第十二話 援軍
酒木に胸ぐらを掴まれ、持ち上げられたひーちゃんが両足をバタつかせる。
「この野郎!手ぇ放せぇ!」
菅野が叫びながら酒木に殴りかかった。だが茨木童子が間に入り片手で払いのけると、菅野は人形のように数メートルは吹っ飛ばされ地面に転がった。酒木がゆっくりとひーちゃんを締め上げる。ひーちゃんはとても苦しそうだ。すると酒木の足首を誰かが掴む。気がついた天音だった。目が覚めた天音は、這いつくばったまま酒木の足首を掴んだのだ。
「‥まだお前の順番じゃねぇ。後でなぶり殺してやるから待ってろ‥‥オラァ!」
と、酒木が言い天音の脇腹を思いっきり蹴り上げた。
「‥!‥ぐっ‥‥!」
天音が苦痛で呻く。だが足首を掴んだ手は離さない。
「‥コラァ!放せやぁ!」
酒木は叫ぶと何度も天音の脇腹を蹴り上げる。そして片足を上げると、天音の顔面目掛けて踏みつけた。
斎藤達は谷川総合医療センターに到着した。正門から入る時に近藤が
「‥‥天岩戸隠れだ。入るぞ‥」
と呟く。斎藤には何の事か分からなかった。そのまま病院の正面玄関に車を停める。先日、来た時は沢山の人が往来していたが、今は誰も見当たらない。全くの無人だ。
「‥黄泉国が病院の封鎖に踏み切ったようです。『天岩戸隠れ』が発動してますね‥。警察などへの通報も全てカットし、情報の操作が行われているようです」
土方が周りを見渡しながら言う。病院を封鎖とはどういう事なのか?以前も警察への通報を履歴もろとも消したと言っていたが、そんな事が出来るのか?斎藤にはまだわからない事だらけだったが、とにかく非常事態である事はわかった。
「‥『天岩戸隠れ』とは何だ?」
斎藤が土方に聞く。
「『天岩戸隠れ』とは黄泉国の最高権力者、天照大神の能力の一つ。ある一部分だけを他の次元と入れ替える事が出来るんです。今回は病院を丸ごと入れ替え、一般人の安全を確保する為に、事件の当事者達を別次元の病院に隔離したんです。つまり今、目の前にある病院は別次元の病院、隔離された病院の方です」
土方が説明してくれるが、斎藤にはイマイチよくわからない。
「‥と、言う事は我々も別次元に来たと?」
斎藤がなんとか理解しようとすると、土方が
「そうなりますね。今、本物の次元の病院では黄泉国保安局が雲寄チームを使って、事態の収拾に勤めています。我々はこちらで突入済みの部隊を援護しましょう」
と答えた。別次元‥‥あの正門に入った時か?全く違和感がない‥‥それに雲寄‥‥あの記憶を食べる大型犬か‥?チームと言う事はあんなのが何匹もいるのか‥?
「こっちの次元、つまり『天岩戸隠れ』にアクセス出来るのは、オレ達と黄泉国の限られた者だけだ。今、目の前にある病院は、別次元にある全く同じ病院って訳だ。そっくり丸ごと入れ替える訳だから、ある意味結界より強力な代物だ」
珍しく近藤が説明してくれた。すると無線が入る。
「黄泉国保安局です。こちらのC班、D班、E班が既に突入済みです。ですが三チームとも連絡が途絶えています。キイロノイズミは現場に潜入して、状況をこちらに知らせてください」
と女性の声で伝えてきた。
「‥キイロノイズミ、了解しました。これより現場に入ります」
と近藤が答えると
「残りのチームも急行しています。状況の確認だけで充分ですので、くれぐれも注意してください」
と返ってきて無線は切れた。
「‥まさか、たった三人で突入させるとはな‥‥」
斎藤が呆れた言い方をすると
「‥突入と言うより、あくまで状況確認ですから‥。藤堂さんも向かってきているようですし、応援もすぐに来ますよ」
土方が努めて明るく言う。
「‥土方は残れ。俺と斎藤さんで行く」
近藤が金属で出来たガントレットを右腕に装着しながら言うと
「何言ってるんですか?アタシも行きます!」
土方が怒ったような口調で警棒を構えた。
将吾は防戦一方だった。蜘蛛の出す糸と瑞波の剣撃を、なんとか避けるので精一杯だった。体中キズだらけで息も荒い。もう体力も限界だ‥。天音さんは大丈夫だろうか‥?心配ではあるが、とてもじゃないが助けにいけそうもない。菅野さんとひーちゃんは、ちゃんと逃げれただろうか‥?他の大勢いた人達と一緒に逃げれていれば良いが‥。
「ふぅぅぅ‥‥」
将吾は深い息を吐き出し、剣を構え直した。色々考えても仕方がない。俺が今、出来る精一杯の事をやろう‥。覚悟を決めた将吾に
「どうした?もう終わりか?」
瑞波が言いながら斬りかかっていく。将吾はしなやかにかわしながら
「布都御魂!巳の刻!」
と叫んで瑞波の足元に、素早い回転斬りを連続して繰り出す。瑞波は後ろへジグザグに飛び跳ねるように退がりながらかわした。だが、将吾の狙いは瑞波ではなく蜘蛛だった。その隙に不用意に近づいてきた蜘蛛に、振り返りざまに下から斬り上げたのだ。確実に入る絶妙なタイミング。スピード、角度、踏み込み、全てが申し分なかった。だが、蜘蛛は驚異的な身体能力で真横に避けたのだ。
「‥バカなっ‥!」
思わず将吾が叫ぶ。蜘蛛の足先をかすめ、将吾の剣は空を切った。将吾は蜘蛛の目の前で完全に無防備な状態となってしまった。蜘蛛が前足を振り上げ、将吾に飛びかかった瞬間、凄まじい電撃が走り、蜘蛛が呻き声を上げて後退りをした。
「大丈夫か?」
近藤が右拳を突き出した状態で将吾に尋ねた。近藤の右腕には金属製のガントレットが装着されていて、煙を上げていた。どうやらこのガントレットで蜘蛛を殴りつけたようだ。
「君はたしか‥‥武藤将吾君だったな?」
近藤の後ろから斎藤が現れた。続けてその後ろから土方が
「対霊体用電磁鎧籠手‥。実戦投入は初めてですが、凄まじい威力ですね‥」
と言いながら現れた。二人は瑞波の前に電磁警棒を構えて立った。
「‥斎藤さん?」
将吾が跪きながら言うと
「‥もう大丈夫だ」
斎藤が警棒を構えながら将吾に声をかけ、近藤と土方に将吾の説明をしている。
「‥向こうに天音さんがいます。行ってあげてください」
将吾が息を整えながら言うと
「‥わかった」
と斎藤が頷いた。そして近藤に
「‥‥ここは任せろ。向こうを頼む‥」
と言う。
「‥!‥しかしっ‥‥」
躊躇する近藤に、斎藤が無言で『行け』と合図を出す。近藤が思わず土方を見る。土方は満面の笑みで親指を立てた。近藤は戸惑いながらも
「‥気をつけてください」
と言い天音の所へ走って行った。改めて斎藤と土方が瑞波と蜘蛛と対峙する。将吾は疲労困憊のようだ。少しでも休ませたい。だが戦力的に考えると非常に厳しい状況だ。状況確認のつもりで来たが、将吾の危機に思わず飛び込む近藤を止めれなかった。だが近藤が飛び込まなかったら、将吾は死んでいたかもしれない‥。
「‥頼みの応援がたったの三人とはな。随分と舐められたものだ‥」
瑞波が呆れたような言い方をする。瑞波と蜘蛛が少しずつ間合いを詰めてきた。斎藤と土方は将吾を守るように構える。すると蜘蛛が音もなく飛びかかってきた。斎藤が土方の前に飛び出し、蜘蛛の前で警棒を振りかぶる。
「‥!‥斎藤さん!ダメです!」
土方が叫んだ瞬間、斎藤の隣には瑞波が立っていた。下段から瑞波の妖刀村雨が迫り来る。上空には巨大な蜘蛛が飛びかかってきていた。瑞波は最初から斎藤狙いだったのだ。相手の少ない会話から、援軍のリーダーは斎藤だと踏んだのだ。チームのトップ。つまり頭を落とせば、後は総崩れ。戦術の基本だ。だが次の瞬間、八匹の大蛇が瑞波と蜘蛛に襲いかかり、弾き飛ばしたのだ。瑞波と蜘蛛は空中で後転して着地する。
「‥三人ではないよ」
斎藤達の背後から声がした。振り返るとそこには、大きなビニール袋を何個も持ったタツが立っていたのだ。
「君は‥‥大和辰巳君か?」
斎藤が驚きながら言うと
「タツでイイですよ。みんなそう呼ぶんで‥」
と、沢山のビニール袋を下ろしながらタツが言う。
「今日は月に二、三回行く恒例の買い出しだったんです。それで帰りに近くを通ったら奈美ちゃんが病院の様子がおかしい、って言うので見にきたんですよ‥」
タツが斎藤達の所まで歩いて来ながら言った。
タツが将吾の所へ行く数分前。酒木荊羅は、足首を掴む天音の顔面を踏みつけようと片足を上げた。そして思いっきり踏みつけたのだ。だが、そこに天音の姿はなかった。少し離れた所に菅野が倒れている。そこに天音を地面に降ろすクッキーがいた。
「天音さん、大丈夫?しっかり!」
タツと奈美ちゃんが天音に駆け寄る。天音の顔は血塗れで腫れ上がり、手足もアザだらけだ。だが、意識はある。
「‥いつの間に?‥‥全く見えなかった‥‥」
酒木が呟くと、今度は掴んでいたはずのひーちゃんの姿がない。気づくとクッキーがひーちゃんを天音の隣りに座らせている所だった。
「‥これは?‥‥まさか、これが時量師神の力か?‥‥ならアイツが時量師神か?」
酒木がクッキーを睨みつける。
「菅野さん?ひーちゃん?大丈夫?」
タツが二人に問いかけると
「‥‥うぅぅ‥」
菅野が目を覚ました。見た目では大きな怪我はしてなさそうだ。ひーちゃんも咳こんでいるが、大きな怪我はしていない。
「‥‥向こうに‥‥将吾‥君がいる‥‥」
天音が掠れた声で言いながら指を指す。するとその方向から近藤が走ってきた。
「‥!‥天岩戸隠れの中に一般人がいる?‥‥君達、大丈夫か?」
と、近藤がクッキー達に言うと、酒木と対峙した。
「黄泉国保安局から連絡があった!暴れてる神主とはお前か?大人しくしろ!」
近藤が酒木に叫ぶが、酒木はニヤついている。
「‥タツ、行け。ここは俺がやる」
クッキーがタツに言うと
「‥は、はい!」
タツがビニール袋をガサガサ鳴らしながら走り出した。
「‥‥買った物は置いていきゃあいいのに‥」
クッキーがタツの背中を見ながら小声でツッコむ。そして近藤の隣へ並んだ。
「‥アンタは警察か?」
クッキーが近藤に聞くと
「‥みたいなものだ。一般人は危ないから退がれ」
と近藤が答え、ガントレットが稼働し始めた。電流が迸り、稼働音が大きくなる。
「でぇあぁぁぁぁぁぁ!」
近藤が叫びながら酒木にガントレットで殴りかかる。だが、すかさず茨木童子が間に入った。近藤のガントレットを両腕でガードする。電撃が周囲に飛び散り、両者は弾け飛んだ。近藤がクッキーの足元に転がってくる。茨木童子は空中で後方に回転して酒木の隣に着地した。酒木はゆっくりとクッキー達の前に来る。
「‥自分の時間軸を操作出来るなんてなぁ‥‥おっそろしい力だなぁ‥‥見たところ、一日に数回使えるってとこかぁ?しかも短時間しか使えねぇだろ?長時間で何回も使えたら、まさに『神降臨』ってなっちまうもんなぁ!」
酒木がニヤけながら探りをいれてくる。
「だが今、二回使ったよなぁ?もう後一、二回しか使えねぇんじゃねぇのかぁ?あぁ?」
酒木が叫ぶ。『お前の弱い所を知っている』というアピールだ。喧嘩や争いの時の常套手段。相手の弱点を知っている事をアピールして動揺を誘う。戦闘において主導権を早めに握りやすくなるのだ。そして自分は『お前なんかに恐れていない』という主張も出来る。だがそれは裏を返せば、相手を恐れているからこそ、でもある。クッキーは黙って聞いていたが、ニヤリと笑い
「‥おぉ。よくわかってるじゃねぇか‥」
と答えた。そして真顔になり
「‥だからどうした?」
と言った。酒木も真顔になる。‥‥赤口や大和田のクソガキからは、時間の操作しか出来ねぇって聞いてる。時間の操作だけで霊体などへの攻撃能力がねえってな‥。つまり時間の操作をされても、ヤツには攻撃手段がないはずだ。応援を呼ばれる前に、とっととケリをつけた方がイイ。考えがまとまった酒木が雄叫びを上げる。酒木の背後に酒呑童子が浮かび上がり、酒木の全身の筋肉が膨れ上がった。するとクッキーが、起きあがろうとしている近藤に
「‥それ、貸してくんねぇか?」
と近藤のガントレットを指差す。
「‥!‥これはオモチャじゃない!貸せる訳ないだろ!」
と近藤が叫ぶと
「‥じゃあ、お前がアイツをやるか?」
とクッキーが酒木を親指で指差す。すると目が覚めた菅野が
「‥お、おい、やめとけ‥アイツは只者じゃねぇ。黄泉国保安局の連中を全滅させちまったんだぞ‥」
と、言うと
「‥!‥‥ぜ、全滅だと?バカなっ?」
近藤が驚きのあまり言葉を失う。
「‥お願い。クッキーさんなら、きっとあの人を倒せる‥」
奈美ちゃんが近藤に言うと、近藤は改めてクッキーを見る。
「‥‥お前、神主か?お前ならアイツを倒せるのか?」
近藤が確認するようにクッキーに聞く。
「‥任せろ」
クッキーが答えると、近藤は少し考えた後
「‥必ず倒せ。そして必ず返せ」
と、言いながらガントレットを外した。その様子を見ていた酒木が飛び込んでくる。
「ぶっ殺してやんよぉぉ!」
と、叫びながら殴りかかってきた。冗談じゃねぇ!ただでさえ厄介な時量師神に、武器になるようなモン渡してたまるか!クッキーと近藤は両サイドに分かれて避けた。ガントレットは、まだ近藤が持っている。二人の距離が離れてしまった。これではクッキーに渡せない。
「使い方だけ口答で教えろ!」
クッキーが近藤に叫ぶ。時間軸変更を使い、近藤からガントレットを受け取るのは容易い。だが、使い方が分からなければ、ただの重い金属の塊だ。酒木は的を完全に近藤に絞ったようだ。あのガントレットさえ破壊してしまえば、酒木に怖いものはない。しかもクッキーはガントレットの使い方を知らない。このゴタゴタの最中にクッキーが力を使えば、それはそれで力の使用回数が一回減る。酒木に有利になるのだ。酒木と茨木童子は全力でガントレットの破壊に向かった。近藤はクッキーの力の事は何も知らない。だが、近藤なりに何かを察知したようだ。酒木と茨木童子が一斉にこちらに向かってきた理由はガントレットか?どう言う事かわからないが、今鍵を握っているのはこのガントレットのようだ‥。近藤はガントレットを地面に置くと、電磁警棒を二刀流で構えた。下手に逃げ回り、あの男から遠くなるのはマズい。少しでいいから時間を稼げれば‥。
「腕に装着したら赤いパワーボタンを押せ!すぐに稼働音が鳴り動き始める!青いランプが点灯したら、準備完了だ!拳にある程度の衝撃を検知すると自動で高電圧が放出される!」
近藤が叫びながら警棒を振り回す。覚悟を決め、ガントレットを死守すると決めたようだ。だが、酒木は難なく警棒をかわすと近藤の左腕を蹴り飛ばす。近藤の左腕はへし折れ、警棒は後ろへ吹っ飛んでいった。右手の警棒は茨木童子が叩き落とすと、近藤自身を蹴り飛ばした。近藤が地面に転がっていく中、酒木と茨木童子はすぐさま足元にあるガントレットの破壊を試みようとする。が、
バチイィィィ!
茨木童子が飛び散る電流と共に後方へ吹っ飛んだ。そこにはガントレットを装着したクッキーが、右拳を突き出した姿で立っていた。クッキーは時間軸を変更して飛び込み、時間軸が戻る前にガントレットを装着して茨木童子を殴ったのだ。だが、すぐに茨木童子は起き上がる。ダメージは与えたようだが、そこまでではないようだ。
「‥威力が弱えな。人が作ったモンだからか‥」
クッキーが呟きながらガントレットを見る。すると
「‥なんだこれ?」
青いランプの隣にスイッチが付いていて、小さく『オーバーリミット』と英語で書いてある。クッキーがそのスイッチを入れると、ガントレットの稼働音が一際大きくなった。
「‥時量師神の力をどんどん吸い込んでいく‥‥なるほどな‥‥少し力を調整すれば、なんとかなりそうだ‥」
クッキーがブツブツと呟いていると
「なんだそりゃあ?全然、効かねぇじゃねぇか?クソみてぇなオモチャだなぁ!それに、また力を一回使ったよな?もう後がねぇんじゃねぇのかぁ?」
と、叫びながら酒木が飛びかかってきた。ガントレットの威力が低いとみて、勝負に出たのだ。
「‥いちいち、うるせぇ野郎だ‥‥」
クッキーが面倒くさそうに言いながら時間軸を変える。超スローモーションの中、クッキーは酒木の真横へ移動した。そして凄まじい電撃が飛び散る中、クッキーの右拳が酒木の脇腹に食い込んでいた。
「‥!‥ぐあぁぁぁ!」
酒木が呻き声をあげながら吹っ飛び、地面に転がった。
「‥時量師神の力を調整して威力の増幅にまわした。これならテメェらをぶっ飛ばせる。その代わり時間軸の変更が、いつもの十秒から二秒ぐらいに縮まっちまうがな‥。名付けて『二秒ルール』だ」
クッキーがドヤ顔で言うが、それが聞こえた奈美ちゃんと菅野は、落ちた物を拾って食べる時に言う『三秒ルール』を思い出してしまっていた‥‥。
「‥‥ふ、ふっざけやがって‥‥」
酒木が脇腹を抑えながら立ち上がる。確かに強烈な一撃だ‥。だが、連発は出来ないはずだ‥。高出力高威力なほど、エネルギーの充填時間が必要なはず‥。奴に時間を与えねぇ!
「茨木童子ぃ!」
酒木が叫ぶと茨木童子がクッキーに飛びかかる。
「ぶっ潰してやるっ!」
と、同時に酒木もクッキーに殴りかかっていった。案の定、クッキーのガントレットは煙を上げていて稼働していない。時間軸の変更も、出来て後一回のはず。茨木童子と一気に攻めれば、充填前に仕留められる!
「うらあぁぁぁ!」
雄叫びを上げて酒木と茨木童子が、クッキーに襲いかかった。
「‥‥そうか‥‥あの子も神主だったんだな‥?」
呟くクッキーの目の前で、酒木と茨木童子の動きが止まっていた。
「‥!‥な!‥‥う、動けねぇ!‥‥く‥‥クッソガキィィィ‥‥」
叫ぶ酒木の目線の先に、奈美ちゃんに支えられたひーちゃんが両手を前に突き出し立っていた。すると、クッキーのガントレットが音を立てて動き出す。電流が迸り、バチバチと光だした。
「‥フルパワーでいくぞ。もう時間軸を変えなくて良さそうだしな‥」
クッキーはそう言うと、低い体勢でガントレットを構えた。そして
「天音のカタキだ。覚悟しろよ?」
と言うと、全力でガントレットを打ち抜いた。酒木と茨木童子は巨大な凄まじい電撃に包まれ、後ろへ吹っ飛ばされると壁を突き破っていったのだった。
<人物図鑑>
名前:近藤勇治
別名:近藤さん
年齢:二十九歳
守神:なし
能力:なし
備考:黄泉国対策組織委員会、通称キイロノイズミの一員
元警視庁特殊部隊狙撃班隊員
柔剣道や各種格闘技に精通している
射撃の名手でもある
対霊体用電磁鎧籠手を使う




