第七話 遭遇
タツは陰陽神社の居住家屋で、ざる蕎麦を食べていた。アキ君と南雲双葉も、一緒に蕎麦を啜っている。クッキーは地方に行ったまま帰ってきてないようで、淤加美と奈美ちゃんはお供物のリンゴを食べている。あの千本町の事件から、二日が経っていた。天音は有休が終わり、病院の仕事に戻っていた。伊坂と同じ病院、同じ科で気まずくないのか?と聞くと、アイツがまた変な気を起こさないか監視するのに丁度いいそうだ。まだ完全に吹っ切れた訳ではないのに、気持ちを強く持とうとしているのだろう。今日も仕事のようだが、仕事終わりに陰陽神社に顔を出すようだ。タツと南雲双葉は事件の事を整理すべく、陰陽神社に集まっていた。するとアキ君がとりあえず腹ごなしに、と蕎麦を振る舞ってくれたのだ。南雲はあの後、仕事をきっぱり辞められたと言う。
「あの電話でのタツ君の一言が効いたみたいです。昨日、退職届を出しに行ったんですが、何も言われませんでした」
南雲が安心した表情をみせる。
「‥南雲さんまでタツって呼ぶんだ‥‥。まぁでも、それなら良かったよ‥」
タツが諦めたような顔をする。みんなが蕎麦を啜っている部屋にはテレビが付いていて、昼のワイドショーで二日前の事件を大々的に放送していた。どのテレビ局でも同じ内容だ。八人もの人間が犠牲になったのだ。当然、大騒ぎになっている。南雲が昨日、退職届を出しに行った時も大変だったらしい。
「あちこちに警察がいて、マスコミも大勢いました。会社に入ろうとしたら、カメラ向けられそうになるし‥」
南雲がテレビを見ながら言う。淤加美が蟷螂本体の松田さんの魂を確認しに閻魔省に戻ったが、松田さんの魂は確認出来なかったらしい。どうやら松田さんの魂は、『滅却』となってしまったのではないか?と言う事だ。滅却とは、通常亡くなった人の魂は黄泉国に渡り、次の転生までそこで暮らすのだそうだ。だが、滅却は完全に無となり消えてなくなる事。つまり黄泉国で暮らす事もなく、そして転生する事もなく、完全に消えて無くなってしまう事なのだそうだ。
「‥私のせいかな?」
南雲が俯きながら言う。松田さんの魂が消えて無くなった事に責任を感じているようだ。だが、南雲の雷神による攻撃が原因ではないらしい。松田さんを取り囲んでいた黒い煙。巨大な蟷螂へと姿を変えたあの黒い煙を雷神が打ち破った時に、黒い煙が浄化され松田さんの魂ごと滅却されたのだそうだ。つまり、奈美ちゃんの時のように、あの黒い煙を引き剥がさなければならないらしい。そして引き剥がせるのは、アキ君のような呪術に長けている者しか出来ないという。松田さんの時は、引き剥がせる術を使える人はいなかったし、いたとしてもあの状況では不可能だ。テレビでは、放送出来る範囲の動画の映像を繰り返し流していて、専門家やコメンテーターが推測や憶測を好き放題言っている。だが、どれも的外れだ。スマホでネットの書き込みを見てみると、中には黒い蟷螂の仕業だと言ってる人もいた。やはり、見える人には見えていたようだ。すると、アキ君がテレビを消し
「とにかく、何者かが魂を集めている。そして集めた奈美さんや松田さんの魂に強力な呪力を与えて、あんな化け物にした‥‥一体、誰がそんな事を?‥‥そして、そいつらの目的は何なのか?‥‥ですね‥」
と、言い考えこむ。すると縁側でリンゴを食べていた淤加美が
「‥強力な呪力を与えられる者なんて、そうはいない‥小雪達に黄泉国の者で考えられる者がいないか割り出してもらうよ‥。それと、火之迦具土の行方も早急に‥だね」
と言う。やはり火之迦具土がこの件に絡んでいるのだろうか‥。するとタツが
「‥‥奈美さんも松田さんも、問答無用で攻撃してきた‥‥まるで通り魔のように‥‥きっと呪力を与えた者が指示しているはず‥‥現場に標的がいた可能性もある‥‥ひょっとして僕らを狙っているのかも?‥‥」
と呟く。それを聞いたその場の全員が顔を見合わせた。
「‥でも、あの蟷螂の動きは、ただ暴れてるって感じに見えたけど‥」
と、南雲が言うと
「‥考えすぎかぁ‥」
と、タツが頭を掻いた。
「‥では、お大事になさってください。‥バイバイ」
天音は母親に挨拶すると、幼い少女に手を振った。少女は無言で手を振り返してくれる。母親は軽く一礼すると、少女と手を繋いで病院のロビーへと歩いて行った。天音は一息つくと診察室へと戻った。そして次の順番の患者のカルテを手にする。ここ谷川総合医療センターは大きい病院だ。ホテルのような病棟で、一階にはコンビニや飲食店も入っている。ロビーの前がロータリーになっていて、バス停もあるので交通の弁もいい。小児科も診察室が三つあり、担当医も複数いる。今日の天音の担当は、受付を済まして小児科に来た患者を、カルテを見ながら順番に診察室に振り分け、診察の終わった患者に明細を渡してロビーでお会計をしてもらう。この繰り返しだ。次の患者を呼びに行く時に、チラリと奥の診察室を見る。そこは伊坂先生の担当だ。流石にあれ以来、仕事の事以外で会話はしていない。目も合わせないし、完全に避けられているようだ。だが、それぐらいの方が気楽でいい。そう思うようにしていた‥。
「受付番号、102番の方。二番の診察室へどうぞ」
天音は待合室で声を張り上げた。
その待合室の外を、捜査一課の斎藤一美とフリージャーナリストの菅野真道とアシスタントの武藤将吾が歩いていた。あの後、斎藤は防犯カメラを全て見返したが、黒い着物の女性はわからなかった。だがメガネの男と髪の長い女が、映像が途切れた後、いなくなっているのは間違いなさそうだ。色々な角度の映像から見たので、ほぼ間違いないだろう。事件の犯人ではないと思うが、現場から突如消えたのは確かに気になる。どちらにせよ、手がかりが何もないのが正直な所だ。警察の上層部も、まだ事件か事故かの判断を決めかねているようだし、藁をもすがる思いでこの二人を探す事にしたのだ。それに将吾が言う、黒い着物の女性‥。島田や他の警官に聞いても皆、そんな女性なんか見えない、と言う。一体、どう言う事なんだろうか‥?とにかく現場にいた人の中で、負傷して病院に運ばれた人から事情聴取をして回っているのだ。当時、負傷者は数十名。ほとんどが転んだりした事による擦り傷などの軽傷者だった。だがその内の五人が、深い切り傷による多量の出血や、階段から転んでの骨折などで、病院に運ばれたのだ。ほとんどが近場の病院に運ばれたが、一人だけ現場よりだいぶ離れた、この谷川総合医療センターに運ばれたのだ。運ばれた四十代の女性が、かかりつけの病院だから、と搬送中に指定してきたらしい。なので、その四十代の女性に事情聴取をする為に訪れたのだ。結果は空振り。パニックで何が何だかよく覚えてないそうだ。まぁ、無理もないだろう。
「‥収穫なし‥‥か‥」
斎藤が病院のロビーに向かいながら呟く。
「‥まぁ、不可解すぎる事件だ。簡単にはいかねぇわな‥」
菅野が努めて明るく言う。ロビーから病院の外へ出ると、目の前がタクシー乗り場になっていて、タクシーが何台も並んでいた。入り口のすぐ側に路線バスのバス停もあり、バスで通院も出来るようだ。斎藤はタクシーとバスを交互に見ると、菅野と将吾に
「‥アタシ、少し寄り道して帰るわ。ここで解散でいい?」
と言った。菅野は胸ポケットからタバコの箱を取り出しながら
「‥ひょっとして‥‥あの神社か?」
と斎藤に聞く。タクシー乗り場の方へ歩き出した斎藤が、足を止めて振り向く。
「‥確か‥八千代市だったなぁ‥‥と、思ってよ‥。あの事件の現場‥‥」
菅野が斎藤に言いながら、バス停に向かって歩き出す将吾を制止させた。斎藤は黙って菅野を見つめる。
「‥なぁ。ここまで来て空振りだった訳だし、俺らも同行してもいいか?‥別に『あの事件』をふざけて書くつもりはねぇし‥。それに、このまま手ぶらで帰るのもなんだしな‥」
菅野が斎藤に言うと、斎藤は何か考えているようだ。菅野に止められた将吾が戻ってきて菅野の隣へ来ると、斎藤は軽い溜息をついた後、ついてこい、というジェスチャーをしてタクシーに乗り込んだ。
小高い丘の道を一台の黒いセダンタイプの車が走っていた。窓ガラスには黒いスモークが貼られていて、中に乗ってる人物は見えづらくなっている。街を抜けて小高い丘に差し掛かり、この先にはトンネルがある。他に走っている車はいない。車はトンネルの少し前まで来ると、路肩に停車した。すると後部座席のドアが左右ほぼ同時に開く。
「‥せ、狭い」
ガードレール側のドアは少ししか開けられず、その僅かな隙間から夏海と呼ばれていた黒いスーツの少女が降りてきた。そして反対側のドアからは、白く長い髭を生やした大柄な老人が降りてきた。髪は薄くなっているが襟足を長く伸ばしている。着物姿でまるで修行僧のような格好だ。両腕には刺青が入っていて、かなりガタイがいい。
運転席からは赤口と呼ばれていた中年男性が降りてきた。
「大山さん、何故こんな所へ?」
赤口が修行僧のような老人に言う。
「ふん。貴重なサンプルの餌やりじゃ。この辺りなら人目につかんしな。防犯カメラもない‥」
大山と呼ばれた老人が辺りを見渡しながら答える。そして両手を合わせ目を閉じると、何かを唱え始めた。すると少し離れた地面が歪み、黒い穴が空いたのだ。そしてその穴の中から、巨大な黒い百足が這いずり出てきた。頭を上げるとビルの二階ぐらいの高さがある。そして車道から脇の森へと入っていったのだ。
「‥あれがサンプル二号ってわけね。70%以上付加した高呪力体は後何体いるの?」
と夏海が大山に聞く。
「アヤツと、後もう一体おる。あれだけの数の魂があっても、高呪力に耐えられたのは僅か三体だけじゃ。その内の一体は、先日失ってしまったしな‥。この前のメガネの女は、素質があると思ったんじゃがなぁ‥」
と、大山が答えると赤口が
「高呪力に耐えられても、生前の記憶が残ってしまっては兵器としては難しいでしょう。我々が意のままに動かせなければ意味ないですからね」
と言った。すると大山が
「その点、アヤツは大丈夫じゃ。強盗殺人事件の犯人の魂を使っておる。傷害や強盗で何度も逮捕されてた常習犯じゃ。たとえ記憶を取り戻したとしても、人を殺す事に疑問も躊躇いもない。飯さえ食わせてやれば、言う事をちゃんと聞くしな」
と満足そうに言い
「‥しばらくすれば、人か車が通るじゃろう。そうすればアヤツの食事が始まる‥。お主らは、もう戻って良いぞ。アヤツは大食漢でな。満腹になるまで、しばらく掛かるかもしれないからのぅ‥」
と続けた。赤口と夏海は顔を見合わせると
「‥では、我々は戻ります。何かありましたら、ご連絡ください」
と赤口が大山に伝える。大山が頷くと、赤口と夏美は車へと戻っていった。
「じゃあ、行ってくるね」
淤加美とタツと南雲はアキ君と奈美ちゃんにそう言うと、居住家屋の玄関を出ようとする。駅の方にあるスーパーに買い出しに行く為だ。いつもはクッキーが行っていたのだが、今は出かけていないのでタツが行く事になったのだ。すると、南雲双葉も一緒に行くと言い出した。そして淤加美も道案内で付いて行く事になったのだ。タツと南雲が先に玄関を出た。淤加美も続いて出ようとするが、ふと立ち止まる。そして振り向くとアキ君に
「‥タツ君の事、何か気づいているんでしょ?」
と言う。アキ君は腕組みをすると、黙って淤加美を見つめた。隣の奈美ちゃんは怪訝そうな顔をして二人を見ている。
「‥黒い蛇がまた二匹増えた。アレはひょっとして‥?」
と、淤加美が言うと
「‥えぇ、おそらく‥」
アキ君が頷く。すると外から
「置いてきますよぉ」
と、遠くの方からタツの声が聞こえた。淤加美は何か言いかけたが
「わかったぁ。今行くぅ」
と返し、そのままタツ達の後を追いかけたのだった。淤加美がタツ達の後ろから追いつくと、二人は並んで歩いていた。淤加美はその後ろ姿を見ると、ニンマリ笑い
「‥年頃の若い男女が連れ立って買い物なんて、なんかいいねぇ‥。ほれほれ、なんか会話しないと‥」
と、タツと南雲の間に割って入り騒ぎだした。まるで親戚の叔母さんのようだ。なぜか淤加美が一番楽しそうに見える。
「‥僕も一応、地元なんだけどなぁ。道案内はいらないと思うんだけど‥」
タツがボソッと呟いたのを、淤加美は聞き逃さない。
「あれ?あれれ?双葉と二人っきりになりたかったぁ?双葉、可愛いもんねぇ」
淤加美が南雲の腕に抱きつく。南雲は苦笑いだ。
「ち、ちが‥違わない‥けど‥違う!‥あぁ!‥‥違う‥‥いや!‥‥違わない!」
タツが顔を真っ赤にして、一人でパニクっている。そんなタツを見て、淤加美が笑いながら南雲を引っ張っていった。タツも慌てて後を追いかけるのだった。
「ひーちゃん!待ってよぉ!」
ランドセルを背負った小学校低学年くらいの女の子三人が駆け出す。昼過ぎの小高い丘の登り道だ。小学校がある街中から、丘の中腹にある住宅地への帰り道だろう。少し先に同じくらいのランドセルを背負った女の子が一人で歩いていた。
「こらぁ。走らないでぇ」
その女の子三人の後方にいる大人の女性が叫んだ。この女性は、これまた小学校低学年ぐらいの男の子と一緒に歩いていた。ひーちゃんと呼ばれた先頭を歩く少女が振り向く。
「待ってってばぁ」
女の子三人が先頭を歩く女の子に追いつく。
「ごめん。今日は早く帰ってきなさい、って言われてるんだ」
ひーちゃんと呼ばれた女の子が言うと
「えぇー。そうなの?」
と三人の女の子の一人が言う。
「ウチに遊びに来るって言ってたのにー?」
三人の内のもう一人が口にすると
「ごめんね‥」
と、ひーちゃんが笑顔で答えた。肩までのサラサラな髪で、少し茶色い。小さな髪飾りを付けていて、小柄なあどけない女の子だ。
すると先程、声をかけていた大人の女性と男の子が四人に追いつく。
「走らないでって言ってるでしょぉ。車が来ると危ないからぁ」
三十代ぐらいの大人の女性が三人の女の子達に言う。そして
「ひーちゃん、久しぶりだねぇ。ケガ、大丈夫?」
とひーちゃんに言う。
「うん。全然、平気」
ひーちゃんが答えると女性が
「よかったねぇ。なんでもなくて。あんな大きな火事だったのにねぇ」
と微笑んだ。すると、ひーちゃんが突然進行方向を見る。この先にはトンネルがあるが、トンネルの方向をジッと見ている。
「‥どうしたの?」
三人の女の子の内の一人が聞くと
「何かいる‥‥」
ひーちゃんが呟く。するとトンネルの方から大山が歩いてきた。
「‥ほう。此奴の気配を感じとったか?子供にしてはやるわい‥」
大山が呟くと、大山の背後から大きな黒い百足が現れたのだ。ひーちゃんが驚きの余りに後退る。
「ふん。大人一人と子供五人か‥。まぁ腹八分で丁度良いじゃろう‥」
大山が言い終わらない内に
「きゃーーー!」
大人の女性が叫び声をあげ、子供達も女性の足元にしがみついた。巨大な百足はゆっくりと六人に近づいていく。
「‥むぅ、これは大量の瘴気‥。此奴、自分が出す瘴気で姿が丸見えになっておる。そんなに腹が減っておるのか?」
大山が巨大な百足の周囲に漂う紫色の霧を見て言う。どうやら百足から出るこの紫色の霧によって、本来姿が見えないはずの百足の姿が、普通の人にも見えるようになっているようだ。
「な、なにこれ?‥ば、化け物‥?」
大人の女性が震える声で言いながら子供達を退がらせる。だが、大きな百足はもう目の前まで近づいてきていた。女性が地面に落ちていた木の枝を拾い上げ、剣のように両手で握る。
「こ、来ないでぇ!」
女性が木の枝を左右に振り回すが百足はモノともしない。ゆっくり近づくと、女性の目の前で鋭い牙が幾つもある口を広げた。女性が絶望のあまり木の枝を落とした瞬間、ひーちゃんが木の枝を拾い上げ百足の口に突き刺した。大きな雄叫びを上げて百足が仰け反る。
「今だ!」
ひーちゃんが叫ぶと、六人は一斉に元きた方へ走り出した。だが百足は怒りの雄叫びを上げて、すぐさま追いかけて来る。その時だった。ひーちゃん達の前に一台のタクシーが止まったのだ。運転席のドアが開き、タクシーの運転手が転がり出てくる。
「うわぁぁ!きょ、巨大な虫?な、なんで?」
運転手が叫ぶと後部座席から斎藤と菅野が、そして助手席から将吾が降りてきた。
「な、なんだコイツ!」
斎藤が百足を見て叫ぶと
「早く!こっちへ!」
菅野がひーちゃん達に叫ぶ。ひーちゃん達がタクシーの後方へ走り出すが、男の子が一人、転んでしまい取り残されてしまった。その隙を百足が逃さない。男の子に向かって襲いかかった。
ガキィンッ!
激しい金属音がすると、百足の口に剣を当てて堪えている将吾がいた。
「将吾!」
菅野が叫ぶ。
「でぇあぁぁぁぁ!」
将吾が力で百足を押し返す。ビルの二階ほどある大きさの百足が後方へ弾かれた。とてもじゃないが人間技ではない。それを百足の後方で見ていた大山が
「‥あれは?‥‥軍神と名高い建御雷神‥。アヤツら神主か?」
と驚きの声をあげる。いつの間にか武藤将吾の背後には、鎧甲冑に身を包み鬼のような角が付いた兜を被った大きな武者が現れていたのだ。
そして将吾は一振りの剣を握っていた。中世で良く見る両刃の大きな剣だ。それを見た百足が大きな雄叫びを上げる。すると地面から、大人の人間と同じぐらいの大きさの百足が五匹、現れたのだ。まるで子供の百足のようだ。そして五匹の百足が奇声を上げながら、一斉に将吾に襲いかかってきたのだ。だが
「‥布都御魂」
将吾が剣を構えて呟くと剣が輝きを増した。そして気合い一閃。五匹の小型の百足は一瞬でバラバラに切り裂かれたのだった。
<人物図鑑>
名前:斎藤一美
別名:斎藤 斎藤さん
年齢:三十四歳
守神:不明
能力:不明
備考:警視庁捜査一課三係 捜査主任 階級は警部
菅野とは昔からの顔見知り