをしている母親と、四歳離れた妹がいた。その頃の陰陽神社は参拝者もそれなりに訪れ、いまよりも活気があった。夏になれば納涼祭が行われ境内に屋台が何個も出て沢山の人で賑わったり、正月は初詣の参拝客で混雑したのだ。だが十年前の事件で全てが変わってしまった。十年前、アキ君は都内の大学に通う大学生だった。四歳離れた妹は晴香といい、当時は高校三年生だった。生まれた時から体が弱く、入退院を繰り返していた。だが、なんとか高校に入学する事が出来て通い始めたが、三年生になると体を壊して再度入院する事になってしまった。ようやく退院する事が出来て、自宅療養していた時の事だった。晴香は社務所の裏にある古い蔵の中にいた。静かで涼しくこの場所が好きだった。しばらくすると、何か物音がするのに気づいた。微かにチリン、チリンと鈴の音のようだ。蔵の奥から聞こえる。晴香は不思議に思い、沢山積まれている古い箱をどかし始めた。古い祭事の道具などが入っている箱だ。どかし始めてしばらくすると、奥から小さい木の小箱が出てきた。二十センチ四方の正方形で、周りに文字がビッシリ書かれたお札が沢山貼られている。音はその中から聞こえてくる。何か嫌な予感がして箱を元に戻そうとした時、箱から声が聞こえた。
『‥お前の望むものは何だ?』
太いしゃがれた声だ。周りを見渡しても誰もいない。
「‥私は望みなんてない。体の弱い私を、家族みんなで支えてくれてる‥‥これ以上ない幸せだもの‥‥」
と晴香は答えて木箱を置こうとするが
『お前が望むものを叶えてやろう。望みは何だ?』
再度、しゃがれた声がする。晴香は木箱を置く手を止めた。
『どんな望みでも叶えてやる。さぁ、言ってみろ』
と言い続ける声に晴香は
「‥‥一つだけ‥‥この弱い体を治して欲しい‥‥。一度でいいから外を自由に走り回りたい‥‥友達と思いっきり出掛けてみたい‥‥旅行したり‥‥夜更かししたり‥‥男の子と恋もしてみたい‥‥この体さえ強ければ‥‥」
と小声で呟いた。すると木箱から
『その望み、叶えてやろう。さぁ、我を解き放て!』
と声が響いたのだった。
アキ君は自転車でいつものように帰ってきた。都内の大学へは電車で二十分ぐらいだ。八千代駅までは自転車で通っている。神社に帰ってくると、いつものように父親が境内を箒で掃いていた。
「おかえり」
父親が和かに言う。アキ君はこの時、自分の進路に悩んでいた。両親から陰陽神社の話しは聞いていた。黄泉国という物があり、陰陽神社がゲートの役割をしている事。アキ君の家系が先祖代々そのゲートの守人をしている事も‥。だが正直、あまりピンときていなかったのだ。『人に話すな』と言われていたし、このご時世に『黄泉国』なんて物がある訳ないと思っていたのだ。それよりちゃんと就職した方がいいんじゃないかと考えていた。だが、両親に跡を継がないと言ったら、きっとガッカリするだろう‥。なので、就職するべきか両親の跡を継ぐべきか悩んでいたのだ。
「‥ただいま」
答えながらアキ君はチラリと父親を見る。すると、その父親の背後にある社務所の方から、晴香がフラフラと歩いて来た。なんか様子がおかしい‥‥そう感じた瞬間だった。晴香が父親の背後から首筋に噛み付いたのだ。そして噛みちぎると、血飛沫が飛び散る。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」
父親が絶叫して晴香を突き飛ばす。晴香は目が赤く光り髪を振り乱し、鋭い牙を剥き出しにして父親に襲いかかった。
「‥!‥何に取り憑かれたんだ?‥‥晴香!」
父親が叫びながら両手で何かの印を結ぶ。
「破邪滅殺!」
父親の両手から光が放たれた。それが晴香に当たると晴香が絶叫する。だが、片手でその光を払いのけてしまった。
「‥!‥なんと!‥こんな強大な力‥‥まさか‥?」
父親が愕然とした瞬間、晴香が鋭く長い爪がある右手を斜めに振り下ろす。すると父親の左肩から右脇腹までが斬り裂かれ、大量の血飛沫をあげて倒れた。アキ君はすぐ近くで、腰を抜かして座り込んでいた。一体、何が起こっているんだ?何だこれは?現実なのか?すると返り血を大量に浴びた晴香がアキ君に気づく。そしてゆっくりと近づいてきた。あれは何だ?晴香なのか?一体、どうしちゃったんだ?アキ君は恐怖のあまり、這いずりながら後ろへ下がろうとする。だが、すぐに追いつかれた。
『‥お兄ちゃん‥‥見て‥‥見てよ‥‥アタシ‥こんなに元気‥こんなに動けるようになったよ‥‥モウナンデモデキル!』
最後は化け物の声になった晴香が右手を振り上げる。アキ君は恐怖のあまり声も出なかった。だがその時、一瞬だけ元の晴香の姿に戻ったのだ。そして
「私を殺して!早く!じゃないと私‥‥!」
と叫ぶと、また目が赤い鬼のような姿に戻った。
「‥は‥‥晴香‥?」
アキ君が呟いた瞬間、今度は横から誰かが晴香に抱きついたのだ。それは母親だった。
「‥ごめんね‥ごめんなさい。私が弱い体に産んでしまったばっかりに‥‥辛かったね‥‥ごめんね‥‥殺したいなら母さんを殺しなさい‥‥晴‥」
泣いている母親が最後まで言い終わらない内に、晴香の右腕が母親の腹から背中を貫いた。血飛沫をあげて母親が絶命する。その瞬間、アキ君の中で色々な思い出が走馬灯のように流れた。家族四人での何でもない会話の事。小さい時、晴香と神社で遊んだ事。沢山喧嘩もして、沢山怒られた事。家族四人で病院で晴香の誕生日会をした事。一度だけ家族旅行した事。そしてその時『必ず家族四人でもう一度来ようね』と約束した事‥‥。その瞬間、アキ君の中で何かが音を立てて崩れた。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
アキ君は絶叫すると近くにあった大きな石を掴み、晴香の顔面を殴りつけた。叫びながら何度も何度も……。気づけば顔が潰れた晴香の遺体に馬乗りになって殴っていた。すると耳元で声が聞こえる。
『‥俺は、もうとっくにその体から離れてるぜ‥‥』
涙を流し憔悴しきったアキ君が、ゆっくりと声のした方を見る。そこには鬼そのものが立っていた。二本の角が頭に生え、目と耳が吊り上がり、牙を剥き出している。筋肉質で大柄な体格だ。
「‥‥僕は‥‥貴様を許さない‥‥」
アキ君が声にならない声で呟くと
『あぁ?お前ごときに何が出来る?俺を解放してくれたお礼に、あの女の望みを叶えてあげたんだがなぁ?お気に召さなかったか?まぁいい。これで自由だ‥』
鬼はそう言うと姿を消したのだった。
それから程なくして警察がくると、アキ君は家族を殺害した容疑で逮捕された。取り調べを受けても、アキ君は何も喋らなかった。どうせ誰も信じないと思ったのだ。そして、その時の担当刑事の一人が斎藤一美だったのだ。真面目で熱心で女性なのに男気がある斎藤に、アキ君は少しづつ心を開いていった。この人なら自分を信じてくれるかもしれない、と思ったのだ。アキ君は斎藤に全てを話した。あの日に起こった出来事全てを‥。だが、斎藤は
「‥確かに妹さんの体から、ご両親の血痕や肉片が採取されている。妹さんがご両親を殺害したのは間違いないと思う‥。だが、黄泉国やら鬼やらの話しは裏の取りようがない‥」
と言った。アキ君にしてみたら、晴香を頭がおかしくなった殺人鬼にだけはしたくなかった。両親を手にかけたのは、あの鬼のせいだ。妹が悪く言われるぐらいなら、自分が罪を被るつもりだったのだ。だがそんなアキ君の思いとは裏腹に、晴香が思い詰めた上で両親を殺害し、それを止めようとしたアキ君の正当防衛が考慮される事となった。だが、妹を殺害した罪は問われ、アキ君は懲役五年と執行猶予三年の実刑判決を受けたのだった。裁判が終わったアキ君を、斎藤が待っていた。アキ君はチラリと斎藤を見ると
「‥あなたに話しても無駄でした。警察なんか、あてにならない。もう僕の事はほっといてください‥」
とすれ違いざまに呟いた。斎藤は軽い溜息をつくとアキ君とは逆方向へ歩き出したのだった。
アキ君が陰陽神社に戻ってくると、『立ち入り禁止』の大きな看板が置いたままだった。警察が置いたのだろうか‥?しばらくぶりに帰ってきた陰陽神社は廃墟のようだった。殺人事件の噂はあっという間に広がり、誰も近寄らなくなってしまったのだ。アキ君は看板を退かすと、伸び放題の境内の草むしりを始めた。その後、境内を箒で掃除して、居住区も掃除機をかけて床を拭き掃除をした。夜になるとコンビニ弁当を一人で食べた。シーンと静まり返った居間。あんなに賑やかだったのが嘘のようだ。
「‥‥みんな、いなくなっちゃった‥‥」
そう呟くアキ君の頬を一筋の涙が伝った。
「‥どんなに望んでも、どんなに願っても、誰も何もしてくれない。神様にどんなにお願いしても、何も叶えてくれないんだよな‥」
アキ君は窓際から月を見上げながら呟いた。一人ぼっち‥‥暗黒のような孤独感と、不安と寂しさに包まれる。誰に何を願っても他力本願では何も変わらない。自分で動かなければ。この世の全ては、自分発信でないと『変化』など起きないのだ。次の日、アキ君は社務所の掃除を始めた。そして要らない物を箱に詰めて、裏にある蔵に行く。動いていた方が色々と考えなくていい。考える事は良い事だ。だが、考え過ぎは良くない。その境目が難しいのだ。蔵の中に入ると、床に小さい木箱が落ちているのが見えた。蓋が開いた状態で転がっている。アキ君が木箱を拾い上げると、目線の先に白い箱が見えた。埃を被っているが綺麗な白い箱だ。アキ君が引き寄せられるように白い箱を開ける。すると、中には古いおみくじがしまってあった。木で出来ていて、かなりの年代物だ。すると突然、背後から
「‥こんな所にあったんだね」
と声がする。アキ君が飛び上がるぐらいビックリして振り向くと、蔵の入り口に黒い和服姿の女性が立っていた。
「‥ビックリしたぁ‥‥な、何ですか?」
アキ君が尋ねると
「それは『黄泉くじ』。それを引くと黄泉国から神様が守神として付いてくれる。悪用されても何だし、アタシが回収するわ‥」
女性がズカズカと蔵に入ってくる。
「‥ちょ、ちょっと‥‥何ですか?あなたは?」
アキ君が驚いて女性を制止すると、女性が
「‥アタシは淤加美。黄泉国閻魔省調査局。お父さんから聞いてないの?」
と逆に驚いた顔をする。そして床に置いてある、小さな木箱を見つけ
「‥!‥これ、中身どうしたの?誰が開けたの?」
と血相を変えて聞いてくる。
「‥わからないです‥‥床に落ちていたんで‥‥でもひょっとすると、開けたのは妹かも‥‥。ここが好きでよく来ていたから‥‥」
とアキ君が言い、これまでの経緯を説明した。すると淤加美が
「‥‥そうか。なら、アイツの封印が解かれて野放しになったって事だね‥‥」
と呟く。
「‥‥アイツって?」
アキ君がすかさず尋ねる。
「‥酒呑童子。悪名高い鬼の一人だよ‥‥」
淤加美が答えると、アキ君が
「‥鬼‥‥それって普通の人でも倒せたり出来ます?」
と聞く。
「‥う〜ん。普通の人では難しいかなぁ‥‥」
と淤加美が答えると、しばらく沈黙が流れた。すると突然、アキ君が箱から黄泉くじを出そうとする。慌てて淤加美が
「ちょっと、ちょっと!何してんの?」
と止めに入る。アキ君は
「離してください!僕はアイツを‥‥酒呑童子を絶対に許さない!アイツを倒せるなら何にでもなってやる!何を言われてもいい、何をされてもいい!僕がどうなろうが構わない!死んだっていい!僕は‥‥僕は‥‥アイツに全てを奪われた!‥‥‥僕は‥‥アイツを倒して全てを償わせる‥」
と叫んだ。それを見た淤加美が
「‥あんた‥‥」
と言って立ち尽くす。目を見開き鬼気迫るその姿は、まさに鬼のようだったのだ。その隙にアキ君がガシャガシャと黄泉くじを逆さにして振った。
「‥六番‥‥」
アキ君が出てきた木の棒に書かれた数字を読む。するとアキ君の体が白い光に包まれた。
「‥意富加牟豆美命‥退魔や破邪の力を持つ神様‥‥奇しくもアンタが望んでた力だよ‥」
淤加美がアキ君を見ながら呟いたのだった。
<人物図鑑>
名前:小雪 冬美 冷奈(こゆき ふゆみ れいな)
別名:なし
年齢:不詳 見た目は全員二十代
守神:なし
能力:小雪 吹雪を起こす
冬美 大きな氷柱を飛ばせる
冷奈 強力な冷気を吐き出す
備考:三人共、霊体 普段は姿が見えない
現世では雪女と呼ばれている
黄泉国閻魔省調査員 淤加美の部下