第十五話 伊邪那美
双葉は線路を走っていた。左右どちらを見ても、畑と田んぼ。民家は少ないエリアだ。歩行者も車もいない。これなら通報はされないだろう。後は電車が来ないことを祈るばかりだ。遠くに見えていた駅のホームが近くなってきた。双葉が走りながらホームを見る。ホームにチラリと黒いスーツ姿の人物が見えた。瑞波奈緒恵と同じ服装‥。神主と見て間違いないだろう‥。双葉は走りながら風神に何かを告げる。すると風神は空高く飛び上がっていった。
双葉はホームの端に辿り着く。線路から勢いをつけてホームの上によじ登った。
「タツ君!」
双葉は叫びながらホームの中央まで走った。だが、目に入ってきた光景に思わず立ち止まる。辺りは血まみれで、血溜まりの中に人が倒れていたのだ。
「‥!‥‥た、タツ‥‥君?‥‥」
血溜まりの中に仰向けで倒れていたのはタツだった。その隣で黒いスーツ姿の男性がタツを見下ろしていた。双葉の接近に気づくと視線を向ける。
「‥‥お前も淤加美側の神主か?」
須佐野が言い終わらない内に、雷神が飛び出し稲妻の形をした長い槍を突き出した。須佐野が後ろに飛んで退がる。
「‥雷神‥‥‥火雷大神か?瑞波から『風神と雷神を従えている神主がいる』と聞いてはいたが‥‥。風神は志那都比古神か‥‥?」
須佐野が独り言のように呟く。須佐野が距離を取ったので、双葉はタツに駆け寄った。右肩から左脇腹にかけて大きく斬られていて、夥しい血が流れている。タツは意識がないのか、ピクリとも動かない。その時、ホームにアナウンスが流れる。
「まもなく二番線に電車が参ります。白線の内側までお下がりください」
どうやら、もうすぐ電車が来るようだ。
「‥命拾いしたな?」
須佐野が言うと、須佐野の周りの剣が次々と消えていく。
「‥そいつの握ってる剣は俺の物だ。また今度、取りに来る‥‥。それまでお前が大事に預かっておけ‥‥」
須佐野が双葉に言うと、双葉がキッと須佐野を睨みつけ
「‥アタシじゃなくて、タツ君に言いなよ。タツ君がアンタを待ってるから‥」
と、震える声で言う。須佐野はチラリとタツを見た。と、同時にホームに電車が滑り込んできた。ドアが開くと須佐野が電車に乗り込む。そしてドアが閉まる間際
「‥何を言ってるんだ?そいつはもう助からないぞ?」
と言った。同時にドアが閉まる。‥‥え?‥‥何を言ってるの?‥‥もう助からない?‥‥そう言ったの?電車が走り出す中、双葉がタツを見る。血は次々と溢れ出し、止まる気配がない。慌てて両手で傷口を押さえた。双葉の手や服が血で染まる。タツは青白い顔で、目を開かない。双葉は急に怖くなってきた。不安と孤独感で気づくと涙が流れてきた。たった今、走り去った電車から降りてきた高齢の男性が、双葉とタツに気づいた。
「‥お、おい?‥‥大丈夫か?」
男性が双葉に尋ねる。
「救急車を呼んでください!お願いします!」
双葉が泣きながら叫ぶ。男性が慌ててスマホを取り出し、電話をかけはじめた。今から救急車を呼んでも間に合わない!双葉は泣きながら必死に傷口を押さえた。このままでは失血死してしまう。お願い!止まって!タツ君が死んじゃう‥‥このままじゃ‥‥死んじゃうよ‥‥。その時
「双葉!」
淤加美が叫びながらホームの階段を駆け上がってきた。後ろには奈美ちゃんもいる。
「淤加美ちゃん!タツ君が!」
双葉が悲痛な叫びを上げた。双葉は風神を陰陽神社に向かわせたのだ。自分のスマホに駅名だけ打ち込んで風神に持たせ、淤加美達はそれを見て双葉の身に何かあったと気づいたのだ。淤加美と奈美ちゃんはゲートを使い、近くまで瞬時に来る事が出来た。クッキー達はまだまだ時間がかかるだろう。
「タツ君!しっかり!」
淤加美が叫ぶがタツの意識は戻らない。
「‥どうしよう‥‥どうしよう‥‥」
双葉が傷口を押さえながら泣きじゃくる。だが無情にも血はドクドクと溢れ出している。
「タツ君!‥‥タツ!‥死んじゃダメ!ダメだって!」
淤加美が必死に叫ぶが、霊体の淤加美にはどうする事も出来ない。
「おい!誰か!」
当然、淤加美達の事が見えない高齢男性が、救急車の手配を終えると他の人を呼びに行った。その時だった。奈美ちゃんが静かにタツの隣に座った。そして双葉と同じように両手を傷口に当てたのだ。すると、傷口付近が光を帯び始める。心なしか流れ出る血の勢いが弱まった気がする。
「‥奈美‥‥ちゃん?」
淤加美が驚いて奈美ちゃんを見る。奈美ちゃんは黙って冷静に手を当て続けた。しばらくすると
「‥傷は塞ぎました。後は早く失った血液を輸血出来れば‥」
と、奈美ちゃんが言い、立ち上がった。双葉がタツの傷口を見ると、いつの間にか傷が塞がっていたのだ。
「‥‥いつから?」
冷静さを取り戻しつつある淤加美が、奈美ちゃんに聞く。
「‥霊体になってからです。生前にはこの力はありませんでした。気づいたら使えるようになってたんです‥」
奈美ちゃんが答えると
「‥じゃあ、ウチらと出会った時にはもう?」
と、淤加美が再度聞く。
「‥‥はい。隠すつもりはなかったんですが、言いそびれてしまって‥」
奈美ちゃんが俯きながら答えると、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。
都内のとある雑居ビル。大通りから一本入った裏通りに面している。そこにセダンタイプの黒い高級車が止まった。窓ガラスもスモークで真っ黒に目隠しされている。さらにその後ろにも同じ型の黒い高級車が二台止まった。そして同時に三台の車のドアが開く。二番目と三番目の車から、ガラの悪そうな男達が四人づつ降りてきた。一番前の車の助手席に座っていた男が、後部座席のドアを開ける。すると髪の長い無精髭の男が降りてきた。黒のスーツを着ていて、シャツの胸元を開けている。その開けた胸元から首筋にかけて、刺青が見えていた。顔は傷だらけで目は切れ長で鋭い。
男達は無言のまま雑居ビルの階段を上がっていった。二階の扉には『株式会社ウォーターカンパニー』と書かれていて、先頭の男がその扉を開け、髪の長い男をエスコートする。髪の長い男が肩で風を切りながら部屋へと入っていった。部屋の中は、デスクや黒い革製の大きなソファが置いてあり、何かの事務所のようだ。そのソファにはスーツ姿の男が足を組み、タバコを蒸しながら座っていた。色の薄いサングラスをかけて、髪は綺麗に後ろに流している。左耳にピアスと首筋に刺青が見えた。
その男の背後には、これまたガラの悪そうな男達が数人立っている。
「久しぶりだな?五島」
ソファに座る男が、入ってきた長い髪の男に声をかける。
「‥‥井幡ぁ‥何のようだ?」
五島と呼ばれた髪の長い男がソファの男を睨みつける。そう。ここは指定暴力団、関東水神會の本部ビルなのだ。井幡はタバコを蒸しながら
「‥いや何‥‥久喜の野郎にいいように遊ばれてるって聞いてな?」
とニヤつきながら言う。途端に五島が近くの椅子を蹴り飛ばした。
「テメェ!誰に口聞いてんだぁ!弾くぞコラァ!」
五島が叫ぶと、五島の部下達が一斉に懐から拳銃を取り出し構えた。すると井幡の部下達も一斉に拳銃を取り出し構えたのだ。両陣営、拳銃を構え合ったまま、張り詰めた空気が流れる。
「‥まぁ、落ち着けよ兄弟。久喜の野郎をぶっ潰す話しをしようじゃねぇか?なぁ?」
井幡がタバコの火を灰皿で消しながら宥めるように言い、鼻息荒い五島にソファに座るように促した。五島はイラつきながらもソファに座る。五島がソファに座ったのを見計らって、五島と井幡の部下達が拳銃を懐にしまった。
「‥おい」
井幡が合図すると、部下の一人が隣の部屋へ誰かを呼びに行く。隣の部屋から姿を現したのは、赤星と狐の面の女性だった。
「‥何だぁ?コイツらは?」
五島が赤星達を睨みつける。赤星達は普通の人にも姿が見えるようにしているようだ。
「‥この前、たまたま知り合ってな。金を払えば、俺達にとんでもない力を与えてくれるらしい」
井幡が説明する。だが五島は明らかに警戒しているようだ。
「‥あぁ?舐めてんのか?こんな訳のわかんない奴らの、そんな胡散臭い話しを信じろってのか?」
五島が小馬鹿にしたような言い方をする。
「‥まあな。俺も最初はそう思ったさ。だがな、これを見てみろ‥」
井幡が言いながら赤星に目配せした。赤星は軽く頷き、井幡の部下の一人に近づく。そしてその部下の背中を、トンっと叩いた。すると、その部下の体を黒い煙のような物が包み込んだ。部下は雄叫びを上げ、右手で事務所の壁を叩きつけた。すると、ドガァンという大きな音と振動と共に事務所の壁は粉々に砕けて、大きな穴が空いてしまったのだ。赤星がもう一度その部下の背中を叩くと、黒い煙は消えてなくなり部下は元の姿に戻った。その一部始終を、五島はソファに座ったたまま黙って見ていた。
「‥『呪力』と言う力らしい。もし、お前にこんな凄まじい力が宿ったらどうする?久喜をぶっ殺すのも、目障りな中国マフィアを潰すのも簡単に出来る。そうだろ?」
井幡が二本目のタバコを口に咥えながら言う。すかさず部下がタバコに火をつけた。五島は黙ったまま考えているようだ。
「‥それにな、もっと強力な神主ってのになれば長時間、己を強化し続ける事が出来るらしい。そうすれば、お前は久喜を潰し、俺は中国マフィアを黙らせ、コイツらは金を手にする‥‥。みんながWIN WINだ。違うか?」
井幡が煙を吐き出しながら言うと
「‥いくらだ?」
五島が低い声で尋ねる。井幡はニヤリと笑うと
「‥さすがは兄弟。話しが早くて助かる」
と言いながら立ち上がった。
五島と井幡のいた水神會の本部ビルの階段を、赤星と狐の面の女性が降りてきた。
「‥あんな奴らに力を貸すなんて‥‥聞いてないぞ?」
階段を降りきるなり、狐の面の女性が怒ったような言い方をする。すると赤星が
「‥まぁまぁ‥‥酒木の怪我の治療やら何やらで、色々と軍資金が必要なんだわ‥。だからスポンサーを募ったら、たまたまアイツらが引っ掛かった訳よ。それに反魂の儀と違って、生きてる人間に呪力を与えて神主になったとしても、俺が呪力の供給を止めればただの人間に戻る。金は手に入った事だし、頃合いを見計らって呪力の供給を止めればいい‥‥」
と宥めるように言った。狐の面の女性は黙ったまま歩き出す。赤星は、その後ろをついて行きながら
「反魂の儀は、俺が死者に呪力を与え、黄泉の神と死者の魂を繋げる事で神主を作る事が出来る儀式だ。そして俺が失った多大な呪力はお前が補充してくれる‥‥宇迦之御魂神‥‥いや、歌野伊奈理‥‥これでも感謝してるんだぜ?」
と、赤星が呟くように言う。前を歩く狐の面の女性が、歩きながら狐の面を外した。幼さが残る可愛らしい女性のその顔には、無数の痛々しい切り傷が沢山付いていた。歌野と呼ばれたその女性が、振り向いて悲しげな目で赤星を見る。
「‥顔を傷つける事で呪力を生み出し、それを俺に分け与える‥‥。『何かを失う事で何かを生み出す事が出来る力』禊を達成させるにはお前のその力が必要なんだよ‥」
赤星が歌野を見ながら言うと、歌野はまた狐の面を付けて歩きだしたのだった。
八千代市の隣の市、立野市にある立野市立病院の廊下に双葉が座っていた。あの後、救急車が到着して、タツはここへ運ばれたのだ。淤加美と奈美ちゃんは一度クッキー達に状況を伝えに戻り、それからこちらに来るという。双葉は一人で救急車に乗って付き添い、病院の廊下のベンチで待っていたのだ。そこへクッキーと淤加美と奈美ちゃんが到着した。アキ君と将吾と斎藤、土方も一緒だ。
「双葉‥」
クッキーが声をかけると、双葉が立ち上がった。
「‥えっ?‥‥大丈夫?」
アキ君が血塗れの双葉を見て驚いた声を出す。
「あ、あぁ‥‥これはアタシの血じゃないから‥」
双葉が自分の服を見ながら言う。現場の凄惨さが服の状態でよくわかる‥。
「‥着替えだ。私の物だからサイズが合うかどうか‥」
斎藤が紙袋を双葉に渡した。淤加美から、双葉の洋服が汚れてしまったと聞いて着替えを用意してくれたのだ。
「‥で、容体はどうなんです?」
土方が双葉にタツの状態を聞く。
「‥傷は塞がったんですが、出血がひどくて‥‥。今は集中治療室にいます‥‥」
双葉が小さい声で答えた。
「誰にやられた?」
クッキーが努めて冷静に聞く。
「‥見た事がない男性です。ただ、百足の時にいた瑞波奈緒恵と同じ、黒いスーツに赤い瞳をしていました。タツ君の持っていた剣を見て、『俺の物』だとかなんとか‥‥」
双葉が答えると、アキ君が
「‥タツ君の持ってた剣って?」
と聞く。
「タツ君が倒れたまま握っていた剣です。八岐大蛇が飲み込んで一緒に消えてしまいましたが‥‥」
と、双葉が答えると
「八岐大蛇が飲み込んだ?ソイツはその剣を見て『俺の物』って言ったの?」
とアキ君が言う。双葉は頷いた。
「須佐之男命‥‥」
淤加美が呟くように言う。怪訝な顔をする皆んなに
「‥須佐之男命は、八岐大蛇に酒を飲ませて退治したという神話で知られているんだ。その時に八岐大蛇の尻尾から出てきたのが、草薙の剣と言われている。その男の守神は須佐之男で、タツ君の持ってた剣は草薙の剣かもしれない‥」
と、アキ君が説明する。
「じゃあ、タツをやったのは須佐之男で、そいつも酒木や瑞波と同じ魔月妃側の神主って事か?」
と、クッキーが言うと
「‥だろうね。反魂の儀で神主になった者は、黒いスーツに赤い瞳が目印とみて間違いなさそう‥」
と、淤加美が答える。すると遅れて近藤と藤堂も現れた。
「タツ君のご両親に連絡はしといた。こちらに向かっているそうだ」
近藤がみんなに言うと、双葉は土方に連れられ服を着替えにいった。とりあえず、みんなでベンチに腰掛ける。だが、奈美ちゃんだけ立ったままだ。
「‥あの‥‥ごめんなさい‥‥皆さんに力の事、黙っていて‥‥」
奈美ちゃんがみんなに頭を下げると
「‥ううん‥‥奈美ちゃんのおかげで、タツ君は助かるかもしれない‥。ありがとう」
淤加美が立ち上がり、奈美ちゃんの肩に手をかけ頭を上げるように促した。
「‥タツ君の傷口を塞いだって事は‥‥奈美ちゃんの守神は、もしかして‥?」
アキ君が顎に手を当てながら言うと
「‥‥『再生』の力。おそらくは伊邪那美だろうね‥きっと以前に呪力を付加された時に、無意識に守神を呼び寄せたのかもしれない‥‥」
淤加美が頷きながら言う。
「‥‥もしくは‥‥いや、いい‥‥‥それにしても再生の力ねぇ‥‥どんな物でも再生出来るのか?」
クッキーが腕組みしながら聞く。
「‥そう‥‥全てのあらゆる物‥‥例外はない。たとえ失った命でも、伊邪那美の力なら再生出来るはず‥。でも、今の奈美ちゃんの呪力では、そこまでは出来ない‥。どういう訳か、呪力を大きく失っているんだよね‥」
淤加美が答えると、続けて奈美ちゃんが
「‥今の私ではタツ君の傷を塞ぐので精一杯でした‥」
と言う。淤加美の話しでは、伊邪那美は神々の中でも有数な膨大な呪力を誇る守神だが、今の伊邪那美は呪力を失っている状態なのだそうだ。
「だが、今回は傷を塞ぐだけでも充分だった。それに呪力が戻れば無敵だな‥」
斎藤が奈美ちゃんを褒める。すると双葉が土方と共に着替えから戻ってきた。
「タツ君のご両親には我々の方から説明しておく。南雲さんは所轄の刑事から事情聴取を受けてほしい‥」
斎藤がみんなに言いながら廊下の奥を見る。視線の先にはスーツ姿の男性が二人、立っていてこちらを見ていた。若い男性が駅のホームで何者かにより斬りつけられた‥公式にはそうなっているようだ。警察は通り魔による無差別殺人未遂事件として捜査するようだ。斎藤のおかげで警察の情報が全てこちらにも入ってくる。キイロノイズミは、黄泉国の情報は閻魔省や保安局から。現世の情報は警察から入ってくるようになったのだ。これはかなり心強い。双葉はみんなに軽く会釈をすると、所轄の刑事の所へ歩いていった。
「表立った事は、現役の警察官でもある我々に任せてもらおう。タツ君の容体に何か変化があれば、すぐに連絡する。皆はそれぞれ待機してくれ」
藤堂がみんなに言う。確かに藤堂や近藤、斎藤、土方は現役の警察官だ。クッキー達は一般人。事件に関する表向きの事は任せた方が良いだろう。今日の所はみんな自宅に戻り、後日、陰陽神社に集合する事になった。
夜の都内の港湾地域。空港も近くにあり、沢山の貨物船やタンカーが入港する、海の玄関口だ。埠頭には倉庫も数多く立ち並び、ここから全国へ荷物などが運ばれていく。その内の人気が少ない倉庫街の一角に、五島が立っていた。五島の服は血塗れで、周りには無数の死体が転がっている。五島は立ったままタバコに火を付けた。
「‥ほぉ。ものの数分でここまでやるとはなぁ」
突如、暗闇から声がする。五島がゆっくり振り向くと、井幡が暗闇から現れた。
「‥約束通り、お前の邪魔をしてる中国マフィアは潰した。今度はお前が約束を守る番だ‥」
五島が低い声で井幡に言う。
「‥わかってる。久喜は八千代市内にある、神社にいるらしい‥」
井幡が答えると、背後にいた井幡の部下達が、一人の男性を連れてきた。顔面が血塗れのその男性は、菅野真道だったのだ。菅野は意識朦朧としているようで、突き飛ばされると地面に転がった。
「チョロチョロと組の事を嗅ぎ回ってたんで、締め上げたら久喜の事を知ってやがってな。後は拷問パーティーしてやったら、久喜の居場所を吐いた‥」
井幡が五島に言うと、五島は歩き出しながら
「‥ソイツは貰うぞ。何かと使えるからなぁ」
と、井幡に言う。
「‥手ぇ貸さなくてイイのか?」
井幡が言いながら、部下に合図する。井幡の部下達が、倒れている菅野を掴んで起こした。五島は立ち止まると、顔だけ振り向き
「久喜は俺がやる。手ぇ出すなよ」
と言い、ニヤリと笑ったのだった。
名前:蛯原妃瑠子
別名:ひーちゃん 妃瑠子
年齢:10歳
守神:蛭子(恵比寿)
能力:両手をかざすと相手の戦闘行動を止める事が出来る
備考:八千代市立第二小学校 四年生
左足を失い義足を付けている
施設育ちで、数年前に今の両親に引きとられた




